• ホーム
  • インタビュー
  • 若い人がどんどん 事業をつくる世の中へ。株式会社オプトホールディング 代表取締役社長CEO

若い人がどんどん 事業をつくる世の中へ。株式会社オプトホールディング 代表取締役社長CEO

p04_05_01

株式会社オプトホールディング
代表取締役社長CEO 鉢嶺 登 氏

1967年、千葉県生まれ。
1991年、早稲田大学商学部卒業後、森ビル株式会社へ。
3年間勤務後、1994年に有限会社デカレッグス(現:株式会社オプトホールディング)を設立、代表取締役社長に就任。
1999年、eマーケティングへシフト。2004年JASDAQへ上場。
2005年、株式会社電通とeマーケティング分野全般における資本・業務提携を結ぶ。
2010年にカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社とデータベースマーケティング事業において、資本・業務提携を結ぶ。
2013年10月、東京証券取引所第一部へ市場変更。
2015年4月、持株会社制へ移行、株式会社オプトホールディングに改称。
「一人一人が社長」が社是。

中学生で経営者になる、と決めた。

p04_05_03
須原伸太郎(以下須原):まず初めにお聞きしたかったのは、鉢嶺さんの幼少期です。
鉢嶺さんのリーダーシップは先天的なものだったのか、それとも後天的なものだったのか?

鉢嶺登氏(以下鉢嶺氏):学級委員や生徒会を務めていたので、人の前に立つことには多少興味があったかもしれません。
目立つことは決して得意な方ではなかったのですが、
小学2年生の時、クラスで手を挙げて発言したら、担任の先生にめちゃめちゃ褒められました。
それ以来、やりたいことについてはきちんと主張しようという姿勢にはなりました。

須原:その頃なりたかったものは?

鉢嶺氏:中学の時に経営者になると決めました。
戦国武将の伝記を読むのが大好きで、“男として生まれたからには国に何か残したい”という思いが沸いてきて、
そういう職業って何だろうと思い浮かんだのが、政治家と経営者と先生でした。
それで選んだのが経営者。
もうそこからはそのために動いてきました。

須原:決めるのが早いですよね(笑)。
経営者から政治家へ転じる方がいますが、その可能性はありますか?

鉢嶺氏:いや、まったくないですね。
それよりもグロービスの堀義人さんのように、有識者を集めて日本版ダボス会議『G1サミット』を立ち上げ、
政治家や官僚の皆さまを動かしているのを見ると、新しい国の動かし方を発明されたと思いました。

須原:一国の首相になれるとしたらどうでしょう?

鉢嶺氏:今は政治的な側面よりも、自分の仕事の中で、世の中を動かしていけるほうが喜びや楽しみを感じられるし、イメージができますね。

須原:昨年スタートした『「地方創生」貢献プロジェクト』もその一環ですか?

鉢嶺氏:そうですね。
日本が抱えている課題は、政治家にならずとも、自分たちの仕事の広がりの中で雇用を生んだり、地方を創生させたり、
社会保障費を落としたりなどのサービスを生み出すことができる。
今はそういう世の中だと思います。

とくにネット系はそういうサービスをスピーディーに始めることができる。
やりたいと思えば、投資をして、人を配置し、事業が繁栄すれば、世の中が変わる。
そのほうが私としてはやりやすい。

須原:わかりました。
では、経営者になると決めた鉢嶺さんが、最初の社会人の入り口として、不動産デベロッパーを選ばれた意図は何ですか?

鉢嶺氏:そこはもう少し話を遡ると、そもそも大学に行くつもりもありませんでした。
日本の大学は経営者になるための勉強をするところじゃない、4年間も無駄じゃないかと思っていました。
でも、日本人はブランドを好むので、入学だけして辞めようと思っていたんです。

ところが、入学後も何で起業すれば良いのかわかりませんでした。
親からは大学で見つかることもあると言われ、結局大学には4年間通い、その間に様々なバイトを経験しました。
けれど起業したいと思う事業が見つかりませんでした。

そんな中、唯一興味を持ったのは都市開発でした。
何かを変える、変革させることに興味があった私は、人の流れを変えたり、街の雰囲気を変える都市開発が面白く映り、森ビルを選びました。
しかし、経営者になると決めていましたから、3年で辞めると周りに宣言して入社しました。

須原:私も学生時代、何をやるかすごい考えていましたが、結局見つかりませんでした。
でも、何をやるかは実は本質的な問題じゃない。

鉢嶺氏:私の姉はデザイナーで、デザイン系の大学に行き、デザイン会社に就職しているんです。
やりたいことが明確な姉からは「お前は一体何をやりたいんだ」といつも言われ、何がやりたいんだろう?と。
でも、やりたいことは職業では切れないことに気づきました。

今となって思うのは、やりたいことはいろんな角度から切れるのだということ。
だから単純にお医者さんやデザイナーとかではなく、関心あることや興味のあることは、いろんな切り口である。
その職業こそ、経営者なのでしょうね。

須原:若い方に伝えたいですね。
鉢嶺さんは採用にすごく力を入れていますが、学生にはどういうメッセージを打ち出していますか?

