• ホーム
  • 解説
  • CFOを目指す人は押さえておきたい「内部監査」|ワード解説

CFOを目指す人は押さえておきたい「内部監査」|ワード解説

fb161213

2016年12月5日の日経新聞朝刊に「内部監査、独立性を向上 統治底上げへ経営陣の不正も監視」という記事がありました。以前は、社長が現場の実態を把握する目的で、社長直属の部署として内部監査部門を設置するのが一般的でした。しかし、近年、大企業の不正が頻発している背景を踏まえて、敢えて内部監査部門を社長から遠ざけて、代わりに取締役会や監査役との連携を強化する事例が増加しています。内部監査部門を統括する監査役、或は取締役会の一員としてCFOが就任する事も増加する中、本記事ではCFOに必要な「内部監査」のキホンを解説していきたいと思います。

内部監査とは

内部監査とは、内部統制の整備・運用状況を確認するために、社内の独立した部署(内部監査部門)が、公正で客観的な立場から経営に関する諸活動の遂行状況を検討・評価し、これに基き意見・助言・勧告を行う業務のことを言います。会計監査等のように、公認会計士などの外部者が実施する外部監査に対し、内部監査と呼ばれています。J-SOX対応で、企業の内部監査部門の役割と責任が増大し、上場企業では一般的な職種となりました。

内部監査は、その性質により「業務監査」と「会計監査」に分類されます。

「業務監査」では、日常業務が法令や社内の各種規定・マニュアル等に従って適切に実施されているか否か、また、経営上の決定事項が関連する部署や担当者に正しく伝達され、実行されているか否かについての監査を行います。

「会計監査」では、会計処理が一般に公正妥当と認められる会計処理の原則、経理規定・マニュアル等によって行われ、取引等の実態が適切に反映されているか否かについての監査を行います。

内部監査の担当者には、その業務の特性上、監査の対象となる部門からの独立性が求められ、また、監査の実施に際して強い権限を持たせる必要があります。従って、社長直属の部門を設置し、これに属する専属者が監査を実施することが求められます。

内部監査は社内の全ての部門をその対象とし、特定の部門を対象から外すことは望ましくありません。ただし、監査対象となる部門について、数が多いケースや海外にあるケースでは、その重要性を検討した上で、ローテーションにより監査を実施することも考えられます。

内部監査、監査役等の監査及び公認会計士監査は、監査の目的や役割が異なるものの、相互に連携することにより、それぞれの監査の実効性を高めることができます。内部監査担当者及び公認会計士は、それぞれの監査の過程で得た情報を基に定期的にミーティングを実施して会社の課題を共有したり、往査する事務所を分担したりすることにより効果的・効率的な業務遂行が可能となります。

内部監査のプロセス

以下で内部監査のプロセスについて解説します。内部監査は大きく6つのフェーズに分かれ、次の図のように進めていきます。

pic1418

①監査計画の立案

内部監査担当者は年度ごとに監査計画書を作成し、社長の承認を得ます。監査計画書には、日程、対象部門、担当者、重点項目及び手続、報告書の提出の提出時期等を記載します。監査の重点項目の候補としては、前期における発見事項、監査役などの監査・公認会計士による指摘事項の他、取締役会等の重要な会議において認識されている事項を含め、問題点の重要性に応じて最終的に決定します。

②内部監査の実施

内部監査担当者は、監査計画に基づいて内部監査を実施します。予め具体的な実施内容を詳細に記した手続書を作成し、実施に際しての留意点や重要な検討ポイントをあわせて記載しておくことで、内部監査を円滑に進めることができます。

③報告会の実施

監査結果は最終的に社長に報告されますが、内部監査担当者は、内部監査が終了した時点で被監査部門に対して発見された問題点を報告するとともに、その具体的な改善方法について意見交換を行います。

④社長への報告

内部監査実施後、内部監査担当者は内部監査報告書を作成し、社長に報告します。内部監査報告書には、実施した監査の概要のほか、監査対象部門に対する意見、指摘事項及びこれにかかる改善提案を記載します。内部監査報告書の写しは被監査部門にも提出します。

⑤改善報告

監査の結果、発見された問題点について、社長名による改善指示書を被監査部門に対して発信します。

⑥改善状況の確認

被監査部門は改善指示書に基づいて改善実施計画を作成し、改善状況については改善状況報告書により社長に報告します。内部監査部門は当該担当者について実施確認を行い、改善状況報告書の記載通りに改善されていることを確認します。

内部監査担当者、社外取締役、監査役のちがい

内部監査担当者と社外取締役と監査役。彼らの業務は外部の視点でチェックを行うという点で共通していますが、具体的な違いは何でしょうか?

間違いやすいポイントなので、以下は要チェックです。

まず社外取締役とは、ある企業の取締役会の監督機能強化を目的として、会社の最高権限者である代表取締役などと直接の利害関係のない、独立した有識者や経営者などから選任する取締役のことを言います。社外の取締役を採用することにより、執行と監督の機能を分離、独立性と透明性の高い監視機能が持てるとされています。

次に監査役とは、取締役の職務執行を監査する機関のことを言います。自己監査を防止し、監査の独立性を担保するために、株式会社又はその子会社の取締役、支配人その他の使用人、子会社の会計参与又は執行役を兼ねることができません。

そして内部監査担当者ですが、こちらは社内の内部統制が適正にされているかどうかを監査するのが役割です。内部統制とは「事業の有効性及び効率性」、「財務報告の信頼性」、「法令などの順守」、「資産の保全」が達成されているかどうかチェックを行うことを言います。また取締役会の監督については内部監査の対象外です。

CFOと内部監査

冒頭でもお伝えした通り、近年は内部監査部門を統括する取締役会や監査役へCFOが就任する事例が増加しています。社外取締役や監査役という大役を務めるに値する人材が不足する中、そういった職種に関連する周辺知識を学ぶことには大きな価値があります。CFO志望者は、この機会に内部監査の勉強をしてみるのはいかがでしょうか?

執筆者

本間 貴之 氏

 本間貴之 氏

2016年 法政大学 経営学部卒。学生時代に公認会計士を目指して勉強をしていたが、「会計や財務の専門家を切実に求める企業の為に働きたい」と考えて、会計監査ではなく、CFOの道を志している。投資ファンドの企画を競い合うビジネスコンテストで最優秀賞を獲得した経験も過去にはある。