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M&Aの成功を左右する人事の側面『PMI』の見落としがちなポイントとは?

この記事は2016年9月発行のREVOLVING DOOR vol.13より転載しております。

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※PMIとは
Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)の略。M&A後、新しい組織体制にて、期待する経営統合の成果を得るために、企業価値向上や長期的成長を支えるマネジメントの仕組み、人事制度等を構築・運用するプロセス全体を指す。

 

1.M&Aが成功しない要因とは…!?

M&Aの成功率は一般的に30%程度といわれています。成功しない要因は何なのでしょうか。

その要因はいくつかありますが、その中の1つが、今回お伝えする「人事」の側面です。

M&Aを実施する多くの企業において、財務・税務・法務・IT等についてはデューデリジェンスをしっかりと行い、対策をとられていると思います。一方、「人事」の側面については、“見落としがち”または“認識はしていたがどうしても後回しになりがち”という傾向があります。それにより、せっかく時間と労力をかけてM&Aをしたにもかかわらず、「結局うまくいかなかった」というケースが発生しているのです。

もちろん事前にしっかり準備ができることが理想ですが、とくに人事の部分については、クローズドで進めている、ないしは、情報は出しているが限定的で事前に綿密に準備を行うことはできない等、難しい場合も多いと思います。

そこでPMIが重要になってくるのです。M&Aはしばしば“結婚”にたとえられますが、上記を放置してしまうと「文化が合わない」「業務の進め方が違いすぎる」等で“離婚”ということにもなりかねません。

 

2.具体例で見てみると…

① 企業統合の例

○人事制度が統合できておらず、旧制度をそれぞれで運用しており、一体感が損なわれ、人事業務が非効率になっている

○それぞれの人事部門の在籍数を合計すると、新会社では多すぎるが、業務プロセスが確立していないため、削減できない

② カーブアウトの例

○そもそも人事機能を担う組織がない、担当者がいない

○人事業務を極力アウトソーシングしたいが、それを企画しマネージする人材がいない

○親会社からの人事機能に対する支援が得られない

○親会社の人事評価制度や給与計算方式が、新会社のコンセプトに合わない

③ 事業承継の例

○現人事制度では、成果・業績向上に対するインセンティブが不足しており、また、新体制で求める能力や行動を引き出せないので、数年後の企業業績目標達成のボトルネックになっている

○事業承継の例旧会社では、これまで教育はすべてOJTでやってきており、新たなOff-JTの機会を作りたいが、担当させる人物がいない

 

さらに具体的に見ていきましょう。

たとえば、上の①企業統合ではどのようなことが起こるでしょうか?

このような場合、事前にしっかり対策をとっておかなければ、どうしても現状取り入れやすい方法論を選択しがちです。

しかし、どちらかの制度をそのまま導入しようとしたり、この部分はA社、それ以外はB社等どちらかに偏ったものになってしまったりすると、いざ運用を開始してから大きな不具合を起こしてしまい、結果として「うまくいかなかった」ということにもなりかねません。

さて、もうひとつ別のケースを紐解いてみましょう。

②カーブアウトではどうでしょうか?

このケースでは、そもそも機能をゼロベースから作っていかなければならない状況にもかかわらず、準備ができていないためすべて後手になってしまいました。

また、「“親会社が協力してくれる“と言っていたし…」、「もともとひとつの会社なんだから親会社の制度をそのまま使えば大丈夫」等、不確定な要素を期待してしまったり、そもそも親会社の制度や業務フローが非効率であったりと、いざ運用を開始する際に大きな不具合を起こしてしまったというケースでもあります。

 

3.どうすればできるのか?

それでは、どのように進めていけばいい状態をつくり出すことができるのでしょうか?

そのために、以下の3つのポイントをご紹介します。

 

point1 新たな価値基準

第1に大事なのは、現状を的確且つスピーディーに把握・整理し、M&A後の組織における人事の根本的な方針である、価値基準や行動規範をつくることです。その方針が定まっていないことにより、「どうしたらいいかわからない」となってしまうケースがあるからです。

point2 評価基準・賃金体系をつくる

第2に、左記の価値基準や行動規範を反映した、評価基準や賃金体系等の人事制度を構築することです。M&A後の組織において「“理念や求める人材像等の数字に表れない会社の特徴”や“人事制度詳細・人事業務プロセス詳細”まで含め、現状をしっかり確認し、新たにつくる」ことが重要になってきます。

point3 実施できる体制をつくる

そして第3に、「設計した人事制度をスムーズに運用できるよう、人事業務プロセスまでしっかりすり合わせておく」ことです。せっかく制度を構築したとしても、適切に運用ができなければ絵に描いた餅になってしまうからです。

 

とはいえ、M&A後にこれらの設計を行うには、かなりの時間と労力を要します。しかもすでにM&Aをしているため、スピードも求められます。社内だけでは「リソースが足りない」、「議論がまとまらない」等も発生する可能性があるため、現実的になかなか思うように進まないケースも多いでしょう。

カーブアウトのケースではとくに「リソースが足りない」という悩みが多く、ゼロから人事部門をつくっていかなければならない状態にもかかわらず、それを担える人材がいないという状態が発生します。上記についてあらかじめ想定し、手立てを打っておくことが重要です。

また、企業統合のケースでは、とくに「議論がまとまらない」という悩みが多いでしょう。各社がこれまで別々の制度・別々の業務プロセスで行ってきたため、「うまくまとまらない」「“新しいものをつくる”という発想にならない」という状態が発生します。

そこで、企業統合においては「第三者と共に取り組むこと」が重要となります。第三者、且つ、専門知識・経験を有する人間が客観的な視点から全体を俯瞰して見ることで、A社B社どちらにも偏ることなく、M&A後の会社に適合しやすい人事制度をスピーディーに構築することができます。

よりよい状態をつくるために、PMIにおける人事制度の構築・人事課題の解決に優先度高く取り組むことをお奨めします。

 

以上、今回はM&Aにおける見落とされがちなポイントとして、「人事」の側面についてご説明しました。
なお、上記のようなケースにて支援をご希望される企業さまの声にお応えし、株式会社エスネットワークスヒューマンキャピタル事業本部においても、人事制度構築や人事業務プロセス設計・運用支援等のご支援を開始致しました。

 

人事評価制度に関するコンサルティングのお問合せ

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株式会社エスネットワークス
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担当:武内
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執筆者

武内 栄希 氏

 武内栄希 氏

筑波大学第二学群人間学類卒業。筑波大学大学院教育研究科修了。事業会社にてBtoB営業およびダイバーシティマネジメントに関するコンサルタントとして従事。自社の評価制度策定および人材育成体系構築、研修講師等を担当した後、株式会社エスネットワークスにて、組織・人事全般のコンサルティングを行う。

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