高齢者や子育て世代に関連する人事労務の法改正トピックス

この記事は2017年4月発行のREVOLVING DOOR vol.15より転載・再編しております。
※情報は執筆当初のものとなります。

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1.雇用保険法の改正

■雇用保険の適用拡大

昨年、雇用保険法が改正され、平成29年1月1日以降、65歳以上の労働者についても、雇用保険の適用の対象に拡大されております。

1月以降、新たに65歳以上の労働者を雇用し、雇用保険の適用要件(1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがあること)に該当する場合は、事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する必要があります。(提出期限:被保険者となった日の属する月の翌月10日)

また、平成28年12月末までに65歳以上の労働者を雇用し1月以降も継続して雇用している場合も同様の扱いとなっておりますが、この場合の提出期限の特例は、今年の3月末までに資格取得届を提出することになっておりますので、提出漏れがないか確認してみては如何でしょうか。

なお、65歳以上の労働者について、雇用保険料の徴収は「平成31年度まで免除」となっております。

■失業等給付に係る保険料率の時限的引下げ

平成29年1月31日の通常国会に「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が提出されました。

雇用保険法、労働保険徴収法、育児・介護休業法、職業安定法に関わる改正となっていますが、その中の失業等給付に係る保険料率の時限的引下げにおいて、平成29年度から平成31年度までの各年度における雇用保険料率が、時限的に引き下げられます。(保険料率0.8%→0.6%)

平成29年4月1日の施行予定となっております。

■その他の事項

その他、失業等給付の拡充として、「給付日数の延長」、「雇止めされた有期雇用労働者の所定給付日数の延長」、「所定給付日数の引上げ」、「基本手当等の算定に用いる賃金日額の引上げ」、「専門実践教育訓練給付の給付率の引上げ」等が予定されております。

 

2.職業安定法の改正

■職業紹介の機能強化および求人情報等の適正化

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①ハローワークや職業紹介事業者等のすべての求人※を対象に、一定の労働関係法令違反を繰り返すブラック企業の求人を受理しないことが可能となります。(※現在は、ハローワークにおける新卒者向け求人のみが対象となっていますが、改正が行われれば中途者パートなどのすべての求人が対象となります。)
②職業紹介事業者に紹介実績等の情報提供が義務付けられます。
③ハローワークでも職業紹介事業者に関する情報を提供します。

 
 2 

会社が虚偽の求人申込を行った場合、罰則の対象となります。また、勧告(従わない場合は公表)など指導監督の規程が整備されます。

 
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求人者・募集者について、採用時の条件があらかじめ示した条件と異なる場合等に、その内容を求職者に明示することが会社に義務付けられます。

施行予定は、1 ①は公布から3年以内、1 ②は平成29年4月1日、23は平成30年1月となっております。

 

3.育児・介護休業法改正

■育児休業に係る制度の見直し

現在の育児休業は原則1歳までとなっており、保育所に入れない場合などに限り1歳6カ月まで延長が認められておりますが、改正により、さらに6カ月(2歳まで)の再延長が可能になります。また、それに合わせて育児休業給付の支給期間も延長となります。

こちらは平成29年10月1日の施行予定となっております。

■介護休業法改正

介護休業法の改正はすでに平成29年1月1日から施行されておりますが、従業員の介護休業に関する改正点は次の通りです。

・介護休業の分割取得が可能(対象家族1人につき、3回を上限として、通算93日まで)
・介護休暇の取得単位が柔軟化(介護休暇の半日単位の取得が可能)
・介護のための所定労働時間の短縮措置の回数増(介護休業とは別に利用開始から3年間で2回以上利用可能)
・介護のための所定外労働の制限の新設(介護終了までの期間、所定外労働の免除を請求できる権利を新設)

この他にも、介護の対象となる家族の範囲が拡大、有期契約労働者の介護休業取得要件の緩和など、全体的に従業員の「就業と介護の両立」をより柔軟に支援する方向性での改正となっており、介護のために休業を希望する従業員が増えることが予想されます。

介護休業の運用体制がまだ整っていない企業は、就業規則や社内規程を見直さなければなりません。自社の運用体制が整っているか、この機にご確認してみては如何でしょうか。

 

4. 平成29年4月から社会保険の加入対象者が拡大

■500人以下の企業でも「パートへの社保適用」が可能

一般的に週30時間以上働く人が社会保険の加入対象となっていますが、平成28年10月から従業員501人以上の企業において週20時間以上働く人などにも適用対象が拡大されております。

さらに、平成29年4月から、従業員501人以下の企業においても週20時間以上働く人などにも適用対象が拡大されます。詳細は次の通りです。

適用拡大となる事業所次のアまたはイに該当する、被保険者数が常時500人以下の事業所。
ア.労使合意に基づき申出をする法人・個人の事業所
 (労使合意は働いている方々の2分の1以上と事業主が社会保険に加入することについて合意していること)
イ.地方公共団体に属する事業所
加入することができる
対象者
①1週間の所定労働時間が20時間以上であること
②月額賃金が88,000円以上であること(年収106万円以上 / 残業代や交通費などは含まない)
③継続して1年以上雇用されることが見込まれていること
④学生でないこと
加入・適用のメリット①将来もらえる年金が増えます
②障害がある状態になり日常生活を送ることが困難になった場合なども、より多くの年金がもらえます
③医療保険(健康保険)の給付も充実します
④自身で国民年金保険料・国民健康保険料を支払っている場合は、現状より保険料が安くなることがあります

 

5.「くるみん認定」に残業時間規制等の要件を追加

厚生労働省は「子育てサポート企業」として国が認定する「くるみん」の基準に、電通に勤めていた女性社員が自殺し、労災認定された問題を受けて、従業員にとって子育てしやすい企業を示す「くるみん認定」に新たに労働時間に関する要件などを加えることとしました。

■認定基準を見直し

・すべての従業員が1年間の月平均で残業時間が60時間未満であることを追加
・「プラチナくるみん」の残業時間は80時間未満から60時間へ変更
・男性の育休取得率が追加。育休所得率10%程度が必要
・(従来は男性の育休取得者が1人でもいれば認定を受けられたが、取得率が追加された)

■従来の認定企業も見直しへ

「くるみん認定」の新基準は、平成29年4月から導入されます。
要件変更により、これまで認定を受けていた企業の一部は認定の見直しが必要となる可能性があります。

くるみんマーク・プラチナくるみんマークとは

「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証です。p18_19_01_1

次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができます。この認定を受けた企業の証が、「くるみんマーク」です。平成28年12月末時点で、2,634社が認定を受けています。

さらに、平成27年4月1日より、くるみん認定をすでに受け、相当程度両立支援の制度の導入や利用が進み、高い水準の取組を行っている企業を評価しつつ、継続的な取組を促進するため、新たにプラチナくるみん認定がはじまりました。平成28年12月末時点で、108社が認定を受けています。プラチナくるみん認定を受けた企業は、「プラチナくるみんマーク」を広告等に表示し、高い水準の取組を行っている企業であることをアピールできます。

執筆者

NEXT CFO 編集部

 NEXT CFO編集部

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