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何故、管理部組織は機能しないのか?

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経営において経営者の判断の一翼を担う重要なポジションである管理部組織ですが、コンサルティングの現場でも、その部署が機能しないという不満を経営者の方から非常によく伺います。この問題は過去から現在において変わらず存在していますが、それだけに自社の努力だけでは改善が難しい事を表しています。
そもそも何故改善が難しいのか?その観点での主要な実務ポイントを整理したいと思います。
改善しないポイントは主に以下の3つの観点に関する経営者の判断ミスや認識ミスにあります。

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ルーチン業務を業務として認識していない

管理部組織は社内の情報処理や手続き処理等が集中的に回ってくる部署になります。そのため、経営企画室や社長室等一部の特命部署を除いて、その部署の保有するリソースの実に95%以上がルーチン業務に費やされています。昨今のコスト削減のおり、管理部署に限らずですが最低限のリソースで業務にあたる事は珍しくありませんので、下手をすればリソースの100%以上のルーチン業務を実施している事も珍しくありません。
先を見据えている経営者の立場からすれば、問題が起きていないルーチン業務の実施は報告にすら値しないもので、ほとんど興味の埒外になっています。結果、例えばその部署に10名の人間がいたときに10名もいるのに何故改善が進まないのか?という疑問を持つ事になります。しかし、実際は10名のリソースの95%はルーチン業務に割かれており、その他の改善業務や問題対応に当たるリソースは0.5名分しかないのが実情です。ここに1名分のリソースがかかる問題を経営者が投げかけた場合、2ヶ月の対応期間がかかることになりますが、10名の部署に1名分の課題を投げかけて2ヶ月かかるのは何事か!1週間でやれ!という事になります。
経営者の仕事は改善や命令を指示する事だけではなく、それに必要なリソースを調整する事も仕事に含まれますが、それを実行するためには現場の正確な状況の把握に努める事が不可欠になります。我々のコンサルティングの現場でも、実際のリソース状況等を経営者に報告する事が良くありますが、経営者側からは「自分はそうは思わない、現場の効率が悪いのが悪い」、というような類の発言を多く見受けます。実際にその指摘は的を得ており、より効率アップをする余地があることはままあるわけですが、効率アップをするための活動自体もリソースを必要とするため(コンサルティング業というものがビジネスとして成立する位、それはリソース消費するという事実)前述のルーチンが95%?100%状態の組織では、その改善活動自体が遅々として進まない、というジレンマに陥ります。このようにならないように現場リソース理解についての努力を経営者は強く払っていく必要があります。

情報の川上部署に経営者が問題改善の指示をしない

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適切な管理部組織の構築ができている会社は上図のような構成が取れています。管理部組織がうまく機能していない会社で非常によく見受けられる経営者の行動として、管理部組織から問題のある報告がなされた場合、管理部組織側を叱責する、という構図があります。
例として売掛金の回収が遅れている報告を管理部組織が経営者にした状況を想定します。本来そういった問題の報告をしたわけですから、それ自体管理組織が正常に機能しており、回収遅れを発生させてしまった営業組織に問題の改善を指示すればそれで正常化します。しかし、経営者には目の前に報告をしてきた管理部組織の人間がいるため、ひどい時にはその者に回収遅れが出たことを叱責した上で、なんとかして来い、という指示をしてしまいます。しかし、当然管理部組織には営業組織を指揮する権限は与えられていないため、管理部組織は営業組織に「お願い」をしに行くことになりますが、営業組織からすれば怒られもしない、他部署からの「お願い」、でしかないため、暇な時は相手にするとしても、優先順位は自然低くなります。結果として、状況は改善されず、さらにその報告を管理部組織が経営者に持っていくとさらなる叱責を受ける、という悪循環に陥ります。
経営者は、部署に与えている権限と、自身が持っている権限を正確に理解し、部署に与えていない権限に類する指示をしないように、そういう指示をしても部署は従おうとして(たとえ不効率であっても)努力しようとする習性を十分に理解して、慎重に指示を出す事が求められます。また、権限等越えて仕事をしろ、という発言は自ら組織統制を壊し、かつ全権限を持っている経営者だからこそいえる言葉であることを理解しなければ、現場の問題を改善していく事は難しくなります。

過去対処を優先し未来改善リソースを優先しない

当然ですがリソースには限界がありますので、物事には優先順位が非常に重要になります。必要と思われる事をすべて一瞬でできればいいのですが、現実はそのようには対処できません。まして①で記載したようにルーチン業務以外のリソースが非常に限られている管理部組織ともなれば、優先順位の重要度は非常に大切です。
例えば予算と実績の数値分析をしている状況を想定します。ある事柄が新たに気になり、新たな数値を分解するように指示をしますが、この際かなりの場合、すぐに結果を知りたいため、まず過去分の分解をするように指示を出してしまいます。しかし、当然経理部は当初想定した分解以上の依頼をされれば情報をそのように集計していないため、膨大な作業をしてその数値を把握しに行こうとします。本来その事柄が重要な事象であれば、まず優先すべきはその数値を未来に向かって取得できるための努力をする事になります。そうしなければ、過去分を分解している端から未来に向かって不明な数値がどんどん積み上がってしまい、それを永続的に追いかけるような対応になってしまいます。結果、少ない改善のためのリソース等をそういった作業に使う事が定着してしまい、その他の改善や未来に向かった対応ができない状況が続くことになります。こういった事が折り重なっていった結果、管理部組織が機能不全に陥ってしまう事が見受けられます。
経営者が何かが気になった際にそれをすべて知りたいという感覚は正常なものです。一方で、すべてを実行するだけのリソースを持っていないという事を強く認識し、限られたリソースの中でやるべき事を選択する場合、多くの場合は「未来に向けた改善」が「過去の調査」より優先すべきであるという点を理解し、判断していく事が重要になります。

制作協力:株式会社マイティ・マイティ

執筆者

 滝島知樹 氏