• ホーム
  • 解説
  • 国内航空シェアトップ「ANAホールディングス」|企業解説

国内航空シェアトップ「ANAホールディングス」|企業解説

fb161212a

2016年11月29日(火)の日経新聞朝刊の企業面に登場した、全日本空輸株式会社(以下、全日空)。一般的には、ANAというブランドで定着していると思います。旅行や出張で飛行機を利用する方は、一度は目にしたことがあるでしょう。日本の航空業界には、ANAとJAL(日本航空株式会社)という二大グループが存在していますが、今日はそのうちのANAについて、詳しく解説していきます。

ANAの事業概要

ANAグループは、ANAホールディングス株式会社(以下、ANAHD)を持株会社とする持株会社制の企業グループです。以下の各事業を営む企業を、ANAHDが子会社にするかたちで運営しています。

① 航空事業

一般的に知られているANAというブランドの旅客サービスを、全日空、ANAウイングス株式会社、株式会社エアージャパン(以下、エアージャパン)の3社で運営、運航しています。旅行等の際に、ANAで航空券を買ったのに、運航がエアージャパンという会社でも困惑する必要はありません。エアージャパンはANAHDの子会社で、ANAというブランドで運航されています。ブランド名と会社名が異なっているだけで、ANAグループによる運航だという点では同じです。またLCC(格安航空会社)として、子会社のバニラ・エア株式会社(以下、バニラエア)、持分法適用関連会社のPeach Aviation株式会社(以下、ピーチ)を傘下に治め、格安航空サービスを提供しています。

② 航空関連事業

航空事業を支える関連的な事業の運営を行っています。航空機整備をするための会社や、機内食を提供する会社、ITシステムを管理する会社、パイロットの訓練をする会社など様々です。

③ 旅行事業

航空券を旅客や旅行代理店に販売する事業が行なっており、ANAセールス株式会社があります。

④ 商社事業

空港内のデューティーフリーの店舗運営事業や機内販売商品を取り扱う事業、食品の輸出入を行う事業など、商社のような事業が営まれています。食品などの他にも、航空機部品や機材の輸入、販売、や航空機整備用の機材の輸出、輸入も手掛けています。全日空商事株式会社などが主な企業になります。

⑤ その他

その他の事業として、人材の派遣サービスや、接遇、ビジネスマナーなどの研修を行う、ANAビジネスソリューション株式会社や、シンクタンクである株式会社ANA総合研究所などがあります。

一般的には青いロゴマークをしたANAというブランドで飛行機を運航していると思われているANAHDですが、上記のように、航空機以外の事業も幅広く行っていることがわかります。しかし、それらの事業は航空事業とは全く関連していない事業ではなく、互いが相互に関連していることがわかります。

ANAHDの特徴・強み

航空会社は、当然航空機を所有していますが、自社所有だけでなく、リースによる調達でも運用航空機数を増やしています。以下が、ANAとJALの運用航空機数を示した図です。

pic1410a

この図からわかるように、ANAとJALの自社所有の航空機数は、さほど変わりませんが、ANAがリースにより調達する航空機数が、JALのそれよりも多く、運用航空機数合計はANAが大きく上回っています。そのため、ANAはより多くの航空機を運用することができ、結果的に、ANAはJALを上回る収益を稼げていると考えられます。

財務情報

以下が、ANAホールディングスの売上高と経常利益、売上高経常利益率の推移です。(単位:億円)

pic1410b

この図からわかるように、ANAHDは、売上高1兆円越えの大企業です。売上高は安定的に成長しており、利益水準も順調であることがわかります。

次にセグメント別の売上高を見ていきましょう。(単位:百万)

pic1410c

この図からわかるように航空事業が、全体の売上高の大半(2016年3月期では、73.04%)を占めています。ANAホールディングスは様々な分野に多角化していることを上記で示しましたが、現状、航空事業に大きく依存しているようです。
なお、上図の金額は、内部取引などの消去が行われる前の金額です。

ANAの今後の戦略

以上、ANAHDについて、詳細を見てきました。現在ANAHD全体としては、バニラ・エアやピーチのLCCを伸ばしていくことが、戦略の一つに挙がっています。バニラ・エアは2016年9月から、成田からベトナムまで1万円台で行ける路線を作りました。また、アジア、太平洋のLCC8社でバリューアライアンスという航空同盟も結び、機材の調達などで協力し合い、さらにコストが安くなり、顧客にとっては利用しやすくなるかもしれません。

このように、グループの一部ではコストリーダーシップを追求し、別の部分では高品質のサービスを提供するなど、ANAHDは非常に戦略的に経営を行っています。CFOとして、企業がとるべき戦略を立案することも、また必要なスキルです。財務の面からだけでなく、戦略の面からも企業を見てみましょう。

執筆者

牧野 成譲 氏

 牧野成譲 氏

2013年4月専修大学商学部会計学科入学、現在4年生。2015年11月公認会計士試験に現役合格。2016年8月にミャンマー、タイの会計事務所で1か月間のインターンシップを経験。