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2018年に始まる財務省と国税庁タックスヘイブン対策の詳細を解説

この記事は2017年1月発行のREVOLVING DOOR vol.14より転載しております。

日経新聞より、財務省と国税庁は企業や富裕層に租税回避策を指南する税理士に仕組みの開示を義務付ける方針が報じられました。租税回避地(タックスヘイブン)に資産を移すなど悪質な税逃れを把握する狙いです。

また、成功報酬を受け取るなどした税理士に具体策を開示させ、拒んだ場合の罰則も設けます。適正な助言も開示対象に含みますが、米国など各国も開示制度を設けており、税制の不公平感の解消につなげるようです。

 

企業の節税策の報告義務化について

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対象時期

2018年度からの実施を目指して検討

対象者

企業や富裕層に租税回避策を指南する税理士。租税回避のノウハウを提供する会計事務所やコンサルティング会社なども対象。複数の基準を満たした場合に租税回避策を開示させる仕組みを検討。

基準

① 租税回避によって成功報酬を受け取る
② 納税額を減らすための税務上の損失を生み出す など

対象取引

1年間で億円単位の損失を意図的に作り出すような節税策が報告の対象になる予定です。中小企業における節税策として高額になる取引には、組織再編やM&Aを使った節税、保険や航空機リースなどの節税商品取引、役員退職に関係する取引が上げられます。

節税策を提供する税理士に企業が割高な報酬を支払っていたり、企業が提供を受けた節税策を他社に伝えないよう守秘義務を負っていたりする場合にも報告を求める見通しです。

節税策で代表的なのがグループ会社から損失を移したり、航空機のリース費用を複数の会社で分けたりして利益を意図的に減らす損失取引という手法です。税理士が企業から25万ドル(約3千万円)を超える報酬を得た場合を報告対象にする米国のように、税理士の契約内容に着目する方法もあります。

日本政府は先行する国々を参考に義務づけの金額基準などを設ける見通しのようです。

目的

適正な助言も開示対象に含みますが、米国など各国も開示制度を設けており、税制の不公平感の解消につなげる狙いがあります。国税庁が関知しない節税策を使う企業が増えつつあるとみられ、報告を求めて把握できるようにします。

節税策は違法ではないが法制度をかいくぐる脱法的な手法が多く、政府は報告を受けた節税策の情報をもとに法制度を手直しします。法制度の不備が解消されれば、手の込んだ節税策を防止する効果も見込めます。

企業の租税回避策には海外のグループ会社から損失を意図的に付け替えたり、知的財産権をタックスヘイブンの実態のないペーパー会社に移したりする仕組みがあります。

罰則

開示を拒んだ場合には罰則も設けています。

 

まとめ

これまでの法律に則った節税策について法制度の見直しが行われる可能性がでてきます。これまでの税務調査では申告の漏れなどの指摘がメインでありましたが、この制度が確立された場合、節税策を講じた背景などこれまでの税務調査とは異なる内容の指摘を受けることが予想されます。

税理士にとっては事務負担が大きく増える可能性がでてきます。節税策ついては報告資料の収集、報告書類の作成により人手がかかります。

また、節税策の捉え方により報告資料作成の範囲が変わってきます。これは政府が規定する範囲に大きく左右され、数千万以上の取引が対象になることが想定されます。

税理士にとっては新たなビジネスチャンスになることも考えられます。「節税策報告書の作成業務」、「節税策プロセスの検討助言」などセカンドオピニオンとしての業務も増えることが予想されます。

今後は、節税策が報告対象となるか否かの判断基準の整備と、検討プロセスの整備が必要となります。企業や税理士にとって事務負担が避けられなさそうです。

執筆者

NEXT CFO 編集部

 NEXT CFO編集部

経営者・管理職にCFOの役割を広めたい!CFOが活躍する社会をつくることで、日本経済を活発にしたい!そんな想いでNEXT CFOのメディアを運営しています。

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