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【連載企画】#02.地方自治体に対する支援について

前回地方自治体の会計に関する課題についてお話しましたが、今回は具体的にどのような支援を行っているか解説します。

現在主に以下の分野で支援を行っております。

「1.固定資es_p20_21_150513_03産台帳整備」は前回の記事で触れましたように、地方自治体の資産のうち9割が固定資産となっております。ただし、地方自治体はこれまで収支については細かに記録していましたが、ストック情報(地方自治体がどのような資産を持っているか)についてはあまり記録をしてきませんでした。この資産の状況を棚卸しして、1つの帳簿にまとめるのが「固定資産台帳整備」です。

固定資産台帳整備作業※は、主に以下のような手順で進めます。①から⑦までで約半年~2年程度のプロジェクトとなります。

①自治体横断的な推進体制の確立

庁内の体制整備は、各部署で管理している資産データを公会計で採用する台帳(固定資産台帳) 形式に一元的に取りまとめる必要があること、各部署の固定資産管理の状態を把握したうえで、現実的な一元管理の方法を定める必要があることなどから、必須といえます。 庁内の体制整備では、まず作業の事前段階に、全体のとりまとめを担当する財政課等をはじめ、データの管理・評価を担当する管財課等、公有地評価に関連する各部署の担当者、及び実際に施設を管理する部署等が参画し、財産整備の状況・評価の現状を確認するとともに意見交換を行うことが重要です。また、庁内に委員会・ワーキンググループ(WG)等を設置することにより、より有効に各部署間の連携を図ることができます。

我々の支援としては、財政課である説明会、キックオフへの出席などとなります。 地方自治体によりこれまでの管理手法や帳票に差異、レベルの濃淡があるため、各自治体の現状に即した対応が求められます。

 

②計画・準備

整備推進担当課(またはWG等)及び資産を保有している関連部署合同で、打ち合わせを実施し、 現在の資産の管理状況等を把握し、台帳整備の方針、スケジュール等を策定します。

我々の支援としては、各課(管財課、土木課、教育課、水道課、消防など)への説明会の開催、スケジュールの策定などとなります。またFAQも準備し、各課からの質問についてもクリアにします。

 

③様式の作成

現在の台帳整備状況を踏まえ、固定資産台帳に記載すべき事項を決定し、あわせて、各部署にて調査を実施するための調査様式(シート)を作成します。この際、1から固定資産台帳を作成するのではなく、現在保有している公有財産台帳など、既存データを基礎にして必要なデータを追加して作成することが近道です。ただし、各台帳が部門毎に個別に管理され、現在の状況を正しく反映しているとは限りませんので、台帳の統合等を行う際は、台帳同士の照合を行うことが必要です。

我々の支援としては、調査票の作成、各課での調査における助言となります。数字に馴染みのない各課でもわかるような調査票の提供が重要です。

 

④資産の棚卸

各主管部署において、公有財産台帳を基礎として、その他庁内各部門で独自に管理している台帳等と照合します。この際、固定資産の実地調査を行うことで、現物の棚卸と台帳上の記録の整合性を図ることが望まれます。

我々の支援としては、実地調査対象物件の選定、実地棚卸への同行となります。 実地棚卸についてはその固定資産が実際に存在するか(実在性の検証)、有効に機能しているかなどのチェックを行います。

 

⑤データ作成

各主管部署において、作成した調査様式に基づき資産データを作成(入力)します。

⑥データ統合

各主管部署で作成した調査様式を回収し、資産区分毎に1つの台帳データに統合します。

⑤⑥については自治体側の作業となりますが、作業が円滑に進むよう、フォーマットの提供や助言を行います。

 

⑦開始時簿価の算定

統合した台帳データを基に開始時簿価を算定します。

我々の支援としては、収集したデータを元に、会計方針の立案、耐用年数の設定、減価償却の実施、開始時簿価の算出となります。 地方自治体の資産は少なくとも数千件ありますので、膨大な作業となってきます。

 

⑧固定資産台帳の作成

固定資産の実地調査を固定資産台帳に反映させ固定資産台帳を完成させます。

我々の支援としては、固定資産台帳の整備、及び内容の地方自治体への報告(会計方針など)となります。資産セグメント(建物、水道管、橋梁、物品など)ごとの経過年数や資産老朽度(=減価償却度)も触れ、資産マネジメントに活かせるような報告とします。

 

執筆者

高桑 昌也 氏

株式会社エスネットワークス 地域開発事業本部 公会計サポート室 室長 公認会計士・税理士 高桑昌也 氏

慶應義塾大学卒業後、金融庁検査官を経て現職。地方自治体の財務アドバイスが専門。明治大学会計学特別講義(国際会計基準)講師、著書多数。