FX取引における仮想通貨決済

01.仮想通貨のIoT 親和性指標としての個人向けFX 取引市場

フィンテックの革新性は、仮想通貨にあります。個人向けFX取引は、ヒトの行動様式(パーソントリップ)と密接であり、IoT親和性指標として着目できます。個人向けFX取引における仮想通貨の動向を分析することにより、仮想通貨とIoT親和性を検証し、FX取引における無線IoTデバイス開発から、FXオペレーションのためのクラウド型アプリケーション市場まで予測できるでしょう。

決済通貨としてのビットコインの台頭

仮想通貨の代表としてビットコインが挙げられます。ビットコインといえば米連邦破産法15条を申請したビットコイン取引所のマウント・ゴックスのイメージが強いと思います。現在も、世界に数多くあるビットコインのマーケットでは1 か月間の出来高でおよそ855 万BTC(ドル換算で3,862百万ドル)の取引高があります。そして855万BTCの内、対ドルの取引が約20% 、対元の取引が約80%を占めていると言われています。これらは、マーケットの動向であり、B2C やC2Cと呼ばれるマーケットになりますが、ビットコインの価格が一定水準に抑えられることが今後決済通貨としての地位を築くために必須の条件であると考えられます。仮想通貨の取引価格が一定水準に抑えられるためには、仮想通貨に対する信頼性やシステムへの信頼性の問題がありますが、より高い流動性を以って解決につながるとも考えられます。

02.インターネットサービスとして個人向けFX 取引が発展した理由

2005年7月の改正金融先物取引法施行以降、インターネット取引を基本としたネット証券業者を経由するFX取引が増加しています。インターネットを経由することで個人投資家の得る情報量が増加するとともに情報コストが減少し、またFXは無視できるほどに取引コストが減少している(1万米ドル当たり0.3銭等)ため、個人投資家は非常に効率的なマーケットにネット証券を通じてアクセスすることができます。そして、株式市場と大きく異なる点は、実需に加え投棄的取引から生じる巨大な出来高であり、そこから生まれる圧倒的な流動性です。

個人向けFX取引の潜在的市場規模

個人が気軽にアクセスできる外国為替市場の巨大なマーケットの規模について焦点を定めます。外国為替市場全体では、ドル円の1日あたり平均で、978十億ドル(95,795十億円(2013年4月末レートで換算))の取引高が存在します。これは、投機的取引の他に、全世界の貿易や外貨両替等、全ての取引を含めたものになります。

通貨ペア取引金額(10億ドル)取引高の割合
EUR / USD128924.1%
USD / JPY97818.3%
GBP / USD4728.8%
AUD / USD3646.8%
USD / CAD2003.7%
USD / CHF1843.4%
EUR / JPY1472.8%
EUR / GBP1021.9%

 

03.日本の店頭FXマーケットの規模

日本の店頭FXマーケットでは、2015年10月月間で、ドル円の出来高が234,869十億円の取引が存在します。同様の調査で2013年4月月間のドル円の出来高が262,702十億円で、2013年4月末のレートで換算すると2,682十億ドルです。これは1日あたりに換算すると、世界の外国為替市場におけるドル円の出来高全体の12.4%が日本の店頭FX取引が占めていることになります。
また、取引割合を見てもわかるとおり、日本の個人投資家のマザーマーケットはドル円です。これは、世界中の機関投資家が為替市場を語る上で日本の個人投資家の動向を無視できないといわれる理由になります。

2015年10月日本の店頭FXの取引規模(金融先物取引業協会)

順位通貨ペア取引金額(100万円)取引割合
1USD / JPY234,869,38362.24%
2AUD / JPY40,014,34010.60%
3EUR / USD39,190,91510.38%
4EUR / JPY24,180,6476.41%
5GBP / JPY22,3376955.92%

 

国内業者の占有率

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2015年上半期の世界の店頭FX上位10社の出来高(米ドル建て)で、国内業者の占有率は、68.8%に上ります。そして日本のネット証券の2社で40%以上を占有しています。同様の調査で2014年年間取引高での国内業者の占有率は56.3%であったため、大幅にその占有率が上昇しました。下記の店頭FX業者の上位に含まれるものには、DMM.com証券、FXCM、Gain Capitalが運営するFOREX.com、OANDA、SBI証券、楽天証券なども含まれる可能性があります。
これらの企業とインターネットを通じて、個人投資家は巨大な外国為替市場にアクセスすることができます。これはインターネットが金融に与える非常に大きな役割であります。
2015年上半期取引高上位10社シェア/右図( 出典:ファイナンス・マグネイト調査 http://jp.forexmagnates.com/2015/10/06/forex-brokers/22572

尚、シェアトップのGMOクリック証券の過去1年間の出来高の推移は下記のとおりであり、2015年8月24日のチャイナショックからドル円のボラティリティが大幅に低下している相場でも、131兆1600億円の出来高があり、世界1位のリテールFX会社として君臨しています。

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GMO Click OTC FX Volumes( Yen Trillion)
( 出典:ファイナンス・マグネイト調査 http://jp.forexmagnates.com/2015/10/06/forex-brokers/22572

インターネットはより流動性の高い仮想通貨マーケットを作り出す

外国為替市場の出来高の内、12.4% を日本の店頭FX 取引が占めていることは、インターネットがそれだけ外国為替市場の出来高を増加させる可能性を秘めていたことになります。

FX 取引が行われる外国為替市場(直物)では、サーキットブレーカーや値幅制限等の投資家を保護するための仕組みが存在しません。マーケットに巨大な流動性が存在することが唯一、投資家を保護することになります。

つまり、インターネットが個人投資家を呼び込み、取引に厚みを持たせ、その流動性を以って個人投資家をサポートしています。インターネットは今後も外国為替市場にとどまらず、流動性の高い仮想通貨マーケットを構築し続け、投資家に有利なツールとして存在し続けると予測できます。

筆者は、“仮想通貨のIoT親和性指標”としての個人向けFX取引市場の動向に注視します。

執筆者

山本 貴之 氏

株式会社エスネットワークス 経営支援第1事業部 山本貴之 氏

中央大学商学部卒。公認会計士。在学中公認会計士試験に合格し、JASDAQ上場の化学製造業の経営企画部に入社。その後、エスネットワークスに入社し現職。