働き方改革からみる女性活躍の変革と今後の動き

女性活躍推進法が2015年8月28日の成立から約2年が経過しました。日本企業の女性活躍の進み具合はどうなのでしょうか? 
本編では女性活躍推進法で掲げられた女性の就労促進について取り上げてみたいと思います。

ジェンダーギャップ指数に見る男女格差

※ジェンダーギャップ指数

各国の社会進出における男女格差を示す指標。 世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表しているもので、経済活動や政治への参画度、教育水準、出生率や健康寿命などから算出される。

ご存知の通り女性活躍推進法に至った背景の一つには、世界経済フォーラムが発表している「ジェンダーギャップ指数」の低さがあげられています。同指数は、「政治」「経済」「教育」「健康」の4分野において計14項目で男女の格差を分析したものです。

女性活躍推進法施行にあたっての2013年ジェンダー指数では136カ国中、日本は105位でした。2016年10月に発表された同指数では日本は144カ国中111位と前年より10下がり、過去最低の順位となってしまいました。各分野では、政治103位、経済118位、教育76位、健康40位でした。

大きく順位を落とした要因の一つは、「所得格差」の項目で75位から100位に急落した点です。これまでは「政治」「管理職の低さ」が主な要因となっていましたが、これに加え「所得格差」これは世界経済フォーラム(WEF)が、収入の比較方法を改め、主に先進国で過小評価していた所得の差をより実態に近づくよう修正したためです。平均給与額は、男性が514万円、女性が272万円とされました。

このような格差を生む背景に考えられることは何でしょうか?推測してみたいと思います。

管理職の男女比

女性管理職の割合は世界一低い約6.6%でした。

非正規雇用の女性が多い

日本の働き方の特徴として「派遣」があげられます。働き方の選択として「派遣」を選択するのは女性が多く厚生労働省の2016年7月発表データによると被正規社員率は、男性21%女性57%です。短期間・短時間での勤務を選択出来るなど、平均賃金への影響が考えられます。

ジェンダーギャップ指数は毎年10月頃に発表になる評点です。本年も今月に発表になると思いますので、その数値の変化から日本の男女格差の状況に注目して参りましょう。

 

世界にみるジェンダーギャップ指数

次に主要先進国(G7)における指数をみてみます。ドイツの13位が最高で、フランス17位、イギリス20位、カナダ35位、アメリカ45位、イタリア50位と続いています。日本は大きく離されて111位となってしまいました。日本近隣国では、ロシアが75位、中国99位と日本よりも上で、韓国だけが日本よりも下の116位でした。

グローバル・ジェンダー・ギャップ指数 2016年版

日本は、政府が掲げている働き方改革の推進を中心に世界各国に追い付かねば、国民の生活の豊かさは変わらないことでしょう。

※各企業様の取り組みはこちらのサイトを参考にしてください

「厚生労働省」女性の活躍推進企業
http://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/

参考までに、「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」で上位である「フィンランド」「スウェーデン」「ドイツ」の女性の働き方事例をみておきたいと思います。

世界各国の女性の働き方事例

目を海外に向けてみると、女性が子育てや介護をしながら働いている事例がたくさんあります。その背景には、男性の育児休業取得促進や保育所の充実といった、日本の先を行く社会保障制度があります。

<フィンランド>

女性のほとんどがフルタイムで働くというフィンランドでは、母親の就業に関わらずすべての子供が保育園に入れる権利、雇用を維持したまま子供が3歳になるまで無給休暇を取得したのち家庭で育児する権利のほか、母親・父親のどちらでも取得できる「親休業」や、父親向けの「父親休業」、といった制度も整っていて、父親休業の取得率は80%以上になります。

<スウェーデン>

育児休暇が両親あわせて480日取得でき、バランスよく取得できるように、そのうち父親のみ、母親のみがそれぞれ60日ずつと定められています。また、保育所の費用を上回る子ども手当が支給されます。

