上場準備での内部統制プロジェクトの進め方

この記事は2014年8月発行のREVOLVING DOOR vol.05より転載しております。

内部統制監査制度の導入から一定程度の期間がたち、 上場会社については経験が蓄積され、効率的に内部統制の評価を行っていることであろう。 一方、上場準備会社については上場後の内部統制監査対応のために 上場準備中に内部統制の文書化及び運用評価テストのプレ運用を行うことは、 過度もしくはご担当者によっては不要な負担と考えているのではないだろうか。

本記事では、上場準備会社におけるJ-SOX対応の意義及びプロジェクトの進め方について解説する。

 

01.J-SOX対応が劣後する理由

多くの上場準備会社は内部管理体制の整備を優先し、J-SOX対応を劣後させる傾向にある。

そもそもJ-SOX対応を上場準備の一環として行っている理由は上場後の内部統制監査を受けるための事前準備を行うためであり、必ずしも証券会社の審査部対応でJ-SOX対応は求められていない場合もある。 そのような理由があるため、証券会社の公開引受部の指導もJ-SOX対応を劣後して指導する傾向にある。

 

02.内部統制対応と上場準備の関係

下記図のようにJ-SOX対応で作成した文書と上場準備の審査部に提出する文書の相当程度は重複する。

内部統制対応と上場準備の関係

 

03.効率的な上場準備を進めるための方法

上場企業に求められている内部統制の基準に準じた内部統制を構築していけば、これまで証券会社の審査部に提出するために作成してきた文書や構築してきた体制のほとんどを事前に準備できていることになり、上場準備のほとんどを進めることができるようになる。

ただしながら、J-SOXに対応するための特有の以下の文書は上場準備で利用はしないことが多いため、優先順位を引き下げて対応するべきである。

内部管理体制が構築されているという前提で統制の有効性について特定のチェック項目で問題がないかのチェックリスト

右記の文書はあくまで会社の内部管理体制が構築されているという前提で統制の有効性について特定のチェック項目で問題がないかのチェックリストである。 最も作業ボリュームが重い作業は会社の内部管理体制を構築することであり、当該作業はJ-SOX対応と上場準備作業とほぼ重複する。

しかしながら、右記の文書の作成は内部統制の実施基準で定められているチェック項目のチェックであるため、上場準備では重要性が低い文書であることが多い。このような文書は上場審査を受ける上で突破する必須項目である内部管理体制の構築に劣後して対応すべきであろう。

また、右記の文書は内部統制監査のうち業務プロセスの監査の運用評価テストの中心となる文書であり業務フローのリスクが生じる箇所と当該リスクを抑制するコントロールの対応関係を整理した文書である。上場審査ではリスクコントロールマトリクスに該当する文書は通常使用されないため、上場審査対応という観点では劣後して対応すべきであろう。

 

04.最後に

「J-SOX対応」というと形式的な対応が多く、文書のみを作成する無味乾燥な作業だという印象を持つ担当者様が非常に多い。 しかしながら、J-SOX対応で求められる各種文書を作成する過程で主に管理部にとってブラックボックス化していた業務が「見える化」し、業務を効率化することができるケースが非常に多い。

上場するための単なる作業ととらえずにJ-SOX対応に取り組むことで会社の地力を底上げすることができると考えるべきである。

執筆者

NEXT CFO 編集部

 NEXT CFO編集部

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