今を最高のパフォーマンスで。成長著しいじげんCFOの軌跡

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これからの日本経済を牽引していくと期待される「NEXT(ネクスト)1000」。
その中でも特に成長著しい企業の一つとして注目度が高いのが株式会社じげん(ZIGExN Co., Ltd.)だ。そのネーミングには、インターネットを通じ、社会課題と向き合い、次元を超えるような突き抜けた事業・サービスを数多く生み出していきたいという意欲が込められているという。現在、人材、不動産、自動車といった領域でライフメディアプラットフォーマーとして複数のアグリゲーションメディア、特化型メディア等を運営している。同社の企業価値向上を支えるCFOはどんな人物なのか。今回は若くしてじげんのCFOを任される寺田修輔氏を探ってみた。

 

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興味が自分を動かした。「総合力」で勝負できる世界へ

――寺田さんは幼少期に描いていた夢はありましたか?

私の両親は医師で、実家は医療法人を経営しています。小学生のころは当然のように自分も医師の道に進むんだと思っていました。ただ、どうしても理科の勉強に興味が持てなかった。国語や社会のストーリー性が好きで、算数も何だかんだと楽しみながら学べたのですが、理科だけは他の科目の半分くらいしか偏差値がありませんでした。大人になってみると自然科学も大変興味深い分野だと思えるのですが、当時は興味の無さがそのまま苦手意識になり、医師以外の道を目指すことにしました。

その後大学生になって株式市場に出会い、金融業界に興味を持ちました。高校生時代にアルバイトで貯めた100万円と、親からの借金100万円。合計200万円を元手に株式投資をスタートしたんです。

結果は散々でした。始めて半年でライブドアショックがあり、資金は一気に半分に減ってしまいました。100万円は親に返さなければいけないので、高校時代に汗水流して稼いだお金が全て吹っ飛んだということになります。ただ、この経験から株式市場に対する興味は高まりました。「飽きっぽい自分でも、飽きずに付き合って行けるんじゃないか」と(笑)。

 

――それでアナリストの道に進んだということなんですね。

 そうですね。正直、株式市場に関わる仕事であれば何でもいいとは思っていました。セールス、トレーダー、キャピタルマーケット、リサーチ、複数の部門や職種で選考やインターンに参加しました。そこで出会った他の候補者は、コミュニケーション能力に秀でた人、高い数学的素養がある人。芸人さん並みにプレゼンテーションが上手な人、と「一芸」を持っている場合が多かったのですが、私はそういうタイプではありませんでした。一方で、気力体力知力の「総合力」であれば勝負できるとも感じました。そしてそれが一番求められるのがアナリストなのではないかと考え、外資系証券会社へ就職し、自分にとっての生存確率が最も高そうなアナリストとして働いていくことを決めました。

 

高い専門性だけではなく、コミュニケーション能力も必要とされるアナリスト。この頃から寺田氏はCFOとして求められるハイブリッドな能力。即ち「総合力」が求められる現場で多岐にわたるケイパビリティを身につけていった。では実際、アナリストとしてどのような経験を積んだのか聞いてみよう。

 

 

――不動産セクターアナリストとして働かれていたとのことですが、領域はご自身で選ばれたのですか?

 いえ、そもそも20業種くらいある中で配属先候補はかなり限定的で、ジュニアポジションが空いている枠にあてがわれる形でした。とはいえ、非製造業が良いと伝えてはいたので結果的に希望通りになりました。

 

――そこで7年ほど経験を積まれたんですよね。

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はい。私の場合、証券会社にとってのお客様である機関投資家や上司、同僚に恵まれていたこともあり、若いうちに本当に多くの経験ができました。例えばポジションについても、20代で日本の不動産チームのヘッドに就いたり史上最年少でバイスプレジデントやディレクターに昇進したりと、責任や権限のある仕事をさせて頂きました。

CFOへの道という意味では、不動産セクターは資金調達のプロジェクトに多く関与するので、他のセクターのアナリストと比べて発行体の財務戦略に深入りできる非常に良い環境でした。更に、私が入社した2009年頃の不動産セクターはリーマンショック直後でB/S(貸借対照表)を精緻に分析しないと自信を持って投資推奨をすることはできませんでした。DTA(繰延税金資産)の回収可能性の変化によってP/L(損益計算書)に影響が出ないかとか、国内外に保有するアセットに評価損や減損の可能性がないかとか、オフバランスの債務をバリュエーションに反映させたらどうなるかとか・・・。色々なコネを使って各方面の専門家の意見も聞きながら企業価値を算定して、更にそれを機関投資家の方々にプレゼンテーションしてフィードバックを受けながら徹底的にディスカッションしていたので、生き物としての企業を教材に財務や会計について知識や経験を得ることができました。

