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敵対的・友好的、様々な「TOB」 | ワード解説

20161209

2016年11月30日の日本経済新聞朝刊で「投資ファンドのMBKパートナーズが29日にゴルフ場運営のアコーディア・ゴルフをTOBにより約1,500億円で買収すると発表した。」との記事が登場しました。様々な目的で実施されるこのTOBですが、その概要は意外と知られていません。CFOを志す方は必ず知っておいて頂きたい項目も交えながら解説していきたいと思います。

TOBとは?

TOBは”Take Over Bid”の略で「株式公開買付け」とも呼ばれます。企業の経営権取得などのために、条件等を公開して市場外で不特定多数の株主から株式を買い付けることをいいます。市場外で議決権の3分の1を超える大規模な買収を行う場合は、原則として本手法となります。

一般にTOBには、被買収企業が買収に同意して協力的に行われる「友好的買収」と、被買収企業の取締役会の賛同を得ないで行われる「敵対的買収」の2つがあります。

過去に実施されたTOB

友好的買収の例として、日立グループ5社に対して日立製作所が実施した事案があります。このTOBの目的は完全子会社化によるグループ再編です。他にはユニーによるサークルKサンクスの買収、パナソニックによる松下電工及び三洋電機の買収、冒頭のMBKパートナーズによるアコーディアの買収もまた、その目的は完全子会社化です。

敵対的買収の例としては、王子製紙株式会社(以下、王子)による北越製紙(現北越紀州製紙株式会社。以下、北越)の買収事案があります。その対応として北越は三菱商事に対する第三者割当増資を発表しました。王子は第三者割当増資の実施の有無に対応した価格でのTOBを発表。三菱商事以外にも日本製紙が介入したこともあり、王子はTOB成立を断念しました。ちなみに日本国内での敵対的買収の成功率は低いとされています。

敵対的買収は悪?

「敵対的買収」と聞くと悪いイメージが浮かびますが、必ずしもそうではありません。その全てが株主にとってマイナスというわけではなく、むしろ、非効率な経営を行っている場合には現経営陣の交代により企業価値が高まる可能性があります。

一方、買収後に事業資産を切り売りして機動的に儲けようとする解体型企業買収や、買った株の高値買い取りを要求するグリーンメイラーなど、目先の短期的利益を追求し企業価値を損なうような敵対的買収が存在することもまた事実です。

敵対的買収への防衛策

最大の防衛策は、企業価値を高める経営戦略を遂行し、IR等を通じて株主の理解を得て、企業価値や株主時価総額を引き上げることにあるのは言うまでもありません。また、内部留保を成長資金として設備投資やM&Aに活用する、あるいは配当、自社株買いで株主に還元するなど株主が支持する政策を実行する必要があります。

具体的な予防策としては、ポイズンピル、黄金株、ゴールデンパラシュート、プットオプション、チェンジオブコントロール、非公開化などがあります。敵対的買収をかけられてからの防衛策としては、大きく分けて3つあります。友好的な第三者との連携として、第三者割当増資、新株予約権の発行、ホワイトナイト、第三者との株式交換・合併などがあります。買収企業価値の低下として、クラウンジュエル、資産ロックアップがあります。そのほかに増配やパックマンディフェンスがあります。

まとめ

ここで上述した敵対的買収への防衛策の項目は、CFOを志している方は理解しておくべきでしょう。今回は特に敵対的買収への防衛策の項目は具体的な予防策を知っているだけで、ニュースを見る観点がいくつも増えてきます。これは友好的なのか敵対的なのか、その目的は、その後の成長性は、同業他社の動きは、市場に変化は…。考えるだけ知見が生まれるので、是非ご自身で深くまで調べてみてください。

執筆者

宮川 拓也 氏

 宮川拓也 氏

札幌学院大学経営学部会計ファイナンス学科に在籍。同大学で金融経済や証券投資、管理会計等を学んだことをきっかけに、会計や金融を扱う職業に就くことを志し今に至る。