いまさら聞けない!なぜ中小企業に管理会計が重要なのか

この記事は2016年9月発行のREVOLVING DOOR vol.13より転載しております。

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私は現在、企業再生コンサルタントとして、地方中小企業の経営改善業務に従事しています。

担当する多くの企業は、衰退業種と呼ばれる市場規模が縮小している状況下で競合相手に勝ち残っていかねばなりません。このような中で、私は日々管理会計の重要性を痛感し啓蒙しています。

 

01.管理会計が必要な時代背景

日本は、今後数十年で未曾有の少子高齢化社会を迎えると言われております。長期的なトレンドとして、人口減少により内需の市場規模がシュリンクしていくことが想定されます。このような状況下で参加しているプレーヤー(企業)の全てが継続して収益を確保することは不可能であると言えます。

今後、特に内需において、参加プレーヤー(企業)の淘汰が進んでいくと想定されます。そしてこのような逆風の状況下においては、緻密な経営のかじ取りが必要になり、この定量的判断材料のベースになるものが管理会計なのです。

 

02.少子高齢化・人口減少社会の到来

新聞やニュース、書籍等で盛んに少子高齢化による人口減少問題が取り上げられており、特に地方でその影響は顕著であるとされています。
国土交通省は、人口のピークである2006年1,27億人に比して、2050年には約1億人程度まで減少するとの推計を発表しました。

 

03.特に影響が大きい地方圏

特に地方の減少率は著しく、特に消費の中心である生産年齢人口の都市部流入が加速度的に進んでいくと発表しているのです。

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04.対外的にも必要になりつつある管理会計

従来、管理会計の主な役割は、日々の経営における意思決定や、将来の戦略策定など企業内部の「業績管理」と「意思決定」に役立てるためのものですが、昨今では金融機関からの資金調達場面において財務諸表のみならず、損益管理単位別(部門別、店舗別、商品別等)収益等を要求されることも少なくありません。

この背景には、金融庁主導の下、従前の連帯保証、担保提供、信用保証協会等に依存した融資スタンスから、企業の事業性を鑑みた融資スタンスへ変化しつつあることが挙げられます。裏を返すと、対外的にも、管理会計を一定水準整備することが企業側に求められてきているのです。

 

05.防御に強い管理会計(企業再生の現場からみる管理会計の重要性)

私が携わってきた案件の中で、よくある事例を説明したいと思います。

1.衰退業種に属しており、年々業績は悪化し債務も増える一方。
2.売上高減少、利益率悪化等の課題が山積する中で、どこから着手してよいかわからない。
(何を改善すれば、自社の収益が好転するのか数値の可視化ができていない)
3.過去の成功体験から売上高を回復させることに注力するが、経済環境が異なる為(右肩上がりの時代でない)、取引先の廃業、 値下げ要求等により売上高は良くて横ばい。
4.金融機関への借入金返済も約定通りままならず、金融支援を仰ぐことに。 

 

概ね深刻さは違えど、4の段階で私は事業者と出会うことになります。その後調査を開始し、事業者の話や資料を分析することで窮境原因が見えてくるのですが、管理会計の不整備が招いた窮境原因としてよくある例は、以下のような点が挙げられます。

△ 不採算顧客の把握が正しくできていなかったために、赤字を出し続けていた。
△ 不採算商品の把握が正しくできなかったために、商品リストラ対象/値上対象を絞り切れなかった。
△ 不採算部門の存在は認識していたが、明確な損失額が不明だったため、撤退に踏み切れなかった。
△ 顧客との価格交渉においても、明確な値付けの根拠(自社の商品の原価がいくらなのか)がないため、相応の利益を確保できていなかった。
△ 製造業:ともすれば、不採算商品を製造する為に、残業代が多額に発生していた。
△ 中長期計画が存在しなかったため、その場しのぎの資金繰りだけをみる経営になっており、戦略的な経営を実行できていなかった。

 

このような現状の中で、計画を策定し管理会計を整備することで、以下のような改善が期待できます。

◯ 不採算顧客を把握し、値上げ交渉/取引停止を実施する。
◯ 商品別の原価を集計した結果、赤字商品や採算性の低い商品が散見され、商品リストラや値上げを実施する。
◯ 顧客との新規交渉においても、明確な商品ごとの損益基準ができたため、不用意な値下げを回避する事ができる。
◯ 不採算部門から撤退し、リソースを黒字部門に集中する経営判断に至る。
◯ 設備を更新する際に、当該設備を使用する製品の採算性が明らかになっているため、投資判断が適切になされる。
◯ 中長期計画を策定することで、現状の把握、具体的施策、中長期戦略、予算数値が明確になり、その場しのぎの経営から脱却できた。

このような事例からも、適切な経営判断を行うためには、管理会計は必須のものであるということがわかります。

 

まとめ

これから導入を検討されている中小企業経営者の方は、大げさに考えずできることから始めてください。 例えば、製造業の場合は、製造日報を整備することから始めましょう。

製造日報に、日々の製品別に投入した材料、人員稼働時間、機械稼働時間、消耗品、外注加工費等を記入するようにすると、これを集計すれば概ねの製品別原価が判明するようになります。

執筆者

NEXT CFO 編集部

 NEXT CFO編集部

経営者・管理職にCFOの役割を広めたい!CFOが活躍する社会をつくることで、日本経済を活発にしたい!そんな想いでNEXT CFOのメディアを運営しています。

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