平成26年 改正会社法

平成17年に制定された会社法。
平成26年の会社法改正は制定後約9年を経て最初の本格的な改正。
平成27年5月1日から改正法、改正法務省令等が施行。
改正事項は「コーポレートガバナンスの在り方」と「親子会社に関する規律」の見直しが中心。

「コーポレートガバナンスの在り方」と「親子会社に関する規律」の見直しは、
商法改正、会社法制定の際にも議論の対象とされたが積み残された経緯あり。

それだけに、意見の調整は難しく、長年にわたり会社法改正に向けての課題であったため、
見直しは十分とはいえないものではあるが、それなりの目的は達したものであるといえる。

それに限らず、社会的・経済的要請に応えるための措置、
濫用的な行為を防止するための措置を講じており、
多岐に及んでいることから、改正文の数も多く、しかも、新設条文が多いのが特徴。

本稿では、その中でもコーポレートガバナンスの在り方の見直しについて説明する。

会社法上の定義

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01.コーポレートガバナンスの見直し

社外取締役を設置していない場合の取り扱い

社外取締役の設置義務は見送られたが、取締役は、当該事業年度に関する定時株主総会において、社外取締役を置くことが「相当でない理由」を説明しなければならないとしている。(改正法327条の2)

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社外取締役の役割

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説明義務を負う意味

▼相当でない理由:単に社外取締役を置かない理由ではなく、社外取締役を置くことが「相当でない理由」を書くこととしている。

これは「社外取締役を置くことがかえってその会社にマイナスの影響を及ぼすというような事情を説明しなければならないもの」と解されている。
「相当でない理由」の説明が困難なことを加味すれば、社外取締役の設置を間接的に強制→「Comply or Explain」(「ルールに従え、従わないならば、その理由を説明せよ」)のルールの一種。

適用時期

株主総会での説明義務経過措置は設けられていないため、改正会社法施行後(平成 27 年5月1日以降)に開催される定時株主総会から適用される。5月1日以降に開催される定時株主総会から適用。
株主総会
参考書類への記載
5月1日以降に株主総会招集の手続を開始(取締役会による招集を決定)する株主総会に係る株主総会参考書類から適用。
経過措置として、施行日前に招集の手続が開始された株主総会に係る参考書類の記載については従前の例によるとされている(改正法務省令附則第2条第5項)。「施行日前に招集の手続が開始された場合」とは、施行日前に株主総会参考書類の記載事項が、取締役会の決議によって決定された時点を指す(会社法第298 条第1項第5号、同条第4項、会社法施行規則第 63 条第3号イ参照)。3月決算会社においては、通常5月上旬から中旬に開催される取締役会において、定時株主総会の招集、及び株主総会参考書類の記載事項が決定されることから、実質的には本年の定時株主総会に係る参考書類から適用されることとなる。
事業報告への記載5月1日以降に監査役の監査を受ける事業報告から適用。
経過措置として、「施行日以後に監査役の監査を受ける事業報告」については、会社法施行規則第 124 条第2項及び第3項の規定が適用され、相当でない理由を記載しなければならないものとされている(改正法務省令附則第2条第6項ただし書)。
「監査役の監査を受ける事業報告」について、監査役会設置会社においては、特定取締役が監査役会の監査報告の内容の通知を受けた日に監査役の監査を受けたものとすることとされているため(会社法施行規則第 132 条第2項)、施行日以後に特定取締役が監査役会の監査報告の内容の通知を受ける事業報告は、会社法施行規則第 124 条第2項及び第3項の規定が適用されることとなる。3月決算会社においては、4月下旬から5月上旬以降に監査役に対して事業報告が提供され、5月上旬以降に監査報告の内容を特定取締役(通常は代表取締役)に対して通知するという実務スケジュールが概ね想定されることから、実質的には本年3月に終了する事業年度に係る事業報告から、適用されることとなる。

 

02.社外取締役・社外監査役の要件の見直し

親会社等関係者でないことを追加。(改正法2条15号ハ、16号ハ)
過去要件に関して対象期間を就任する前の10年間に限定。(改正法2条15号イ、16号イ)

 現行法改正法
社外取締役①現に会社の業務執行取締役、執行役、支配人、その他の使用人(業務執行取締役等)でない者。
②現に子会社の業務執行取締役等でない者。
③過去に①または②になったことがない者。
①②現行と同じ。
③過去10年に①または②になったことがない者(この期間に非業務執行取締役、監査役、会計参与、になったことがある場合は、その就任前10年間に①または②になったことがないことを要する。)
④現に親会社等又はその取締役、執行役、支配人その他の使用人でない者。
⑤現に兄弟会社の業務執行取締役等でない者。
⑥現に会社の取締役、執行役、支配人その他の重要な使用人または親会社等の配偶者または2親等以内の親族でない者。
?社外監査役①現に会社の取締役、会計参与、支配人その他の使用人でない者。
②現に子会社の取締役、執行役、会計参与、支配人その他の使用人でない者。
③過去に①または②になったことがない者。
①②現行と同じ。
③過去10年に①または②になったことがない者(この期間に監査役になったことがある場合は、その就任前10年間に①または②になったことがないことを要する。)
④現に親会社等又はその取締役、監査役、執行役、支配人その他の使用人でない者。
⑤現に兄弟会社の業務執行取締役等でない者。
⑥現に会社の取締役、支配人その他の重要な使用人または親会社等の配偶者または2親等以内の親族でない者。

 

03.取締役および監査役の責任の一部免除契約

業務執行取締役等であるものを除く取締役または監査役は、社外取締役または社外監査役でないものであっても、責任限定契約を締結することができる。(改正法427条1項)

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04.会計監査人の選任等に関する議案の内容の決定

株主総会に提出する会計監査人の選任等に関する議案の内容は監査役(監査役会)が決定する。(改正法344条1項)

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05.監査等委員会設置会社の創設

監査役会設置会社と委員会設置会社(改正法により、指名委員会等設置会社に改称)を認めているが、これに加えて監査等委員会設置会社を新設。(改正法2条11号の2)

 現行法改正法
 監査役会(監査役会設置会社)監査委員会(指名委員会等設置会社)監査等委員会(監査等委員会設置会社)
構成員・員数監査役3人以上監査委員たる取締役・3人以上監査等委員たる取締役・3人以上
常勤の必要性必要不要不要
選任方法総会で選任取締役会で監査委員として選任総会で選任、その後、取締役会決議により、監査委員として選定
任期4年1年2年
権限適法性監査適法性・妥当性監査適法性・妥当性監査
取締役会の構成員として業務執行の決定に参加
執行権限代表取締役・業務執行取締役執行役代表取締役・業務執行取締役
 改正前に少なくとも2人の社外監査役の選任が義務づけられており、本改正によりさらに社外取締役も選任しなければならないとすると、社外取締役の機能活用という観点からは利用しやすいとはいえない。経営者の人事権や報酬決定権を社外取締役が過半数を占める指名委員会および報酬委員会に委ねることへの抵抗感から広く利用されるには至っていない。取締役の人事や報酬を取締役会に保留させた上で、取締役会の監督機能の充実という観点から、社外取締役の機能を活用するための方策。
執筆者

NEXT CFO 編集部

 NEXT CFO編集部

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