MBOにおける繰越欠損金および含み損失の使用または引継制限

この記事は2014年5月発行のREVOLVING DOOR vol.4より転載しております。

 

今般、MBOなどで非公開化する企業が増えています。

目的は様々ではあると思いますが、ストラクチャー検討の際には、 法務、財務及び税務等の論点を整理する必要があり、 ストラクチャーによっては税金等のキャッシュアウトが生じる場合があります。
そこで今回は税務上の取り扱いにのみにフォーカスをあて、 各税務論点及び一般的手法であるSPCを使用したストラクチャーについて説明していきます。

 

1.MBO時における税務論点

MBOで考えられるストラクチャーは複数存在し、そこで主なストラクチャー別の税務論点について説明します。

 

1-1.TOB時における税務論点

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■TOB(第三者)

・買収対象会社 : 特別課税関係は生じません
・買収会社 : 対象会社株式の税務上の取得価額は、購入対価に付随費用を加算した金額となります。
・法人株主 : 対象会社株式を譲渡したことによる譲渡損益は各事業年度の金額の計算上、益金の額または                              損金の額に算入されます。
・個人株主 : 対象会社株式を譲渡したことによる譲渡損益は株式などに係る譲渡所得として課税され
                            ます。

■TOB(自己株式取得)

・買収対象会社 : 自己株式取得により交付した金銭等の額については、一定の計算方法により資本金等の
                                    額及び利益積立金額を減少します。
・買収会社 : 該当なし
・法人株主 : 自己株式取得により交付された金銭については、一定の計算方法により「みなし配当」と「株式譲渡損益」に区分されます。
・個人株主 : 自己株式取得により交付された金銭については、一定の計算方法により「みなし配当」と「株式譲渡損益」に区分されます。

 

1-2.TOB後のスクイーズアウト別の株主の課税関係

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2.MBO時のストラクチャー

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合併に係る税務論点

1. 適格組織再編の判定

当事者間の完全支配関係による合併ですので「適格合併」となります。
また、当該合併がSPCの設立事業年度である場合には、SPCの買収に係るトランザクションコストは対象会社の利益と相殺することができます。

 

2.繰越欠損金の使用及び制限について

当該合併は上記 1 の通り適格合併に該当しますが、SPCと対象会社の支配関係は5年以内であり、
且つ「みなし共同事業要件」を充足していない場合には、SPC及び対象会社に繰越欠損金がある場合には引継ぐことができません。

 

3. 含み損失の使用制限について

SPC及び対象会社に含み損失の資産があった場合において、
「みなし共同事業要件」を充足しておらず、かつSPCと対象会社の支配関係が5年以内の場合には、
当該含み損失については、合併後3年を経過する日又は支配関係発生日以後5年を経過する日のいずれか早い日までの期間は
損金算入することができません。

(参考)みなし共同事業要件とは下記I~III若しくはI及びIVの要件を充足するものをいいます。
                 I 事業関連要件 II 規模要件 III 規模継続要件 IV 特定役員要件

 

 

まとめ

MBOを実行する場合において組織再編を絡める場合には繰越欠損金及び含み損失の使用又は引継制限を慎重に検討する必要があります。

執筆者

NEXT CFO 編集部

 NEXT CFO編集部

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