どうなる?未来の新卒採用

新卒 採用 未来 考察

1.はじめに

 企業において“人材”に関する悩みが尽きることはないのではないでしょうか。経営者(CEOやCFO)の皆様とお話させて頂くと、「いい人材がほしい」「人がいない」というお話を耳にすることが多くあります。

また、たとえいまがいい状態だったとしても、その場合の課題は「維持・継続すること」になると思いますし、会社自体が変化・進化していく上で、その“いい状態”の定義も移り変わっていくものです。

本記事では、これから減少していく日本の人口、その中でもとくに減少著しい若年層、いわゆる『少子高齢化問題』を背景に、『働きかた改革』や『企業における多様性』を踏まえ、近年の新卒採用の傾向と今後の展望についてお伝えさせて頂きます。

未来の話をするとポジティブな話よりもネガティブな話に集中してしまう昨今ですが、そのような未来を乗り越えていくには事実から未来を想像する先見性が必要です。本記事が皆様の未来を考える一助になれば幸いです。

 

2.現在の年齢別人口構造と少子高齢化問題

図1をご覧ください。この図は現在の日本における年齢別の人口構造を示したものです。少子高齢化の傾向は顕著であり、今後の日本の産業を支える人材は減少の一途を辿ることが見て取れます。

図1 年齢別 総人口
【図1】e-stat「人口推計(平成28年10月1日)」より「年齢(各歳),男女別人口及び人口性比-総人口,日本人人口(平成28年10月1日)」

また、歴史から紐解く日本の人事評価制度の特徴と今後の展望でも記載しましたが、日本の将来の人口は2050年には、総人口1億人を割り、生産年齢人口も5,001万人まで減少、総人口に占める生産年齢人口の割合は51.5%まで低下すると推計されています。

これらの状況を踏まえると、企業における深刻な人材不足が今後発生すると考えられますし、とくに日本企業の特徴である「新卒一括採用(徐々に変わってきている部分もありますが)」という手法で、今後も人材確保を考えていくことは難しいといえるのではないでしょうか。

一方で、学生側の視点に立ってみると、就職活動がより売り手市場になっていくことが想定されます。これは現在もニュース等で度々取り上げられておりますが、今後もその傾向は変わらず、むしろ常態化・顕著化していくのではないかと考えることもできるでしょう。

それでは、「新卒学生の就職は安泰で、心配することはない」と言えるのでしょうか。いいえ、必ずしもそうとは限らないと思います。新卒一括採用で、新卒学生同士だけが競争する時代から、その垣根が取り払われる時代に移り変わっていく可能性も考えられるのではないでしょうか。

上記の少子高齢化を考えると、新卒学生にもこれまで以上に早期に戦力になってほしいという企業側の希望が出てくるかもしれませんし、「新卒」という枠を超えて、ひとりの“人材”としてどのような価値を提供できるのか、それが求められる社会になっていく可能性を感じずにはいられません。

 

3.多様化する企業の採用

前述のような人材採用を考える上では、採用手法や着眼点もより多様化していくことが考えられます。事実、近年の採用手法の変化を見てみると、過去にはなかった採用手法が注目されるようになっています。

代表的な例を2つ挙げてみたいと思います。

①ダイレクトリクルーティング
②ジョブ選考

といった手法です。

①ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは、企業自らがSNSや各社が提供する人材データベースにアクセスし、企業が求める人材を探し、直接採用希望者に連絡を取る手法です。

ダイレクトリクルーティングの特徴としては、

・企業が求める人材にピンポイントでアプローチできる
・これまでの採用手法であれば出会えなかった可能性の高い人材に直接アプローチすることができる
・第三者を介さないため、スピーディーに選考・採用できる
・経営者や人事・採用の責任者等が直接アプローチすることで候補者に高い動機づけができる

などが挙げられます。

さらに、もうひとつ副次的なメリットもあります。例えば、スカウトした人材と“今回は”縁がなかった場合、これまでの採用手法であればなかなかなかった考え方ですが、改めてお互いのタイミングと希望が合致した際にもう一度声をかけられる、といった考え方が生まれています。