鉢嶺氏:私は、安定志向の人は求めていません。
世の中を変えたいと思っている会社なので、興味がある人は来てくださいと言っています。
5年前にはキャッシュ150億円を5年間ですべて投資するので潰れるかもしれません。
その代わり、世の中をネットで変えるんだという人、来てください、と。

騙されても納得できる人を採る。

須原:成長企業に共通しているのは、創業時や成長期のチーム編成です。
オプトさんにも多士済々な人が揃っていました。
どうやってそういう方々を見抜き、揃えられたのですか?

鉢嶺氏:私は人にすごくこだわりがあるので、ベースは「人として信頼できる人」。
これは当たり前なのですが、この人だったら騙されても納得できるという人を口説いて、重要なポジションを任せてきました。

須原:私が懇意にしているゴルフ雑誌「ALBA」の島崎社長もかつて鉢嶺さんの部下でした。
島崎さんは簡単に言うことを聞かないタイプですが(笑)、そういった個性派をどうコントロールされていましたか?

p06_07_02

鉢嶺氏:私はいろんなタイプを仲間にしようと言ってきました。
人間として信頼できるというベースがあれば、タイプは多彩で構わない。
会社は伸びるばかりでなく、苦しい時もありますから、常に新しいことをやりたい人がいても、守りが得意な人がいてもいい。
特に創業期は、利益はすべて人に投じてきたので、
あるコンサルの方から「オプトは20名程度のベンチャーなのに、非常に優秀な人が多い」と褒められた時は嬉しかったです。
だから、会社が伸びる時に、そういう人材がいたというのは大きかったと思います。

須原:鉢嶺さんは創業時の食うや食わずやの時期から、社会のことを考えられる今の段階になっても、
コンセプトは変わらず、すべて繋がっている気がします。

鉢嶺氏:事業展開は想像とは違うものもありますが、やりたいことは変わらないですね。

須原:理想ですね。

鉢嶺氏:戦国武将の影響が強くて(笑)、私は日本に貢献したいという思いが非常に強いのです。
それは社会人3年目の時、たまたま行ったエジプト旅行で、川で洗濯している情景を見て、
日本はいかに幸せなのかと気付かされたことに起因します。

終戦後の日本も同じような状況だったはずなのに、先人の頑張りによって今の日本がある。
だとすれば、私たちが今チャレンジしなければ、この先の日本は本当にまずい。
だから社員にもどんどん起業しろと言っています。

私たちは事業創造プラットフォームというコンセプトで、20年、30年後の事業をつくるために次々と事業を生み出していますが、
これが日本にとっての貢献になる。
起業したい人を集め、次々とチャレンジさせ、株式保有によって資産を形成させ、次の後輩ベンチャーへ投資する。

このエコシステムを回していくのが、今の夢です。
優秀な人を集め、どんどん挑戦させて、新事業を次々と創造することの方が、政治家になるよりも日本の将来に貢献できると思っています。
だからそれをやる。単純な話です。

p06_07_01須原:単純なだけに説得力があります。
鉢嶺さんのように、社会の役に立ちたいと起業される方はもちろんのこと、
たとえば最初の動機は、「フェラーリに乗りたい!」とかでも構わないから、どんどん起業した方が良いですよね。

鉢嶺氏:それで良いと思います。
それは「欲」だから、人が必ず持っているものです。
でも、「欲」と「志」は違って、欲は自分がしたいことだけだから、他人から見ると応援する意味がない。
一方、事業によって、こういう世の中をつくりたいんだという「志」は他人が応援したくなる。
これは大きな違いです。

なので、社長を集めた講演会では、「志」の次元まで行こうぜ、という話はしています。

須原:まったく同感です。
今は若者があまりにも起業に対して怯えてしまっている。
鉢嶺さんが起業した頃と今とではセーフティネットが全然違いますよね。

鉢嶺氏:今はノーリスクだと思います。
ノーリスク・ハイリターン。
なぜ、やらないの?

松下幸之助さんも言っていますが、人より良い生活がしたいのが人情だと。
だから、モテたい、いい車乗りたい、いい生活したいとかは誰もが必ず持っている。
だったらどうすればそれができるかと言えば、資本主義では資本家になるしかない。
そのチャンスを私たちは仕組みとして用意するので、起業すればいいと社員には伝えています。
株を10%とか持って上場すれば、それなりのリターンが入る。
こういう仕組みを提供することで、ミドルリスク・ミドルリターン型のモデルを提供しています。

若い人がどんどん
事業をつくる世の中へ。

須原:では、オプトグループの今後のビジョンを教えてもらえますか。

鉢嶺氏:お話ししましたように、事業創造プラットフォームカンパニーになることです。
インターネットはアメリカでもまだまだ新しい事業がたくさん誕生しています。

だから、日本でも私たちがスピード感を持って、新しいビジネスをどんどん生み出し、産業界自体の新陳代謝を図っていかないといけないと思っています。
且つ、インターネットは若い人の方がチャレンジしやすい業界なので、どんどん若い人を採用して、
チャレンジしたい人に次々と新しい事業を起こしてもらえれば、それが20年後、30年後、50年後の日本の大きな繁栄のもとになると思っています。

