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徹底したブランド追及の鏡「日清食品」|企業解説

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2016年12月8日(木)の日本経済新聞朝刊で、日清食品株式会社(以下、日清食品)が20年ぶりに国内に新工場を建設するとの記事が掲載されていました。カップヌードルで有名な日清食品、その概要から財務状況、今後の戦略に迫ります。

日清食品の概要

現在、日清食品と呼ばれている会社は2008年に日清食品ホールディングス株式会社が持ち株会社化する際に設立された事業会社です。

日清食品はインスタントラーメンの製造・販売を中心に行っており、1958年に世界初のインスタントラーメンで名高い「チキンラーメン」を発売して以降、「カップヌードル」や「焼きそばU.F.O.」「どん兵衛」「ラ王」など多くのヒット商品を生み出してきました。

グループ全体としては、以下5つの事業を行っています。

  • 国内即席麺事業(日清食品、明星食品)
  • 海外即席麺事業
  • 低温食品事業(日清食品チルド、日清食品冷凍)
  • 菓子事業(日清シスコ)
  • 飲料事業(日清ヨーク)

日清食品の強み―徹底したブランド追及―

日清食品の強みは、やはり国内市場における圧倒的なブランド力でしょう。このブランド力、確かに創業当初から築き上げてきたものでもあるのですが、日清食品は不断の努力によって国内シェア1位の座を守り抜いているのです。

その取り組みのひとつが、「ブランドマネージャー制度」です。今や様々な企業がブランド管理の手法として導入している制度ですが、国内では日清食品が1990年代に初めて導入したとも言われています。

例えば、日清食品では「ラ王」というブランドの開発、製造、マーケティング、販売に関わる一連の責任を、「日清食品」という会社ではなく「ラ王のブランドマネージャー」が担うことによって社内競争を煽っています。

さらには、同じ会社の中にいても、ブランドマネージャー同士は簡単に製品情報やブランド戦略を共有したりはしません。ある意味、非効率な経営とも言えますが、日清食品はそうまでしてでもブランド力の強化を追及しているのです。

日清食品の財務情報

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直近3年の業績を見てみましょう。売上高が順調に増加しています。やはりブランド力を活かした営業が成功しているということでしょうか。セグメントごとに売上高をみると、実は増加額の多くを海外事業が占めていることがわかります。

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また、2016年3月期は経常利益が20億円ほど減少しているのにも関わらず、当期純利益が80億円も増加しています。これには、2015年10月末に日清味の素アリメントスを子会社化した際に発生した段階取得による差益(約66億円)が影響しています。

日清味の素アリメントスとは、日清と味の素が共同出資してブラジルに設立した会社であり、ブラジルの即席麺市場で約65%のシェアを持っています。

今後の戦略―グローバル展開と国内磐石化―

ここまで見ると、日清食品が海外への注力を高めていることがわかります。実際、「日清食品グループ 中期経営計画2020」では、2020年までに海外営業利益比率を50%以上にすることを目標としています。

しかし、冒頭で紹介したように、ここにきて20年ぶりの国内新工場の建設にも動き出しました。海外展開を推し進める一方で、国内収益基盤の磐石化を図っているのです。

食品の国内市場の先行きは決して明るいとはいえません。しかし、日清食品は、プレミアムタイプのカップヌードルの発売、謎肉祭や「10分どん兵衛」の話題化などが相まって、2016年も好業績が予想されています。

人口減少に負けず、商品価値の向上を目指す日清食品。今後の展開にも目が離せません。

 

<日清食品ホールディングス CFO>

横山之雄

1979年4月         ㈱富士銀行入行

2005年4月         ㈱みずほ銀行渋谷支店長に就任

2007年4月         同行執行役員渋谷支店長に就任

2008年4月         日清食品入社、執行役員財務部長に就任

2008年10月       同社執行役員財務経理部長に就任

2010年1月         同社執行役員・CFO(グループ財務責任者)に就任

2010年6月         同社取締役・CFO(グループ財務責任者)に就任(現)

執筆者

久保 謙太郎 氏

 久保謙太郎 氏

中央大学法学部政治学科4年。ゼミでは環境保護と企業成長の両立について研究。学生時代は国内旅行と読書に明け暮れる傍ら、中小企業診断士を目指す。