終身雇用制度が主流だった時代には考えられなかったことですが、現在ではこういった考え方をする企業も増えてきていますし、お互いに声をかけやすいように制度を作っている企業もあります(※制度の内容については本記事では触れませんが、企業の多様な取り組みのひとつであります)。

②ジョブ選考

つづいて、ジョブ選考についてお話します。新卒採用のひとつの特徴は、“将来性”です。中途採用以上に、ポテンシャルを重視して見られる傾向が強いといえます。しかし、逆にいえば、面接等のオーソドックスな手法だけでは、本当に自社に適した人材なのか、将来的に自社に貢献してくれる人材なのか、判断するのは社会人経験や過去の職歴がある中途採用よりも難しいとも考えられます。

そこで、新卒採用において、より“仕事”にフォーカスをあてたポテンシャルや取り組む姿勢、考え方、等々を見ることができるのが「ジョブ選考」です。例えば1ヶ月程度の期間に渡って学生に仕事をしてもらい、その様子を踏まえて選考を行うのが、ジョブ選考です。

ジョブ選考の特徴としては、

・長期での選考であるため、会社への思いややる気が強い人材に出会うことができる
・実務に近い業務に従事することで、企業として、より“仕事場面”を意識した正確な人物評価ができる
・実際の業務を体験できるため、学生としても深い職場・業界体験ができる
・社長や実際に一緒に働く従業員、人事・採用担当者等が直接アプローチすることで候補者に高い動機づけができる

 

以上2つの手法をご紹介してきました。企業にとって“ほしい人材”の定義も移り変わっている現代ですので、これまでのように会社が広告を出しそれを見た希望者が応募する、というオーソドックスな手法だけでは、本当の意味で企業が望む人材の採用ができなくなってきていることもあり、ダイレクトリクルーティングやジョブ選考等が注目されているといえるでしょう。

上記の2つの手法に共通して言えることは、マインドや仕事に対する考え方、物事に取り組む姿勢、バックグラウンド等、これまでの手法よりも学生をよく知ることができること、且つ、そういった人材をスピーディ且つ求心力強く自社に採用することが可能となること、であるといえます。

例えるならば、多くの種類の大量の餌を撒き大きな網で漁をするのではなく、ピンポイントで趣向に合う餌を付けた竿で一本釣りを狙う、といったところでしょうか。いずれの手法が優れているというものではなく、その時々の企業の状況や社会全体の状況によって、有効な手法は変わっていくものなのだと思います。

 

4.企業の採用課題から考える未来の新卒採用

ここまで、日本の少子高齢化問題および多様化する新卒採用手法についてご紹介してきました。それでは、今後日本における新卒採用はどのようになっていくのでしょうか。2017年新卒採用における課題を例に挙げ、考察してみたいと思います。図2は2017年新卒採用における企業が感じている課題を纏めたものです。

図2 2017年卒新卒採用における課題

<図2:2017年卒新卒採用における課題(複数回答可)> (引用)リクルートキャリア 就職みらい研究所「就職白書2017」より

これを見ると、以下の通り、

第1位:採用に係るマンパワー
第2位:自社認知度
第3位:社内関係部署の協力体制

が回答数上位の課題となっています。

前述の通り、今後少子高齢化が進んでいくと、上記3つの課題はより顕著になっていくことが想定されます。学生の数が減少していき、且つ、企業のほしい人材が多様化していくと、“いい人材”に出会える確率は低くなり、ほしい人材をほしい人数確保するために、採用担当部署は今以上のマンパワーを割かなければならないかもしれません。

加えて、自社の認知度(知名度)が低ければ、せっかくいい取り組みをしていたりその会社を希望する学生がいる場合でも、情報がその学生まで届かない、ということが起こり、結果として、なかなか採用が進まないといったことが起こる可能性もあります。

さらに、上記状況によって採用活動が長期化すると、ただでさえ人材不足であるにもかかわらず、社内関係部署に張、期間、また、複数回に渡って稼動を割いてもらわなければならないということも発生するのではないでしょうか。少子高齢化問題が解決しなければ、この傾向は今後も継続・拡大していくことが考えられます。

