外食産業における 2つのPaaS型MAアプローチ

外食産業における“付加価値商品”と“日付加価値商品”の弱点

付加価値商品の代表格である「カジュアル・高級レストラン」は、単価3,000円以上であるが、売上高成長率2.1%、営業利益率3.2%と低い。
非付加価値商品の代表格である「ファーストフード」は、売上高成長率0%以下、営業利益率3%以下である。
外食産業のMA(Marketing Automation)を考察すると、食べログやプッシュ型MAはすでに普及しているが、これらのセグメントの活性化には「プラスアルファ」の機能が必要であることが示唆される。

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外食MAを進化させるプラスアルファ機能

付加価値商品セグメント

高級食材や鮮度に付加価値源泉がある高級レストランには、付加価値食材の訴求⇒顧客の獲得または精度の高い来店予測⇒食材ロスの減少⇒利益の増加⇒さらに鮮度・質の高い付加価値源泉仕入という好循環が求められる。
さらにITによる解決要件として、SCM+CRMの高度な連携を実現するプッシュMA型PaaSシステムが求められる。個人経営の高級レストランが顧客の嗜好性を捉えて1対1MAを行うプラスアルファ機能は有効である。

コモディティー商品セグメント

フランチャイズ系チェーン店は、食材調達のスケールメリットの利点を最大限に活用するために、都市圏カバレッジエリアでのMA戦略の進化が求められる。顧客のパーソントリップとCRMを連携させて重点ゾーンエリアに侵入した際のプッシュ型MAが行えるプラスアルファ機能は有効である。今後、オールイン型PaaSベンダーの登場を予見している。

フランチャイズ型からハイブリッド系への進化ポイントは、付加価値役務性サービス

フランチャイズ系のなかでも「ひらまつ」の営業利益率は25%と、群をぬいて高い。理由は、レストランウェディングという付加価値役務サービス事業の成功にある。

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「ひらまつ」のウェディング事業の競合他社に対する優位性は、本場フランスミシュランの三つ星レストランオーナーシェフとブランド使用の独占契約を締結、日本で高いブランド力を確保し、収益率の高い役務性サービスを創出している点にある。ウェディング事業では、高付加価値・高単価の設定が可能であり、事前に来店人数・料理内容が確定しているため、過剰仕込による食材ロスが出にくく、高利益が残せる事業である。そして、高付加価値・高品質商品が提供できることにより、ウェディング利用客が今後の顧客へとつながる好循環を生み出している。

付加価値サービス型とコモディティー商品型の2つのPaaSモデル

筆者は、高級食材を扱う付加価値サービス型と、フランチャイズ系の食材調達スケールメリットが発揮されるコモディティー型に分けて、PaaS市場創出を予見したい。

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従来型SCM+CRMにMA戦略最適化とプッシュ型MAのプラスアフファ機能を持たせることにより、飲食店の調達状況に応じた食材賞味期限内のプッシュ型MAを実現できるプラットフォームを予見させる。

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「空席レーダー」を持つ「Yahoo!予約」アプリ等の機能に加えて、顧客のパーソントリップビッグデータを活用し行動予測を行うプラスアルファ機能が付加されたコモディティー商品型PaaSの出現が予見される。

食材ロスの低減は経営のみならず、世界的な食料ロス削減運動の流れからも必要であり、効率化されたIoT+PaaS市場の出現を望んでいる。筆者はIoTと外食産業の親和性の視点から、成功モデルに必要なIoTとクラウドの要素を提起してゆく。

執筆者

西園 令恵 氏

株式会社エスネットワークス 経営支援第2事業本部 西園令恵 氏

同志社大学社会学部卒業。公認会計士試験合格後、2012年にエスネットワークスに入社。企業再生部門に所属し、財務・事業デューデリジェンス、事業計画策定、実行支援等を行っている。日本各地への出張が多いため、その土地々々の名産や郷土料理を探求している。