ちなみにスウェーデンは保育園と幼稚園を統一し「就学前学校」として、教育庁(日本では文部科学省にあたる行政機関)の管轄においています。子どもの成長過程へも社会一体で関わっているようです。

<ドイツ>

育児は母親が担うもの、という考えが根強かったドイツでも、共働きを前提に育児支援を行うよう政府の考え方が変化しました。育児休業中の手当てをふやすことで男性の育休取得を促しています。

出典:総合人材サービス ランスタッドTOP「働き方改革」と女性の活躍より

 

企業の取り組み成果が表れる:女性の就労指標M字カーブの「谷」が緩やかに

総務省が報告した2017年7月の調査によると女性特有の指標であるM字カーブの谷の数値が0.7%アップしました。

女性の就労指標 M字カーブ 谷

総務省7月の調査によると15~64歳人口に占める女性の労働力の割合(労働力率)は69.7%で、働く女性は着実に増えてきたそうです。年代別ではM字の谷に相当する35~44歳の労働力率が前年同月比0.7ポイント増の75.3%。10年前の2007年7月と比べると全ての年代で上昇し、全体的に底上げされています。これは大変画期的なことだと考えます。

女性活躍推進法が施工され、各企業が積極的に取り組んできた制度の導入、それを活用してきた女性、多様な人材を受け入れマネジメントしてきた管理職、これらの施策全体が稼働した結果がM字カーブの上昇の数字に表れているのだと思います。

15年時点では米国や英国、北欧地域とは大きく異なるカーブを描いていた日本。近年は米欧とほぼ遜色のない形に近づいており、女性の労働市場は歴史的な構造変化を遂げつつあります。

女性の就労が加速した最大の理由は、企業が離職防止に取り組んできたことがあげられます。女性の育休取得率はやや低下傾向にあるとはいえ8割超で推移しています。育休中の生活を支える政府の育児休業給付金の受給件数は、06年度の13万件から16年度の32万7千件へと2倍以上に増えました。

高齢化で15~64歳の生産年齢人口はこの10年で700万人以上も減っているにも関わらず、その一方で実際に働いている労働力人口をみると同じ時期におよそ50万人増えています。女性だけに限れば約200万人増え、M字の底を押し上げるのに大きく貢献したことがわかります。働き口も高齢化でニーズの強まる医療・福祉業など裾野が大きく広がっており女性にとっては追い風の景況といえるでしょう。

労働力として活躍し戦力となる女性たちの活躍に大きく期待しましょう。

~一部引用:日本経済新聞 2017年9月9日~

女性のキャリア形成

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また、女性のさらなるキャリア形成という面では、管理職として働きやすい環境づくりも大切です。ノルウェーでは2003年に改訂された会社法において、取締役会の構成員の少なくとも4割を、男性・女性それぞれに割り当てることが義務付けられました。

これにより上場企業における女性取締役の比率が急上昇しました。

日本でも女性管理職の数値目標設定が大企業には義務付けられています。女性管理職の割合は世界一低い約6.6%にとどまっており、数値目標が義務付けられた制度には反対意見もありますが、女性も管理職を目指す、より幅広いフィールドにチャレンジするというきっかけづくりに役立つものだと思います。

もちろん管理職になるには、仕事の実力も伴わなければなりません。子育てしながらも専門能力を磨いていくことが求められることも忘れてはなりません。

執筆者

斉藤 由美子 氏

 斉藤由美子 氏

新卒で株式会社日本リクルートセンター入社(現リクルートホールディングス)28年間一貫して人材育成に携わる。SPIテストセンター事業をはじめとする新規事業の立ち上げにプロマネとして参画。また研修公開事業であるリクルートマネジメントスクールを立ち上げ、中小企業の育成の悩みにお応えする研修サービスを構築。卒業後は神奈川県庁の人材課・非常勤顧問を経て、女性活躍を支援していくキャリア研修・経営者コーチングに特化した事業を営む会社を設立、のべ約5000人の方々へのサービス提供を行う。2017年1月から現職

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