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IoT医療デバイスの 薬事承認化に向けた エンジニアリングプラスチックの潜在能力

革新的IoTデバイスを支える素材

IoTデバイスは「持つ、着ける」型から「着る、貼る」型へめざましく進化しています。ただし、ヘルスケア領域に近づくと薬事法に抵触し、医療機器認可事案となる可能性があります。当局対応が待たれますが、特定のIoT機器を薬事申請するときの影響を見てみましょう。

IoT デバイスは「着る、貼る」の時代へ

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1.医療機器の原材料に薬事法が求める安全基準

IoTデバイスの薬事申請時には、申請者自ら人体への低侵襲性について原材料レベルで論証する必要があり、原材料を特定する情報、公的規格名、REACH(Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of CHemicals)にて懸念される化学物質の有無、承認前例などの論述が求められます。他にも平成16年11月15日付事務連絡「医療機器審査No.19医療用具の製造(輸入)承認申請書における原材料記載について」にて、使用する素材ごとに原材料規格が示されており、医療用機器を製造販売する際に記載が必要な事項についての詳しい定めが存在します。例えばゴムを原材料とした医療用機器を薬事申請する際には、「第3部 ゴム、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂」にて記載のある規格を使用していることを示す必要があり、当局は参考としていますが、そこから外れる原材料に変更する場合は変更申請が必要になり、承認原材料の範囲外で製造販売することは薬事法に抵触するため注意が必要です。

2.IoT 医療機器デバイス開発におけるエンプラの可能性

エンジニアリングプラスチック(以下、エンプラ)は熱可塑性、耐衝撃性、耐熱性、硬度、耐老化性に優れた機能性樹脂の総称で、金属代替・絶縁体構成・柔軟構造体として電気機器から車体等様々な製品に幅広く利用されています。PET(例:ペットボトル)やポリアミド(例:ナイロン素材)は汎用化する一方で、スーパーエンプラ(エンプラのうち、耐熱性が高く、より高温で長時間の使用が可能なもの)は特定機能の高発現のため様々な業界で日々研究、開発が行われています。例えば筆者が常駐支援を行っている医療・医薬品業界では、ロシュリング社によって帯電気防止機能をもった高分子量ポリエチレン(PolystoneM ESD 90 NC)が開発され、人体に直接摂取されるため、金属を用いることを避けたい食料品や医薬品を扱う製造ラインで、金属の代替として活躍しています。これらエンプラはその特徴から、IoTデバイスとの親和性が高い化学素材としても期待されており、既に実用化された例もあるため、その活躍の幅は今後も確実に広がっていくことでしょう。

3.エンプラ+機能性ペーストの潜在能力が革新的である理由

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4.非医療向けIoT エンプラが次なる医療向けIo Tイノベーションの牽引役に

三菱化学が開発したバイオエンプラ「DURABIO」は、シャープがスマートフォンや車載ナビの前面パネルに用いたことで話題になりました。このようにIoTと親和性の高い民生電機、自動車市場では、新たなエンプラ実用化の障壁が医療機器と比べそれほど高くありません。これは非医療IoTデバイスとしてのエンプラが、その機能と安全性の時間的審査を経れば、障壁の高い医療IoTデバイスの認可に繋がる可能性が十分にあることを示しています。“スーパー”が汎用化する過程は、ヒトの生活に深く入り込み、安全性が時間をかけて認知された記しに他なりません。筆者は、①IoT医療機器デバイスの潜在市場性、②それを可能にするエンプラ素材が持つ潜在能力、③エンプラがその安全性を実証実験できる既存市場があることに着目し、IoT医療機器デバイスとエンプラの発展動向に、今後も注目していきます。

執筆者

丸野 大樹 氏

株式会社エスネットワークス 経営支援第1事業本部 丸野大樹 氏

関西外国語大学外国語学部卒。日系証券会社にて3年の営業経験を積んだ後、2015年エスネットワークスへ転職。入社後は財務デューデリジェンス等のPMI関連実務を経験。2015年10月より現在に至るまで、日系製薬会社に常駐し、セルサイドM&Aのサポートメンバーの一員として日々奔走している。