相続総論

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ご存知のように平成25年税制改正により、平成27年1月以降相続税の基礎控除額が20年ぶりに4割引き下げられると同時に最高税率が10年ぶりに50%から55%へ引き上げられることになりました。
相続税は、個人財産の増加や、バブル期の地価高騰を受け、昭和63年・平成4年・6年・15年と、基礎控除の引上げや最高税率の引下げを含む税負担の緩和が行われてきたため、現在は比較的富裕層が課税の中心であるといえますが、今後は課税対象者が増加するものと考えられます。

税収の推移

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■課税範囲の拡大

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1. 気をつけたい相続税のポイント

1. 意外に短い相続税の申告期限

相続開始後10カ月以内の金銭による一括納付が原則とされており、その期間に被相続人の葬儀や四十九日の法要、被相続人の財産・債務の把握、戸籍の取寄せによる法定相続人の確定、所得税の準確定申告、遺産分割協議、相続税の申告・納付をする必要があります。また、相続放棄をする場合には3カ月以内に手続きをしなければならないため特に留意する必要があります。

2. 被相続人の借金

被相続人の残した財産を調べていくうちに、家族も知らないところで借金をしていたことが判明するケースがあります。相続開始後数カ月経ってから借金があることが判明した場合は、上記の相続放棄の手続きをすることができなくなり、負の財産である債務も相続することになります。

3. まとまらない遺産分割協議 (被相続人:親/相続人:子)

各相続人が取得した財産の額に応じて相続税は課税されますが、当該財産の分け方は被相続人が遺言で事前に決めることもできる一方、相続人間の話し合いにより決定されることもあります。そのため各人の様々な思惑が絡み、「争続」となってしまうケースも散見されます。相続人同士が離れて暮らしていることや、日中は勤務している等により兄弟姉妹であっても、十分な話し合いが持てないことも原因といえます。また、相続権のない人(法定相続人の配偶者など)が分割協議案に口を出してくる場合は特に混迷を極めます。財産が未分割の状態であっても暫定的に申告は可能ですが、特例が受けられないなどのデメリットがあります。

4. 遺言はあるけれど… (被相続人:親/相続人:子)

被相続人が遺言を残している場合であっても、事前に家族間で意見交換や話し合いがなされていないときは不満をもった相続人から遺留分(民法で定められた取得分)の減殺請求がされることがあります。

5. 相続財産が少ないケースでも揉めることが…

被相続人が遺言を残している場合であっても、事前に家族間で意見交換や話し合いがなされていないときは不満をもった相続人から遺留分(民法で定められた取得分)の減殺請求がされることがあります。

2. 事前の相続税シミュレーションの必要性

小規模宅地の評価減の特例や配偶者控除の特例など、相続税に関わる税金の軽減特例は、遺産分割協議がまとまっていることが前提になります。財産を多くもらっても、特例によって税金の負担が少なくなるケースもあります。財産を平等に分けようとしても、評価の違いによって税金の負担に大きく差がつくこともあります。受けられると思った特例が適用外であることや、不動産や自社株式の評価額が上下することにより事前の想定と異なることは十分に考えられます。また、過去に実施した相続対策(特に保険関係など)が税制改正により意味をなさなくなってしまっているケースも散見されますので、税制改正を機に見直しをされてはいかがでしょうか。

3. 相続の手続負担を軽くするには?

以下のような事前の整理を少しでもしておくと残された相続人の手間は大幅に減少することになります。

  1. 財産目録の作成
  2. 印鑑・通帳の整理
  3. 相続人関係図の作成及び戸籍の取得
    (戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍)
  4. 遺言の作成
  5. 不動産等の名義の確認
    (実際の所有者と名義が一致しているか)
  6. 保険契約の確認

4. まとめ

相続に関わることは、誰もが一生に1度か2度しかないことなのですが、必ず起こる避けて通れない出来事になります。その相続を遺族間の争い事にしないためにも、相続税をスムーズに納めるためにも、事前に対策をしておくことが重要と言えます。また、円満な資産の引き継ぎができるように家族間で事前によく話し合うことは、成人し、独立していった子へ親がしてあげられる最後のことなのかもしれません。

相続に関する用語

  • 被相続人 亡くなった方のこと。
  • 法定相続人 被相続人の財産などを相続する「権利がある」人のこと。
  • 相続人 被相続人から財産を実際に取得する人のこと。
  • 遺贈 被相続人の財産を法定相続人「以外」の人へ遺言で与えることで、遺言者の一方的な意志のもとで行われます。
  • 遺留分 民法によって兄弟姉妹(甥・姪)以外の法定相続人に保障された相続財産の最低限度の割合のこと。
  • 相続放棄 家庭裁判所で手続きを行うことにより、被相続人の財産及び債務を相続する権利を放棄すること。

相続税の仕組み

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制作協力:株式会社マイティ・マイティ

執筆者

井上 浩 氏

 井上浩 氏