【連載企画】#04.固定資産台帳について

その1 建物の調査方法と評価編 -1-

前回は自治体が作るべき固定資産台帳についてお話をしましたが、今回は建物の調査方法と評価についてお話していきたいと思います。

自治体が持っている建物は、主に以下のようなものがあります。

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これら自治体が保有する建物については、築年数が30~40年経過している物件も珍しくありません。(高度経済成長の終期である1970年代に学校や庁舎などのインフラを整えた団体が多かったため)
新旧含め、どのような物件を持っているか確認するため、まずは既存の管理台帳や、各課で整備している資料について収集し、調査を行います。また、自治体の保有する施設では建築年月日や延床面積などが不明な場合もあるため、追加で各課にヒアリングを行うこともあります。
建物の本体のみならず「資本的支出」といわれるものも同時に調査をします。資本的支出には、建物の防水・外壁工事、電気・機械工事やエレベータの入れ替え(大規模修繕※)、増築工事などが当てはまります。
「資本的支出」と言われるものの調査の仕方はまちまちですが、過去10年から20年程度の自治体の工事台帳等を精査し、資本的支出に該当するものを抽出するというのがポピュラーな方法です。(電子化されていることもありますが、手書きの資料も多く、苦労することが多いです。ときには大正時代以降の資料を1 件1 件確認することもあります)
建物本体の建築費に加え、こうした資本的支出の金額を加えることにより、自治体がこれまでいくら投資をしてきたか、またどれだけ建物が老朽化しているかについて、精緻に計算ができるようになるのです。

※自治体が所有している建物はRC 造(鉄筋コンクリート造)のものが多いのですが、風雨により年々物理的に劣化をしていきます。そのような物理的劣化を補修し、長らく使えるようにするため、「大規模修繕」という工事を行います。大規模修繕を行うと使える年数が伸びる(建物の寿命が伸びる)ため、建物本体以外に別途資産として固定資産台帳に計上します。

執筆者

高桑 昌也 氏

株式会社エスネットワークス 地域開発事業本部 公会計サポート室 室長 公認会計士・税理士 高桑昌也 氏

慶應義塾大学卒業後、金融庁検査官を経て現職。地方自治体の財務アドバイスが専門。明治大学会計学特別講義(国際会計基準)講師、著書多数。