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「あ…これは失敗する」CFOが語る海外進出に成功できないパターン

海外進出が失敗する3つのパターン

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外部CFOとして、「海外進出をしたい中小企業」にアドバイスを求めれらることがあるのですが、「この状態で進出しても、失敗しますよ」というパターンが存在します。

それは、

1.海外進出の下調べが甘い

2.進出担当者への本社の信用が薄い

3.進出担当者が“現場”一筋の人間である

の3つ。

3つの理由のどれも、実際に海外進出する前の段階で決まることです。

つまり、海外進出に成功するかどうかは、進出する前の段階でほとんど決まってしまっていると言えるでしょう。

海外進出の下調べが甘い

採算が取れることを見越せる段階まで詰める

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海外進出前の下調べの際に必ず意識していただきたいのが、「この国に進出して採算が取れるのかどうか」ということ。

「そんな当然なこと」と感じられるかもしれませんが、以外に見落としがちなんです。

例えば、製造業では「海外に進出すれば、日本の生産時よりもコストが下がって、同じ質で安い価格で提供することが可能になる」と信じている経営者も多いです。

でも、いざ海外に進出してみたら「違う」ということがあるんですね。

よくある話では、「日本で生産したときと同じ「質」を求めるときに、現地で調達できる部品では「質」が確保できず、一部の部品を輸入に頼らざるを得なかった」というパターン。

そうなった場合、輸入部品分の経費を考えなければいけません。

結果として、日本で生産した場合とあまり変わらないコストになってしまうということもあるんです。

ですので、下調べの際には「この国に進出して、本当に採算が取れるのかどうか」というところまで徹底して調べていただきたいと考えています。

進出して1年後のP/Lを書くくらいまで詰めてしまっても、やりすぎではないですね。

進出先の規制や税務事情まで調べているか

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ちょっとした落とし穴になってしまうのが、海外進出先の国の規制や税務事情。

海外企業受け入れの際、どの国も「一時的に海外企業の技術に頼ったとしても、最終的には自国の企業に発展してもらいたい」という考えを持っています。

進出したいジャンルによっては、海外企業の受け口がない場合がありますし、地元の企業との合資会社でなければ起業できないということもあるんです。

例えば、ベトナムでは外資に対して、金融分野のライセンスをおろしていません。

そういった、国ごとの外資企業への誘致の温度差は、あらかじめ調べておかないとならないですね。

税務事情についても同時並行的に調べておいた方がいいでしょう。

国によって進出企業への税率も異なりますし、裾の下を要求される慣行がある場合もありますから。

経験からいうと、進出予定の事業を進出先の国のマーケットが活性化するような形にすると喜ばれますし、スムーズに進出できると感じています。

「海外進出とは日本の慣習が通じない場所に行くことだ」ということを忘れずに、規制や税務事情まで、細かく調べておきたいですね。

進出担当者への本社の信用が薄い

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「信用が薄い人間を海外進出担当者にするの?」と、感じる方もいらっしゃるかもしれません。

漫画のような話ですが、本社で持て余している人を海外進出担当にしてしまう事例もそこそこに多いんです。

そうなった場合に問題になってくるのが、本社と現地担当者間のコミュニケーション。

元々、お互いの信頼度が低いので、現地が「計画を実施するにあたって、この問題をクリアーする必要があるから書類に決済をしてほしい」といった、日本の慣習にはない事例の報告や連絡、相談が信じてもらえないことが往往にしておこるんですね。

実際に、「全く同じ報告書になるんだけれど、私が書いて送ったものでは信用してもらえないから、代わりに書いて送ってほしい」という依頼がある場合もあります。

本社が現地の報告書を信じたくないばかりに、報告書の内容が本当かどうか確かめるためだけに別の人間を現地に派遣するという、笑えない事態も生じてくるんですね。

海外進出には、ある程度のスピード感が要求されます。

お互いの信用が薄いばかりに、無為な時間を費やし、いつまでも海外拠点ができないというのでは、本末転倒です。

個人的な意見ですが、本社と担当者の信頼関係やスムーズなコミュニケーションという意味では、海外進出担当者に最適な人間は、社長の息子ではないか思っています。

進出担当者が“現場”一筋の人間である

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「現場一筋の人間が、技術力を買われて海外進出担当者になる」という話も、よくある話です。

