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フィンテックによる中小、ベンチャーの資金調達手段の多様化

01.新しい資金調達手法、クラウドファンディング、ソーシャルレンディングの台頭

IoT親和性が高い産業の中でも、フィンテックは最も相性の良い市場のひとつです。仮想通貨決済のIoTインターフェースは、小売店のレジからモバイル末端まで多様です。電子通貨や仮想通貨はすでに重要な行動様式(パーソントリップ)として認知されおり、これらの潮流から誕生したフィンテックは、マネーマーケットにおける資金調達の流れを大きく変える可能性があります。「お金を貸すのは銀行」「、出資をするのはVCやエンジェル投資家」???これらは未公開の中小企業、ベンチャー企業における資金調達の常識でありましたが、このような常識も今は変化している時代にあると言えます。クラウドファンディングやソーシャルレンディング(P2Pレンディング)というサービスによって、取引所に上場していない未公開企業であっても、世界中から資金を調達できる可能性があるのです。米Nasdaqは2015年10月にビットコイン等のバックエンドの仕組みであるブロックチェーンテクノロジーを使った未公開株式取引システム「Nasdaq Linq」を発表するなど、未公開企業の資金調達、株式売買マーケットは、ITの恩恵を受けていよいよ広がりをみせようとしています。

従来

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将来:クラウドファウンディング市場の創出

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02.金商法の法改正により投資型のクラウドファンディングが可能に

クラウドファンディングと一口に言っても、その種類は「寄付型」「購入型」「株式型」「融資型」と様々です。日本でも数年前からクラウドファンディングは話題になり今では決して目新しいものではないですが、その多くは「購入型」です。
法規制や未上場会社における情報の不透明性という観点から、「株式型」「融資型」といった、いわゆる投資型のクラウドファンディングはまだまだ黎明期にあるのが現状です。

購入型クラウドファンディングの一例

サービス名サービス開始時期特徴
READYFOR2011年3月日本で最初のクラウドファンディング。サービス開始以来16億円以上の支援金を集めている。
CAMPFIRE2011年6月日本最大規模のクラウドファンディング。クリエイター向けのプロジェクトに特化。
Makuake2013年8月サイバーエージェントが運営するクラウドファンディングサービス。

03.さらなる法改正と情報開示がカギ

今年の5月より施行された法改正により、非上場株式の勧誘は日本証券業協会の自主規制で原則禁止だったものが、少額のクラウドファンディングに限って解禁されることになりました。いよいよ、日本でも投資型のクラウドファンディングが活性化する!とも思われましたが、課題もあります。ここで規定されている「少額」とは発行総額1億円未満、一人当たり投資額50万円以下であり、これでは株式が分散化するため、とても実用的な法改正とは言えません。

また投資者保護の観点でも課題があります。金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関する ワーキング・グループ」報告書では、投資型クラウドファンディングに関する投資者保護のための必要な措置として、発行者に対するデューデリジェンス及びインターネットを通じた発行者や仲介者自身に関する情報の提供を義務付けることを求めていますが、上場企業のディスクロージャーに比較するとまだまだ曖昧な点が多いのが現実です。

クラウドファンディングの利用促進のための金商法改正

参入用件の緩和等少額(発行総額1億円未満、一人当たり投資額50万円以下)のもののみを扱う業者について、兼業規制等を課さないこととするとともに、登録に必要な最低資本金基準を引下げ。
非上場株式の勧誘を、原則禁止だったものが少額のクラウドファンディングに限って解禁。
投資者保護のための
ルール整備
詐欺的な行為に悪用されることが無いよう、クラウドファンディング業者に対して、「ネットを通じた適切な情報提供」や「ベンチャー企業の事業内容のチェック」を義務付け。

フィンテックIoT化とクラウド化は、
未上場企業資金調達マーケットの活性化と投資家保護に貢献する

投資型クラウドファンディングが日本で普及するための条件―それは更なる法改正による規制緩和と投資家の法的保護、さらにフィンテックの活用です。法規制の本質は投資者の保護にあるため、未上場会社における情報の信頼性をどのように保証するのか、が焦点となるでしょう。

上場会社における情報の信頼性を高めるためのフィンテック活用の提唱

01.企業サイドでのSaaS/PaaS クラウド型アプリケーションによる会計処理の自動化、さらに、産業サイドでの仮想通貨決済に対するIoT デバイスの標準化。この2つの潮流によってブロックチェーンテクノロジーの発達からスマートコントラクト( 契約の自動化)の世界が広がれば、企業の会計情報の信頼性は、経理担当者の属人的スキルへの依存から大きく飛躍すると考えられます。

02.監査法人や当社エスネットワークスのような財務系コンサルティングファームのデューデリジェンスによるお墨付き。フィンテックがいくら進化したとしても、企業の正味資産や正常収益力などの実態性を見極めることは難しく、未上場マーケットでのデューデリジェンス業務が増えていくことが想定されます。クラウドファンディングという概念には、IoT親和性の高いフィンテックの視点と、与信の実態性を専門家が見極めるという視点で、未上場企業に対する資金調達マーケットを活性化させる本質があります。

執筆者

佐藤 憲 氏

株式会社エスネットワークス M&A事業部 佐藤憲 氏

大阪大学経済学部卒業。公認会計士試験に合格後、エスネットワークスに入社。経理BPR、財務デューデリジェンス、事業計画策定支援等の実務を行う。その後外食企業に約2年間常駐し、IPO準備を一気通貫でサポート。2015年3月東証マザーズに上場を果たす。2015年4月よりM&A事業部を立ち上げ、現在に至るまで中小企業に特化したM&Aアドバイザリー業務に従事している。