株式会社リアルワールドCEO 菊池 誠晃氏の推進する働き方改革とは?

この記事は2017年11月発行のREVOLVING DOOR vol.17より転載しております。

株式会社リアルワールド 代表取締役社長 CEO 菊池誠晃氏

株式会社リアルワールド
代表取締役社長 CEO 菊池誠晃氏

今回は、弊社グループの税理士法人エスネットワークスのクライアントをご紹介させていただきます。株式会社リアルワールドです。弊社とのお付き合いは10年以上、税務を通じて、その時々のステージに合わせたさまざまなご支援をさせていただいてきました。

ITベンチャーである同社は2005年に創業。幾度となく訪れる逆境を乗り越え、創業9年目の2014年に東証マザーズへ上場を果たされた企業です。今回も担当者が率直なご意見をいただきにお伺いしました。

ご協力いただいたのは株式会社リアルワールド代表取締役社長 CEOの菊池 誠晃氏です。同社はインターネット上の会員約1,000万人へ向けたクラウドソーシングサービスの「CROWD」始め、ポイントメディアの「Gendama」などを運営しています。

とくに注目すべきは「CROWD」。インターネットを介して「時間」や「場所」にとらわれず、特別なスキルや経験がなくてもできる新しい働き方を提供すると同時に、仕事を依頼する企業には会員約1,000万人が労働力となり、一瞬で仕事を完了することができるというまったく新しいビジネスモデルを創出しました。ある意味、これからの働き方を変えるトリガーとなるモデルです。では、税理士の井上がインタビューします。

 

一文字入力、1秒働く、という新しい働き方。

Q.まずは御社の事業を改めてご紹介いただけますか?

菊池社長:弊社はネット上の約1,000万人の会員に向けたクラウドソーシングというサービスを提供しています。会員は主に主婦の方をはじめ地方在住の方で、この方々に誰でもできる簡単なお仕事、例えば空いた時間に一文字入力するとか、検索して調べるといった隙間時間を活用いただけるお仕事をお願いし、報酬を得ていただいています。

1,000万文字の入力作業も、1,000万人の会員に一人一文字を同時に入力していただければ、一瞬で完了します。もしくは会員一人1秒の時間をいただければ、1,000万人で1,000万秒。日数にすると約115日分です。24時間かかる作業も一瞬で終わらせることができます。会員一人あたりの負荷は少なく、発注する企業としては1,000万人の労働力を安価に得ることができます。

会員の方からすれば、インターネットを通じて、1秒単位で働けたり、一文字単位で働けるので、「時間」や「場所」に拘束されません。子どもが昼寝をしているときや介護の合間とか、働きたくても外に出られないような方でも自由に働くことができる。そういった新しいビジネスモデルを展開しています。

Q.1,000万人の労働力というのは凄いですね。

菊池社長:はい。ただ、1,000万人の労働力を使うにしても、企業の方がそのまま会員に仕事を依頼することは大変です。誰にでもその仕事をできるようにするためには、仕事を細かく切り分ける、マイクロタスク化という作業が発生します。

そのため、昨年弊社では、その作業を担うクラウドディレクターを育成するために「リアルキャリア社」を立ち上げました。この会社で育成したクラウドディレクターを企業に派遣させていただき、約1,000万人をコントロールするという仕組みです。

また、八戸市でインターネットBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービス事業などを展開する「ノーザンライツ社」に弊社グループへ参加いただき、同社が得意とする在宅ワーカーの定着と育成ノウハウを活用して、全国に在宅ワーカーやクラウドディレクターを広めていく取り組みを進めています。

 

最適なグループ経営の形を探して。

株式会社リアルワールド 代表取締役社長 CEO 菊池誠晃氏

Q.弊社とは10年を超えるお付き合いになりますが、そもそも弊社を選ばれた理由を教えていただけますか?