1年前にホールディングカンパニー化したのも、1社で何万人の企業をつくるのではなく、
100人の会社を100社つくって1万人にしたいし、それぞれが売上100億円になれば、1兆円カンパニーになる。
そういうイメージをしています。

「一人一人が社長」という社是のとおり、一人一人が自立をして、どんどん会社をつくっていく。
そういう社会にしていくほうがこれからの時代には合っているし、そういう世の中をつくるというのが、ある種、私の使命であると思っています。
これらを実現していけば、オプトグループの企業価値も上がると信じています。

須原:それともうひとつ、鉢嶺さんのキーワードに地方創生があります。

鉢嶺氏:昨年、平将明内閣府副大臣を名誉理事に迎え、
弊社とヤフー株式会社、ソウルドアウト株式会社、慶應義塾大学上山信一教授を理事に『ネッパン協議会』という一般社団法人を立ち上げました。

中小・地方企業がICTの利活用を十分できていない現状を踏まえ、
協議会に加盟していただいた企業さまにはICT利活用のノウハウをどんどん提供していき、全国的に広げていこうという取り組みです。

これから日本が再興するためには、地方創生は1つの大きなカギです。
オプトグループでも地方企業のICT利活用やマーケティングを専門でサポートするソウルドアウト株式会社を立ち上げ、支援に取り組んでいます。
インターネット広告の伸び率は地方が都心の何倍も伸びています。私たちとしてもサポートのしがいがあります。

無理だと決めずに
高い目標を立てる。

須原:鉢嶺さんは怒鳴ったり怒ったりする印象がまったくあp04_05_02りません。
鉢嶺さん流リーダーシップのスタイルとは?

鉢嶺氏:怒れた方がいいと思いますよ(笑)。
しかし、タイプではないんです。
僕が尊敬するのは織田信長なんですが、全然違うタイプで、ある意味、羨ましいというか憧れですね。
鬼軍曹みたいな人は社内にいないと困りますが、自分がなるのはちょっと厳しいです。

須原:では、信長が理想として、自分に近い武将は誰ですか?

鉢嶺氏:どうでしょう。あの3人で言ったら家康でしょうか。
私はこういう風にしてみたいんだけど、どう思うかな?
いいですねと言ったら、
じゃあやってみて、責任は持つから全部任せるよ、というタイプですね。

須原:わかる気がします。じーっと待つタイプ。

鉢嶺氏:そう、私は時間がかかるんです。
カリスマ性のある経営者の方が、一気に伸ばす時には伸ばしやすいと思うのですが、私はとにかく時間がかかる。

須原:鉢嶺さんも世の中的にはカリスマ経営者のお1人だと思いますが。

鉢嶺氏:いえいえ。

須原:ご自身の認識がそうではないというのは、目指しているものがすごく高く大きいので、
自分は全然できていないと常に思っているからですよね。
お会いする経営者さまは皆共通して、どこまで行っても自分はできていないと思う人ばかりでした。

では、最後に読者の経営者の皆さまへ一言メッセージをいただけますか?

鉢嶺氏:私は目標設定をすごく重要視していて、高い目標を立てることが重要だと思っているんです。
目標が高くなければ、そこに到達できない。
だから、地方にいる皆さまも自分の置かれた環境を理由にせず、地方にいるからこそできることや、採用を実現してほしいと思います。

私たちも数名しかいない創業時にベンチャー志向のある優秀な人を採用してきたので、皆さまにも必ずできるはずです。
すべて考え方次第です。

目標を高く設定して、どうやったら事業によって地方を変えられるのか、地方に貢献できるのか。
これをみんなでやっていける日本になったら素晴らしいなと思います。

須原:本当にそうですね。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

編集後記

鉢嶺さんとの出会いは8年前。
当時オプト社が進めていたM&Aで、鉢嶺さんが売り手、私が買い手代理人として知り合いました。
利害が対立する立場での出会いでしたが、交渉が成立して以降はノーサイド。
良いお付き合いをさせていただいています。

当時から鉢嶺さんは泰然自若。
微笑みを絶やさず、静かな語り口で、でも熱い。
良き経営者には、「素朴さ」「強さ」「透明感」の3つの顔つきが備わっている(経営学者/伊丹敬之氏)という分析がありますが、
私から見た鉢嶺さんは、まさにこの3つそのままの顔つきの方。
物事をきちんと深く考えている人ほど、その思考プロセスの原点が顔に出る。

織田信長を信頼しつつも、恐れた徳川家康。
鉢嶺さんも信長に憧れつつ、自らは家康を自任。
家康が天下を獲ったように、ネット業界と地方をますます席巻していくオプト社を楽しみにしています。

執筆者

NEXT CFO 編集部

 NEXT CFO編集部

経営者・管理職にCFOの役割を広めたい!CFOが活躍する社会をつくることで、日本経済を活発にしたい!そんな想いでNEXT CFOのメディアを運営しています。