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サッカースタイルを本人に直撃! 澤穂希の技術を“仕事術”に置き換えてみると…

日本の女子サッカーを世界レベルの実力に引き上げた立役者として知られる澤穂希さんが引退を表明したのは、2015年の12月。伝説的とまでいわれたプレーは、今も数多くの人の胸に残っている。そこで澤さん自身に過去を振り返ってもらい、その技術が、いかにビジネスやCFO(最高財務責任者)への道のりに通じるのかを考察していこう。

年齢と経験を重ねていくと、
守備の楽しさがわかってくる

DSC08170「私のポジションはボランチでしたが、実は守備をしている…という感覚はそんなになくて、『攻撃するためにはボールを奪わなければならない』という自然な行為だったんです」

日本代表の佐々木監督の考える戦略の要として、攻守両面を司るボランチというポジションを与えられた当初、「とまどいもありました」と語るが、経験を積んで自分のものにしていったという。

「若いときは点を取りたいという気持ちが出てきますし、攻撃的な感じでしたけど、年齢と経験を重ねると、守備の楽しさもわかってくるんですよ。最後は体を張って守る…みたいな」

ゴールポストにボールを導き“手柄”を上げることばかりではなく、周りの状況も見ながら手柄をアシストできて、ようやく一人前。経験が重なると、ボールの動きがある程度予測できるようになるという。仕事で経験を重ねていくと、ことの成り行きをある程度見通せるのと同様に。

「予測や判断ということもあるんですけど、相手の体の向きなどを見て、瞬時にパスが出る方向などの予測ができるんですよ。自分の味方を使って、パスコースを限定させることもできます。たとえばフォワードをサイドに追い込むじゃないですか。そうすると相手からボールが出る方向って自ずと決まってくる」

予測は経験則であり、こちらの動きで相手を誘導することもできるということ。そのためには「何度も同じシチュエーションを重ねることが大事です」と澤さん。サッカーもビジネスも、愚直を極めることが大切なのだ。

成功イメージを描くこと。
そして苦手は克服しないこと!?

プレースタイルもさることながら、ぜひ真似をしたいのがコミュニケーション術だ。澤さんがキャプテンとして日本の女子サッカーをW杯優勝に導いたのはご承知の通り。たぐいまれなリーダーシップを発揮したことは想像に難くないが、ご本人は至って謙虚。たとえば2008年の東アジアカップのとき、宮間選手から「澤さん、もう1点取ったら勝てるよ。」と言われたとき。

「そういうひと言に、実は私もすごく励まされています。周りに対しては高圧的にならず、しっかり褒めることが大切ですよね。紅白戦のときとか、相手チームも褒めますから。そうすると自信にも繋がります。ゲームがしんどいときに、そんなひと言で頑張れることも多いんです」

励まされる自分を「普通ですよ」と澤さん。チーム内で役割が違っても、認め合って声を掛け合うことが大切なのだ。そしてもうひとつ、気持ちの持ち方については、澤さんならではのキャラクターがある。

「私、すごくポジティブなんです。マイナス面をあまり考えなくて。ワールドカップ決勝のときも、ゴールできるイメージが頭のなかにできていたんです。前日のメディア対応でも、『アメリカに一回も勝ったことないけど勝てる気がする』なんて偉そうに言ってて(笑)。実際にそうなったんですけど」

たとえ困難であっても、自分の中で成功イメージを描くこと。頭から離れない失敗のシナリオを無意識にトレースするよりはよほどいい。そしてもうひとつ。スキルの磨き方も澤さんならではだ。

「無理なことは、無理に克服しないことです(笑)。得意な人がPKをやればいいし。チームにはいろんなタイプがいますよね。自分の苦手は得意な人に振って、自分の得意分野のスペシャリストになることです。誰にも負けない長所を伸ばすことが、一番大事だと思います」

ビジョンを描くのが得意ならCEO。財務や経営管理であればCFO。頂点に立つには、プロとして長い修練の道のりを要する。得意を伸ばして辿り着くという考え方は、実に合理的といえるだろう。

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【プロフィール】

澤穂希

1978年東京都生まれ。元サッカー女子日本代表。2011年、FIFA女子ワールドカップドイツ大会で得点王とMVPを獲得。同年、FIFA年間最優秀選手(バロンドール)を受賞。日本の女子サッカー人気を支える立役者として、数々の活躍を見せる。2014年、AFC初代殿堂入り。オリンピック4大会に出場し、ロンドン大会では銀メダルを獲得。ワールドカップ6大会連続出場は、ギネス世界記録。日本代表では、通算205試合に出場し、83得点。2015年12月に現役引退を発表。

執筆者

NEXT CFO 編集部

 NEXT CFO編集部

CFOを増やすことで日本国経済をちょっとよくしたい! もっとCFOについて、知ってもらいたい。CFOに興味を持ってもらいたい。CFOになろうと考えてほしいと願っております。