菊池社長:たしか、創業2年目の頃ですね。管理体制があるかないかのタイミングでご協力をいただきました。当時から上場を目指していましたので、これから管理部門や税務をしっかり固めていくためにご依頼をさせていただきました。

御社を選ばせていただいた理由は、安心感ですね。ノウハウのあるスタッフの方が揃っていましたし、それに弊社の事業はまったく新しいビジネスモデルなので、消費税の面でアドバイスいただけたのがポイントでした。弊社の場合、会員の方への報酬はポイントという形をとります。ポイントはいつでもまとめて交換ができるのですが、このポイントをどう扱うべきなのかを一緒に考えていただきましたね。

上場の前後も一気通貫でご対応をしていただき、何事も非常に円滑に進めることができました。やはり経験が違うなと感じました。

Q.ありがとうございます。今後は弊社にどんな期待をされていますか?

菊池社長:現在、M&Aにも積極的に取り組んでいる中で、グループ会社が増えてきました。各会社のアイデンティティや経営に対するコミットメントもあり、なかなか精度の高い数字が取り込めていないのが実情です。ですので、グループ全体の当期純利益の着地が非常に読みづらい状況があります。

今後はこの純利益までを含めた予実の精度が非常に重要になってくると思いますので、この点はグループ会社に求めるというよりは、本体がしっかりとコントロールしていかないといけないところかなと感じています。グループ全体でどう最適化していけばいいのか。こんな点をアドバイスいただけたらと思っています。

Q.かしこまりました。今後のグループ経営についてはどのようにお考えですか?

菊池社長:今まさに取り組んでいるのがグループ経営の策定です。いちばん最適なグループ経営とはどうあるべきか。グループ会社がより活きる方法や投資をすべき分野、利益に直結する分野など、それらをきちんと見つめながら、グループ経営の方針を固めていこうと考えています。

東証一部上場を見つめたときの準備の一環ではありますが、どういう形が良いのかは、これから様々な情報を通じて最終意思決定をしたいですね。今後の事業展開については、国内を勝ち切らないと意味がないと思っていますので、まず国内強化です。

事業機会という意味では、もし海外事業に伸び代が見えた場合は、そちらに舵を切る可能性もありますが、あれもこれもと中途半端にするよりは1つのことでしっかり結果を出して、達成していきたいと考えています。

 

働き方は江戸時代から変わっていなかった。

Q.御社グループが目指しているのはどこでしょうか?

菊池社長:そうですね。今、「働き方革命」という言葉がありますが、当社としては働き方の選択肢をより多く提供していく会社でありたいです。とくに地方に住まわれている方にとっては、現在も働き方の選択肢が少ない状態が続いていますので、そこを変えていくような会社でありたいと考えています。

実は、働くという仕組みは、江戸時代からずっと変わっていないんです。今、インターネットが広まって、いろんなものが変わりつつある中で、働き方だけが変わっていない。でも、変えるという表現は私としては好きではなくて、やはり選択肢を増やして、今の働き方でなかなかマッチしない方々に新たな機会を提供する。そういうきっかけをつくっていくような企業であり、事業でありたいと考えています。

 

地方の強みは今後ますます出てくる。

株式会社リアルワールド 代表取締役社長 CEO 菊池誠晃氏

Q.この記事の読者には地方の経営者がたくさんいます。ぜひ、同志として、メッセージをいただけますか?

菊池社長:私自身、愛媛の出身なんです。愛媛のすごい田舎で、そこにいたからこそ、今のクラウドソーシングや他の事業があると思っています。地方からは東京にすべてがあるように見えますが、実は東京にはなくて地方にあるものがいっぱいあります。もしくはその地方にないこと自体が強みになったりします。

例えば、北海道からなぜニトリが生まれたのか。北海道には家具店が少なく、とはいえ多くの人は高い家具を買いたくはない。では、そういった人たちにどういう家具を提供できるのだろうというところからニトリは始まっています。地方は地方の強みがあり、その強みはグローバルでも展開できると思います。

地方、地元にどれだけ目を向けられるか。そこに気づければ、地方にチャンスがありますし、むしろ東京よりもたくさんあると思うのです。それこそ今後はインターネットによって、ますます東京である必然性は減っていきます。そうなればなるほど、固定費、人件費を押さえられる地方のほうが、より効率的な経営ができます。効率的な経営になるということは、東京よりも踏み込んだ経営ができるということです。

地方の強みは今後ますます出てくる。そういう時代になっていくだろうと思います。働くことも一緒です。東京で働くことがハッピーかと言えば、そうでもないですよね。一生懸命働いて、毎月高い家賃を払って、残りのお金はというと知れています。そういった意味でも、働くというところから企業のあり方が全般的に変わっていく。そして、その中で地方の機会はより高まっていく。あとはそれをどれだけ活用できるかだと思います。

Q.御社も地方でチャレンジされる可能性はありますか?