つまり、未来の新卒採用においては、いかにこのマンパワーを低減し、自社の情報を応募者に届けていくか、がポイントとなり、それができた企業が人材採用における“勝者”となると考えられます。

新卒 採用 未来 考察

そこで注目したいのは、3点です。

(1)市場の拡大
(2)ITの活用
(3)採用前の育成 

いずれも現在すでに取り組まれている企業はあると思いますが、今後、より積極的且つ斬新な発想で上記に取り組む企業が“ほしい人材”を確保できるのではないかと考えています。

昨今の「働き方改革」においても、働く時間と働く場所の制限をなくす動きが見られています。つまり、(1)市場の拡大については、これまでの「国内の学生の採用」から『海外の学生の採用』へと、採用における市場の制限がなくなり、積極的に外に出て採用活動をする企業が人材確保の先手を取れると考えられます。

しかし、これだけでは、「現在もそうではないか」というご指摘が聞こえてきそうです。ここで注目すべきは“今現在情報が届いていない場所に市場があるのではないか”と考えることです。日本という国の、あるいは、日本で働くということについての情報がまだ届いていない国も多いはずです。そしてそこにも優秀な人材はいるはずです。

そういった人材を有効活用できれば、その企業の人材確保は充実するでしょう。しかし、そう簡単にできるものではない、情報が届いていないような場所に本当にいい人材がいるのか、というご指摘もあると思います。簡単ではありませんが、そこで(2)ITの活用と(3)採用前の育成が重要になってきます。

(2)ITの活用によって、遠方の面接がスムーズにできるとともに、AIの進化によって過去のデータの蓄積からより効率的に採用選考を進めることができます。これは先程の新卒採用の課題にも関連しますが、(1)市場の拡大の取り組みを行うと、ともすれば逆に増えてしまいそうな“採用にかかるマンパワー”をITの有効活用によって低減することができるのです。

あたりまえかもしれませんが、(2)ITの活用の発想がないことにより、(1)市場の拡大を諦める企業もあるのではないかと推測しています。また、前述のジョブ選考についても、働く場所を制限せず、海外の学生に展開することもできるのではないかと考えられます。

さらに、(3)採用前の育成ですが、これは近年とくに介護などの業界において行われている取り組みです。人材不足である介護業界において、海外から日本に介護を学びに来る学生の学費を支援し、その後自社に採用するという取り組みがなされています。

今後、さらに先の発想として、海外の学生に遠隔で教育を行い、そのまま遠隔で採用する、ということが実現する時代がくるかもしれません。もしかしたら、発展途上国の支援活動をCSRとして行っている企業が、CSR兼人材育成として発展途上国への教育支援を行う、などといった取り組みも多くの企業が実践する日が来るもしれないのです。

少し発想が飛躍してしまいましたが、もちろん冷静に各国の法律等考えると簡単ではなく、現状すぐに実施できる施策ではないかも知れません。しかし、今後の人材採用においては、このような斬新な発想が重要になり、且つ、それを技術の進歩が可能にしてくれる時代を見据える必要があるといえるのではないでしょうか。

 

4.まとめ

以上、今回は人材採用、とくに新卒採用にフォーカスをあてて、現在注目されている取り組みや未来の新卒採用の考察を行ってまいりました。日本における労働力問題は今後も継続していきますし、これからも様々な課題が出てくることと思います。

そのときに、既存の手法のみならず、新たな発想にチャレンジできる、そのような企業が1社でも多く存在し、日本の産業がさらなる成長を遂げられるよう、まずは私たち自身が取り組み方、考え方の制限をなくしていきたいと思います。

 

人事評価制度に関するコンサルティングのお問合せ

人事・組織に関する課題がございましたら、お気軽にお問合せください。

株式会社エスネットワークス
ヒューマンキャピタル事業本部
担当:武内
TEL:03-6826-6000
Mail:info_hr@esnet.co.jp

詳細はこちら

執筆者

NEXT CFO 編集部

 NEXT CFO編集部

経営者・管理職にCFOの役割を広めたい!CFOが活躍する社会をつくることで、日本経済を活発にしたい!そんな想いでNEXT CFOのメディアを運営しています。

COMMENT

* が付いている欄は必須項目となりますので、必ずご記入をお願いします。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。