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【タイへの進出】マーケット事情とタイ法人のメリット・デメリット

この記事は2017年11月発行のREVOLVING DOOR vol.17より転載しております。

当社グループの海外展開の歴史は10年前に遡り、
2008年にベトナム社会主義人民共和国に、2015年にはシンガポール共和国に それぞれ子会社を設立し、
進出先各国においても ハンズオン手法を中心に、主として現地進出法人を 対象に会計・税務・労務をはじめとした経営管理機能を提供して参りました。

それに続き本年度初頭より、上記の2カ国に加え、 新たにタイ王国においても子会社を設立し、本格的な稼動を開始いたしました。
当記事では当社が進出したタイ王国の近年の経済状況を概観しご紹介いたします。

 

タイの基礎情報

◆タイ王国 Kingdom of Thailand

◆面積 513,120km2        ◆人口 約6,884万人

◆政体 立憲君主制         ◆主な言語 タイ語        ◆通貨 バーツ(Baht)

※国際機関日本アセアンセンター発行のアセアン情報マップより抜粋

 

第1章 タイ近年のマーケット状況

1.近年のマクロ経済状況

実質GDPの推移

実質GDP成長率は2014年0.91%、2015年2.94%、2016年3.23%、2017年3%(予測)であり、
2015年以降は毎年約3%の緩やかな成長を見せています。
近年の経済成長要因とは主として、政府の公共投資、観光客によるインバウンド、
そして個人消費が挙げられます。

2.タイの貿易収支状況

タイの輸出は2014年227,462百万THB、2015年214,310百万THB、
2016年215,388百万THBと推移しており、ここ数年低迷している状況です。
最大の輸出相手国である中国の経済状況が落ち込んでいることから、
中国向け輸出が減少していることが大きな要因として考えらます。

項目2014年2015年2016年
輸出227,462(100万ドル)214,310(100万ドル)215,388(100万ドル)
輸入227,749(100万ドル)202,653(100万ドル) 194,198(100万ドル)
経常収支15,224(100万ドル)32,106(100万ドル) 47,685(100万ドル)

出典:タイ中央銀行

3.民間消費動向

近年やや足踏み状態にありますタイ経済ですが、今後も成長が見込まれると考えられるのが、民間消費です。

タイ 民間消費・失業率・賃金の動向

直近の民間消費の動向を見てみますと、2011年のチャオプラヤ川洪水による影響、
そして2016年のプミポン国王崩御が個人消費の下押し要因となったものの、民間消費指数は増加基調にあります。

また、1人当たりの所得も堅調に増加していることから、特にサービス消費が全体の民間消費指数を牽引している状況であり、
今後もサービス関係への消費が増加していくと考えられています。

 

第2章 タイ外資誘致策

1.近年のタイの外資誘致策(統括会社の優遇措置等)

2015年1月にタイ投資委員会(BOI)が7ヶ年投資推奨戦略発表しました。(下記詳細)

7ヶ年投資推奨戦略概要

◆研究開発・イノベーションの創出、農業・工業・サービス業における付加価値の創出、
中小企業への投資促進、公正な競争、経済的・社会的不平等の是正   を促すことにより、
国の競争力向上に寄与する投資を奨励する。

◆持続的且つバランスのとれた成長のため、環境にやさしい事業、
省エネ事業または代替エネルギーを使用する事業を奨励する。

◆バリューチェーンの強化と地域のポテンシャルに合致する投資クラスター(Cluster)の創出を奨励する。

◆南部国境地域内における経済発展の支援の目的で、域内投資を奨励し、地域の安定化を後押しする。

◆近隣諸国の経済連携の構築と、アセアン経済共同体(AEC)発足に向けた準備のため、
特別経済開発区、特に国境地帯の工業団地内外での投資を奨励する。

◆タイ企業の競争力ならびにグローバル経済におけるタイの役割の拡大を図るべく、タイからの対外投資を奨励する。

今回の7ヶ年投資推奨戦略のBOI取得による恩恵は、「業種に基づく恩恵」と
「メリットによる追加恩恵(国、産業の発展に貢献)」によって各種優遇措置を受けることが可能となりました。(下記詳細)

業種に基づく恩恵

各業種にてグルーピングを行い、それにより受けることが可能な恩恵が変わってきます。

グループA法人所得税免除機械輸入税免除原材料輸入税免除税制以外の恩恵
A1 国の競争力を向上させる、デザインや、研究開発(R&D)に主眼を置いたナレッジベースの事業8年間(上限なし)+メリットによる追加恩恵
A2 国の発展に貢献するインフラ事業、タイ国内の投資が少ないか、またはまだ投資が行われておらず、付加価値の創出に高度技術を使用する事業8年間(上限なし)+メリットによる追加恩恵
A3 既にタイ国内に生産拠点が少数あるものの、国の発展にとって重要な高度技術を使用する事業5年間(上限なし)+メリットによる追加恩恵
A4 技術がA1-A3ほど高度でないものの国内原材料の付加価値を高め、サプライチェーンを強化する事業3年間(上限なし)+メリットによる追加恩恵 ◯