菊池社長:私は大学時代にも起業していて、そのときは愛媛を変えたいと思っていました。でも、力不足で実現はできませんでした。そういう意味では、力をつけた今、再度、地方にいかに貢献できるか考えていきたいと思っていますが、今のクラウドソーシングを活かすには、一地方ではなく全国をまとめて変えた方が効果的だと思っています。

その一方で、実は、愛媛県には「一社一村」という企業と市町村の交流を通じた地域活性化を行うプロジェクトがあり、弊社は愛媛県の西予市と提携をさせていただいています。これから市と一緒に当社の観点からみた街づくりを一緒にやっていく予定です。また、弊社の会員の多くは地方の方が多く、地方は弊社のビジネスモデルにとって非常に重要な部分でもあるので、ゆくゆくは地方でのチャレンジも視野に入れていきたいと思っています。

 

最終的に行き着くための経営判断。

Q.上場企業の経営者として思うところがあれば教えていただけますか?

菊池社長:最近私が思っているのは、上場してこの3年間、今の株価への期待や明日ないしは3ヶ月以内の株価にばかりに気を取られ、すごく短期的な思考で運営をしたり、物事を判断してしまっていたなと。短期的な視点に偏っていては、大きいことは実現できない。そういう発想が会社を混乱させてしまうのではないかと思い始めています。

なぜ、このような話をしたかと言うと、この夏休みにローマをはじめ欧州諸国を旅してきました。ローマには2,000年以上前からの街並が残っていて、ローマの人の「新しい」という基準は、100年前のものでさえ新しいのだそうです。そう考えたときに自分はどれだけ超スーパー短期間で考えているのか。一方、ローマの彼らは何かを成し遂げようと考えたときに、自分の一生だけでなく、その後にも続くことを考えていました。

企業経営もそういう視点で考えないといけない。自分が生きている間だけ、あくせくみんなで頑張って、いなくなったら何の跡形もなく消えてしまう。これではすごくさみしい会社になってしまいます。短期的に何かあったとしても、最終的には目指すべき場所へしっかりと行き着くための経営判断をしていかなくてはと思ったのです。

上場企業として本当にそれでいいのかというご指摘もあるかと思います。しかし、最終的に当社が本当にやろうとしていることをご理解いただいている株主さまには、その時にお応えすることができると思っています。成長はもちろん重要です。しかし成長は結果です。それ以上に、これからは本質をしっかり見つめて進んでいこうと思っています。

とても良いお話でした。本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。

 

株式会社リアルワールド

[本社]
東京都港区六本木1-6-1 泉ガーデンタワー33F
TEL:03-5114-3580(代)
URL:http://www.realworld.co.jp/

CROWD WEBサイト

同社が展開するクラウドソーシングサービス「CROWD」のクラウドワーカー向けWEBサイト。「スマホで1文字打つことが仕事になる」というフレーズがこの新しいビジネスモデルを表現している。

株式会社リアルワールド オフィス風景

同社のグループ会社は現在6社。そのうち4社が六本木のオフィスに入っている。

株式会社リアルワールド オフィス

「今を生きる人と未来を生きる人に必要とされるサービスをつくりだせる企業になれなければ、存在する意味はない」と菊池社長。ネットが暮らしや仕事に関わり、それをカタチにして、やがて日本経済の基盤にしていくことが同社の使命。

執筆者

NEXT CFO 編集部

 NEXT CFO編集部

経営者・管理職にCFOの役割を広めたい!CFOが活躍する社会をつくることで、日本経済を活発にしたい!そんな想いでNEXT CFOのメディアを運営しています。

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