IoT とクラウドが変革させる 未来の介護現場

01.介護現場では介護士が不足している

介護業界では介護者と被介護者の需給のギャップが広がっています。医療技術の発達などにより高齢化が進み、確実に増え続ける被介護者に対して、介護者の数が絶対的に不足しています。介護サービス産業での有効求人倍率は年々増加し、介護現場での労働者が不足しています。介護士不足は特に首都圏で顕著であり、介護施設がひっ迫しています。

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02.介護現場における労働環境改善が必要

上記のように介護労働者数は圧倒的に不足しています。このような労働者不足の主な原因としては①介護人材の労働環境、②徘徊被介護者管理が挙げられます。介護報酬については一貫して減少傾向であり、2015年さらに大幅な引き下げが行われました。

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介護現場における労働環境を改善するためには、介護者および被介護者の人的負担をできるだけ軽くする必要があります。筆者は、IoT+クラウドシステムが介護者および被介護者両者の身体的・精神的負担を軽減し介護現場での人手不足の解消を可能にするのではないかと考えます。

03.着るIoTの可能性

各繊維メーカーは身体情報を測定することのできる、着るIoTデバイスの開発を行っています。手軽に着用可能であるため着用者に大きな負担がなく採用することができます。ヘルスケアが主用途ですが、将来パーソントリップ IoT に応用できる可能性があります。

会社名商品名特徴
東洋紡COCOM(I 心美)独自の導電材料を使ったフィルム状の機能性素材。導電性・伸縮性に優れ、生地に張り付けることによって精度の高い生体情報の取得が可能。
東レhitoe導電性高分子をナノファイバーニットに含浸させた高い導電性をもつ生地。肌にやさしく、長時間の生体信号の測定が可能。
グンゼ導電性ニット線材導電性繊維を編みこんだ柔軟性・伸縮性に優れた導電性ニット。伸縮による抵抗変化特性により、体勢や動きをより正確に測定することが可能。

04.介護向けPaaS市場の創造

実際に着るIoTの実証実験が開始されています。NTTコミュニケーションズ、日本航空、東レが共同で地上作業員の体調管理および安全管理に着るIoTを用いています。また、東レとNTTドコモは共同で、着用するだけで心拍数をスマートフォン上で管理できるウェアラブルセンサーの販売を行っています。グンゼは導電性ニット線材で衣類そのものをつくり、伸縮による抵抗変化特性によって生地の伸縮を測定するという発想の転換にて、バイタルデータに加え姿勢や動きを正確に把握することを可能にしました。

これらのプラットフォームを介護サービスの分野で応用することによって、介護者および被介護者の身体的・精神的状況を管理し、それらのデータをもとに起こりうる事態を事前に予測し介護現場で応用することで介護者および被介護者両者の負担を軽減し、よりよい介護サービスの提供が可能になる異常な状態を感知した場合にはすぐさま介護者に異常な状況を伝達します。

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05.介護現場にIoTデバイス+PaaSモデルがもたらす意義

介護現場にIoIビスに貢献すると考えます。大規模な投資費用なくして、必要な傘下の介護施設に導入し、サービスの充実に集中できるため、商業的利益と両立させるものです。「着るIoT+PaaSモデル」が普及するためには、①IoTデバイスは着心地を追求し、着用者にとって負担が軽いものであること、②PaaSは汎用的かつ安価であることが必要と考えます。

執筆者

木村 朋嗣 氏

株式会社エスネットワークス 経営支援第2事業本部 木村朋嗣 氏

早稲田大学商学部卒。公認会計⼠試験に合格後、エスネットワークスに入社。⼊社後は財務デューデリジェンス、事業承継計画策定アドバイザリーに従事している。事業承継計画策定アドバイザリーでは、税金対策から承継後の継続的な利益創造まで最適な事業承継計画の提案を⾏う。