地域経済環境〜北海道版〜

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この記事は2015年2月発行のREVOLVING DOOR vol.07より転載しております。

私は、2008年9月に北海道に転勤となって今年で7年目となる。 その間、東京と北海道を行き来するなかで 東京と北海道の経済についていろいろと考えさせられる場面があった。 そのような中で今回は、道内の景気の状況と活性化策について検討してみたいと思う。

    道内企業の景況感はここ数年全国平均を下回ることが多い。直近においても、日本経済新聞社が全国の主要企業・団体を対象にまとめた「地域経済500調査」において、半年前と比べた道内の景況感を示す景況判断指数(DI)はマイナス9.7と、前回調査に比べ33ポイント下落した。 2012年9月調査以来、4期ぶりの低水準となっている。 半年後の先行きDIもマイナス25.8と、全国平均(プラス21.0)を大きく下回っている。 これほど、全国との差がついたのは珍しいが、これが現状と考えられる。

 次に、より具体的、個別の状況について検討してみたい。 財務情報の入手のしやすさも考慮にいれ、北海道の上場企業について全国の上場企業と比較してみる。 特に今回は北海道の企業がどれだけ競争力を高めていけるかという観点からROEを指標として分析してみることとする。 ROEは、”Return On Equity”の略で、「株主資本利益率」や「自己資本利益率」とも呼ばれる。 すなわち、企業の純資産(自己資本)に対する当期純利益(税引後利益)の割合である。 本指標は、企業の収益力を判断する財務指標の1つであり、自己資本を使って、どれだけ効率的に利益を生み出すことができるかを表すとともに、自己資本がどれだけ高い成長力を持つかも表している。 一般的には、日本企業の収益性には、平均値が非常に低いという特徴があるといわれる。 実際、年金運用見直し有識者会議は日本企業が最低8%のROEを目指すことを勧告した。 S&P500種指数の平均値20%やブルームバーグヨーロッパ500指数の平均値は16%程度といわれる。 2014年夏時点の東証一部上場企業の平均値4.6%よりは高まって、直近のROEの平均値は8.5%近くにまで拡大している。 (ただし、これは企業価値が高まったというよりも円安の効果が大きいものと考えられる。)

 このような状況下、道内企業のROEを算定してみると8%ほどとなっている。 (なお、特殊事情で指標が異常値となっているフジタコーポレーション、ジーンテクノサイエンス、北海道電力は除外している。) 調査した上場会社の決算期がバラバラのため、時間軸を調整するのが難しいものの景況感から想像される程度と考えられる。 今回、私が特に注目した点としては、ドラッグストア業界が好調であること、ROAが高いもののROEに伸びしろがある企業があることの2点があげられる。 1点目については、サッポロドラッグストアー、ツルハホールディングス、アインファーマシーズといったドラッグストア業界が揃って相対的に高めの数字となっている。 業界規模の拡大が進んでいる状況のなか、資本効率を意識した上手な経営が行われていると考えられる。 もう1つは、多くの企業でROAが上位の企業は、ROEも上位になる傾向のなか、ダイイチ、札幌臨床検査センター及びアークスなどにおいては、ROAが上位にもかかわらず、ROEが上位に入らないケースが散見される。 いずれも自己資本比率が相対的に高いためである。 特にアークスについては、勝ち組企業同士のM&Aを繰り返すことで数年来業界再編の軸となっており、財務健全性を重視しているためと推測される。 ROAが高いことを前提とすると借入と自己資本の構成を見直すこと(いわゆる財務レバレッジ)でROEは比較的簡単に高めることができる。 これらの企業は、ROEに一定の伸びしろがあり、財務戦略の工夫によって経済を牽引する軸になるものと考えられる。

  国内においては、デフレ経済の下においても、企業は不採算事業部門を持ち続けてきたといわれる。 特に、道内においてもスーパー、飲食店等の店舗数が人口に対して過剰気味である。 雇用を守るという意識から、新陳代謝の遅れを招いている面があるものと考えられる。道内においては、日本全体に比べ、人口減少の問題が先行して起こるものと考えられている。 そのため、道内においてはどのように経済を維持していくかが、本来はより切実なものとなるはずである。 今回は、経営力のある企業(経営者)を選びだしその候補を探ってみた。先ほどあげたようなROAが十分に高い企業が、借入を有効に活用し、再生などの支援を必要とするような企業をまとめていくことは1つの有効な施策であるものと考える。 私は、ここに道内企業(経済)の活性化の鍵があるのではないかと考えている。

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執筆者

NEXT CFO 編集部

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