 

グループB法人所得税免除機械輸入税免除原材料輸入税免除税制以外の恩恵
B1 高度技術を使用しないものの、バリューチェーンにとって重要な裾野産業競争力向上の為の追加恩恵と、地方分散の為の追加恩恵(一部業種)
B2 高度技術を使用しないものの、バリューチェーンにとって重要な裾野産業

 

メリットによる追加恩恵

競争力向上のための投資を行う事によって下記優遇措置を受けることが可能になります。

投資/支出の種類追加免税額(投資金額)
技術・イノベーションの研究開発:自社研究開発/タイ国内の外注先による研究開発、またはタイ国外の機関との共同研究開発200%
委員会が同意する、タイ国内にある技術・人材開発基金、科学技術分野の教育機関、専門訓練センター、研究開発機関および政府機関に対する支援 100%
タイ国内で開発された技術のライセンス料100%
高度技術訓練100%
タイ国籍者が51%以上株式を保有する、タイ国内の原材料・部品メーカー(Local Supplier)の開発:高度な技術訓練および技術支援100%
委員会が同意する、製品およびパッケージのデザイン:自社、またはタイ国内での外注 100%

 

投資÷支出最初の3年間の
総売上に対する比率
法人所得税の追加免税期間
(上限額も追加)
1%または>2億バーツ1年間
2%または>4億バーツ2年間
3%または>6億バーツ 3年間

 

地方分散の為の追加恩恵

一人当たり所得の低い以下の20県、すなわち、
カーラシン、チャイヤプーム、ナコーンパノム、ナーン、ブンカーン、ブリーラム、プレー、
マハーサーラカーム、ムクダーハーン、メーホンソーン、ヤソートーン、ローイエット、シーサケート、
サコンナコーン、サケーオ、スコータイ、スリン、ノーンブアラムプー、ウボンラーチャターニー、
アムナートチャルーン(特別措置が別途ある南部国境地域や特別経済開発区以外)に立地する場合、
以下の追加恩典を受けることが可能となります。

但し、既に8年間の法人所得税の免除が付与されるグループA1およびA2の業種は、
それに代わり免除期間終了後5年間にわたり法人所得税を50%減税の恩恵を受けられます。
※BOI当局が判定した事例に基づき作成しております。ライセンス申請時のケースによって下記内容は変更される可能性があります。

 内容 A1 A2 A3 A4 B1 B2
 業種に基づく法人所得税の免税 8年間8年間  5年間3年間  ☓ ☓

 追加法人所得税免税

 ☓ ☓ 3年間 3年間 3年間 ☓

 法人所得税免税期間終了後
5年間にわたる法人所得税の50%減税

 ◯ ◯ ☓ ☓ ☓ ☓

 輸送費、電気代、水道代の2倍を
10年間控除

 ◯ ◯ ◯◯  ◯ ☓

(訳注:通常の減価償却以外に)
インフラの設置・建設費の25%を追加控除

 ◯ ◯ ◯ ◯◯  ☓

 

 

工場用地開発の為の追加恩恵

 内容 A1 A2 A3 A4 B1 B2
 業種に基づく法人所得税の免税 8年間8年間  5年間3年間  ☓ ☓

 追加法人所得税免税

 ☓ ☓ 1年間 1年間 ☓

 

※競争力向上、地方分散に該当する場合も追加恩恵を受けられる可能性があります。

 

2.クラスター制作

また、7ヶ年投資推奨戦略の他に、バリューチェーンを強化すべくクラスター政策を発表しました。
スーパークラスターとその他クラスターに分類され、その恩恵としては下記の通りです。

スーパークラスターの恩恵

◆法人所得税を8年間免除し、終了後5年間にわたり法人所得税を50%減税

◆機械輸入税を免税

◆土地所有の許可

◆対象事業 :自動車、自動車部品、電気・電子部品、通信機器、
エコ石油化学・製品、デジタル、食品研究開発、ロボット

その他対象クラスター

◆法人所得税を3年〜8年間免除し、終了後5年間にわたり法人所得税を50%減税

◆その他上記同様

◆対象事業:上記以外に農産加工品、繊維

 

3.タイランド 4.0

タイ政府は、今後の目指すべき経済社会のあり方を示した「タイランド4.0」を、2015年に発表しました。
2036年までの先進国入りを目指した長期ビジョン政策であり、持続的かつ安定的な経済成長を実現させるための政策です。

タイランド4.0の対象事業としては、自動運転、IOT、医療、バイオテクノロジー、食品開発、
ロボット、航空、バイオ燃料・化学等が挙げられており、
今日の産業構造を一変させ、デジタル経済社会の実現、先進技術及び研究所を設置して先進国入りを目指すという政策です。

今後これらの先進技術を持った企業の研究施設設置及び事業拡大先として、タイへの進出が増加するものと考えられます。

執筆者

NEXT CFO 編集部

 NEXT CFO編集部

経営者・管理職にCFOの役割を広めたい!CFOが活躍する社会をつくることで、日本経済を活発にしたい!そんな想いでNEXT CFOのメディアを運営しています。

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