 

――CFOの職務は相当広く全ての実務を経験できる環境は少ないように感じていますが、アナリストという職業は汎用性があったと。

どういう意識を持ってアナリスト業務に取り組むか、という点が重要だと思います。私はセクターの主担当を務めるアナリストの中では競合他社の同職種の方々と比べて圧倒的に若手だったので、いわゆる株屋的に物語を創作するのではなく、数字やファクトで説明責任を果たそうと。汎用的に、でもマニアックなところまで追求しようと考えました。それが他の方々との差別化だと思いました。結果的にはそれが今のCFOという職種に生きています。

 

外資系のアナリストはジョブ型でスペシャリストとして活躍されている方が多いという印象があるが、実際はそうとも限らないようだ。むしろ金融のプロフェッショナル職の中でもアナリストは総合力が問われる。その中でどこを強みにするかは本人次第なので、そういう意味で自由度の高い職業だという。
では、ここからはいよいよ、じげんCFOとしての活躍の話に入っていこう。

 

――アナリストからCFOに転じるきっかけは何かあったのでしょうか。

アナリストをやっていると、誰でも一度は事業会社で働きたくなるんじゃないでしょうか。転職の経緯はコーポレートブログでも記事にしてみたのですが、いっそ自分が経営に関与した方がいいのではないかという傲慢さと、事業会社経験もないのに偉そうにという卑屈さの矛盾した想いの狭間でチャレンジしてみたくなりました。ただアナリストというのは、主担当を務めるくらいになると仕事もエキサイティングだし、待遇や裁量権を含めて非常にやりがいがあって居心地も良いんですね。またアナリストを長く続けていると、今更ゼネラリストに転向できるのか・・・という心理的ハードルも高くなってしまいます。私が転職を決断できたのは、アナリストとしてのステップを若いうちに経験できたからで、キャリアチェンジする踏ん切りがつきやすかったんです。

 

――アナリストからCFOになろうと考えてじげんに入社されたんですね。

実はCFOだけではなく、経営に携わるという視点で幅広く検討していました。自分で事業を起こしてみようとも少しだけ考えましたし、PE(プライベート・エクイティ)ファンドという道も検討しました。その中でじげんに出会いました。

社長の平尾の戦略やビジョンに惹かれたというのも一因でしたが、企業価値が今後成長していきそうだと判断したからという理由もあります。実際、オファーが出てから半年くらい待ってもらい、アナリストとしてじげんをデューデリジェンスしていましたが、確固たる事業戦略があって、且つそれを遂行していくオペレーション力も備わっていると感じました。

 

――環境が変わって苦労していることは?

今はCFOとして、経営戦略部、経営管理部という2つの部署を率いています。コーポレートと言われる機能の中では広報と人事と総務以外の全てが担当ということになります。管掌範囲は投資、経営企画、財務、IR、会計、経理、法務。特にM&Aをはじめとする投資には力を入れて取り組んでいます。

東証上場企業の経営陣として、やはり日々の意思決定の重さは感じます。また、様々なバックグラウンド・異なる専門性のある人が集まって組織は動いていますので、その舵取りは簡単ではありません。なので一つ、常に明確に持っている軸があります。それは「企業価値にどれだけ影響を及ぼすか」。例えば私は経理の実務経験はないですが、会計上の論点がある場合にはCFOとして事態を掌握し、意思決定しなければいけません。そこで先ほどの軸に立ち返り、その論点が企業価値にどんな影響があるかをもとに判断し、監査法人と議論したり、メンバーからエスカレーションされる事項に対して意思決定したりしています。

 

――意思決定。これはCFOならずとも経営者にとって非常に重要で且つ責任のある仕事の一つですよね。他に寺田さんの中でCFOはかくあるべし。ということはありますか?

経営を車に例えて、事業を推進するアクセル役とリスクマネジメントをするブレーキ役が必要だ、という話がありますよね。そして世間一般的にはCFOがブレーキだと。これに対してはまず、CFOはブレーキだけ踏んでいればよいわけではなく、アクセル役としての機能も必要なはずです。加えていうなら、CFOが行うべきリスクマネジメントはブレーキを踏むことではなく、危険を察知して自動的に止まるセンサーを設置することだと考えています。アクセルは踏みたいときに踏み、様子をみながら踏み込んだり緩めたりすればいいのですが、ブレーキが属人的ではリスクマネジメントになっていないと思うんです。ポイントを押さえ、とってはいけないリスクには自動ブレーキが作動する。この仕組みを作っていくことが非常に重要だと思います。