特に、中小企業に多いように思います。

現場と言っても様々で、営業現場であったり、製造現場であったりするわけですが、もっとも失敗事例が多いのが製造現場一筋の人が海外進出担当者になるパターンでしょう。

中小企業の場合、海外進出担当者が一人で切り盛りするパターンがほとんどです。

経理も営業も現地の人間を現地採用し、自分は社長業。

海外で個人事業主になるのと、ほぼ同じ状態になるんですね。

そんなときに、現場一筋だった人間では後々困ったことになる場合が多い。

やろうとしているビジネスの専門家でしかない人は、会社全体の利益やマネジメントプランを描けないんです。

会社の経営とか予算の組み方を経験したことがない人が、まっさらなエクセルシートにP/Lは書けません。

大企業のように、担当セクションごとに人員を割いて派遣できるなら問題はありませんが、中小企業で派遣できる人間が限られている場合は、現場一筋の人間を派遣することで、後の憂いが増えることが多いのです。

海外進出担当者に必要不可欠なCFOスキル

最低でも経理基礎と人の管理は経験しておくべき

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海外進出が失敗するパターンとして3つご紹介しましたが、入念な下調べ以外の要素は海外進出を担当する担当者の力量に関するものでした。

企業によっては、「この人が海外進出担当であれば間違いないだろう、でも、本社にも必要不可欠だから、海外に行ってもらっては困る」という場合もあり、なかなか「この人が最適」という人に担当させられない事態もままあります。

「これさえできれば完璧です」という訳ではありませんが、「最低でもこの知識はないとしんどいですよ」という知識をお話ししますね。

P/LとB/Sは自力でかけるレベルが必要

経理の基礎知識は持っておかなければならないでしょう。

進出先拠点のP/L(損益計算書)とB/S(貸借対照表)は、自力でかけるレベルになっていることが理想ですが、最低でも「現地採用の人間が出す経理書類」を「読めて・わかる」レベルは必要です。

これができないと、経理処理自体が「ブラックボックス」と化してしまいます。

いざ決算・監査となったときに、びっくりする事態に陥ることが多いんです。

現地採用の経理担当者は、そつなく仕事をこなすかもしれませんが、経理がわかっていないと経理担当者の仕事の正確性すらわからないことがあるんですね。

現地採用だからといって、現地の事情に通じているかというと、そうでもない人もいるわけです。

進出先拠点は、金銭を動かすにも本社の決済が必要な場合がほとんどですが、自分が管理している場所の中長期的な経営状態の把握も本社任せにしては、現地法人は成り立ちません。

P/LとB/Sは自力でかけるレベルが必要でしょう。

現地で最も手間と時間がかかるのは人の管理

どの国に進出しても、最も手間と時間がかかるのが人の管理です。

特に、採用・人事はトラブルが多く、現地担当者の悩みのタネになっています。

労働慣習が違う人間を採用し、ものを教えるだけでも相当な労力を要しますが、突発的に発生する、現地採用の人間同士のトラブルも見逃すわけにはいかないでしょう。

日本国内で、言葉がわかり習慣が同じ人間同士が働いていても発生しますが、海外になると言葉も通じず、習慣も異なります。

笑えない話として、目の前で従業員同士がトラブルになっているのに言葉が拙いばかりに何もすることができなかったという実例もあるくらいです。

そういったときに、しっかり対応することができないと優秀な人間が次々とやめてしまうという事態になりかねません。

取引先の相手とのディベートができるかどうかも重要な要素ですね。

観光産業では、中国系観光客の値切り交渉が話題になることがありますが、基本的にアジアの商圏では、商談にディベートはつきものと考えてください。

交渉というコミュニケーションによって、相手との信頼関係を築いていくことが必要になるのです。

言葉が通じない人間同士が、コミュニケーションをとって人間関係を築き、ビジネスを成功させようというのですから、人の管理能力は高いに越したことはないということです。

まとめ:海外進出には専門家+経営者=CFO的な存在が不可欠

外部CFOとして、よく見聞きする海外進出に失敗する企業にありがちなパターンをご紹介しました。

下準備の段階で成否が分かれるといっても過言ではない海外進出。

特に、海外進出担当者の人数が限定されるほどに担当者に求められる能力は高くなります。

現地で行うビジネスモデルの専門家だけを派遣するのではなく、専門家であり経営者視点をも持ったCFOのような存在を派遣すると安心できるでしょう。

経理面での管理や人的資源の管理は、本社の決済を仰いでいては手遅れになってしまうものもあります。

下準備の段階から、CFO視点を持った人間をプロジェクトに加えておくのも1つの手段です。
この記事を参考に、自社ビジネスに落とし込んでみてください。

執筆者

NEXT CFO 編集部

 NEXT CFO編集部

CFOを増やすことで日本国経済をちょっとよくしたい! もっとCFOについて、知ってもらいたい。CFOに興味を持ってもらいたい。CFOになろうと考えてほしいと願っております。

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