例えば、私が入社直後にじげんに搭載したセンサーは、M&Aの投資基準です。じげんの経営陣はもともとかなり厳格に投資の意思決定をしていましたが、その基準は必ずしも社内外に通じる共通言語として可視化されていませんでした。そこに定量的な投資基準や撤退基準、守るべき財務目標を設けて、これさえあれば現経営陣がいなくても、資金調達や投資が適切なリスクコントロールのもと実行できる。アクセルを踏みすぎたときは自動ブレーキがかかるという仕組みを作りました。この基準は、私が入社した直後の2016月5月に中期経営計画に一部織り込んで対外的にも発表しています。

 

――CFOとして、この先じげんのプランを可能な範囲で教えていただけますか?図1-2

じげんにはアグリゲーションメディアというサービスがありますが、それを含めてライフメディアプラットフォームというビジネスを展開したいと考えています。事業領域を広げていくこともそうですし、アグリゲーションメディアだけではなく特定の業界や地域に特化したメディアも活かしながらプラットフォームの幅を広げ、メディア以外のサービスにも染み出していくという、縦と横それぞれの軸での成長ベクトルを描いています。その中で、どこからやっていくのか、どう優先順位を付けるのかというオペレーションのところを考え、組み立て、一つ一つ着実に進めていきます。

そして縦と横に広げていく先に何があるのか、ということを言語化し、社内外に伝えていければと思います。

 

――将来、寺田さんがCEOになることはありますか?

 今はないと思っています。実はじげんに入社する時には、将来的に企業のトップに就くことも目指したいなと漠然と考えていました。ただ実際、じげんという事業会社に入ってみて、平尾という事業と組織を創造し推進することができる魅力的な事業家や、彼の右腕・左腕になっているような事業部側の執行役員、事業責任者と議論を交わしていく中で、自分はヒト・モノ・カネを調達し、適切な投資を実行し、企業がジャンプアップできるような環境を整える役割でありたい。参謀役の方が性に合うじゃないかと感じました。このポジションでやれること、このポジションでしかやれないことは、攻めでも守りでもたくさんあります。私のミッションはじげんという会社の企業価値を愚直にあげていくということに尽きると思います。

 

アナリスト時代から、長期的な将来像を描くものの、短期的に一番大切にするのは今の立場や役割に対して全力を注ぐこと。そんな寺田氏から将来CFOを目指す方へメッセージをもらった。

 

まず、新卒でこれから社会に出るという方の行動はマジョリティとしては10年前も今も変わらないですね。世の中の動向によって人気の業界・職種があり、個の力を高めたいと思いつつ、少し守って大規模企業に進む・・・みたいな。ただどうあっても、組織に対して依存度を高めるキャリアはこれからうまくいきません。散々言われていることですが、今“イケテル”企業でも3年後、10年後はどうなっているかわかりません。特にインターネット業界とかベンチャー企業はそうなのかもしれません。

大切なのは、自分がそこでいかにやり切り、成長できるか。そして短期的にはまず、特定分野でしっかり自分の旗を立てることです。現職で成果が出ていないのに次のキャリアを考えて浮ついてしまうのは、個人的にはどうかなと思います。

例えば長期的な目標としてCFOになると決め、ベンチャーに入るとか、金融に入るとか、商社に入るとか・・・人それぞれでいいのですが、入ったからには目の前の仕事で最高のパフォーマンスを出すことです。そしてそれができていれば、チャンスはやってくるんだと思います。私は前職でリクルーティングも担当していたので、新卒や中途の候補者から将来プランはありますか?と聞かれることが多かったのですが、その時はいつも「今の仕事を120%やりきるだけです」と言っていました。

 

――最後に、将来実家にもどって病院経営ということも?

一生絶対ないかと問われれば分かりませんが、現時点では全然考えていません。今もたまに実家に帰って横から口を挟んでいるので、これくらいが丁度良いですね(笑)

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【プロフィール】

株式会社じげん CFO 寺田修輔
東京大学経済学部卒業後、2009年、シティグループ証券入社。株式調査業務、財務アドバイザリー業務に従事し、2014年より不動産チームヘッド。
2016年、経営戦略部部長としてじげん入社。現在はCFOとして経営戦略部、経営管理部を率い、投資、経営企画、財務、IR、会計、経理、法務の責任者を務める。

 

2016 Thomson Reuters Analyst Awards Japan 1位(家庭用耐久財収益予想部門)。
CFA協会認定証券アナリスト。
コーポレートブログ(http://corporateblog.zigexn.co.jp/)も執筆中。

執筆者

NEXT CFO 編集部

 NEXT CFO編集部

経営者・管理職にCFOの役割を広めたい!CFOが活躍する社会をつくることで、日本経済を活発にしたい!そんな想いでNEXT CFOのメディアを運営しています。

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