究極の節税!? タックスヘイブンとは

2016年11月21日の日本経済新聞朝刊(総合・経済面)で、財務省は企業や個人が税を逃れるために海外に移した所得への課税を強化する事を検討すると報じられました。ここでは、そのタックスヘイブンとは何かから、どういったメリットで作られ、何が問題になっているのかを簡単にまとめたものをご紹介します。問題になっているテーマではありますが、節税として認識されていることでもあるため、CFOを志す人にとって必要な知識の1つになると思います。

タックスヘイブンとは?

タックスヘイブンとは、日本語で「租税回避地」という意味です。外国資本と外貨獲得の為に、意図的に税金を優遇(無税または極めて低い税率)して、企業や富裕層の資産を誘致している国や地域の事をいいます。

別名オフショア金融センターとも呼ばれています。

税優遇がかかっている(タックスヘイブン)に全く関係のない会社を装ったペーパーカンパニーを作り、自国の税収から逃れ、資産運用を行っています。どうやって?とお思いの方のために、実務的にタックスヘイブンをどう利用しているのかを、簡単にご紹介します。

タックスヘイブンに、実態のないペーパーカンパニーを設立し、そこに高課税国の企業から『支払い』という形で資産を移すのです。そうすることによって、高課税国にある企業の資産が一時的に消えるので、本来掛けられるべき税金から逃れることができます。

こうして、本来税金として徴収されるはずのお金が、タックスヘイブンにあるペーパーカンパニーに移り、そのペーパーカンパニーの代表者の懐に入るという事になります。

タックスヘイブンはなぜ誕生したのか?

タックスヘイブンと認定される国や地域は、そのほとんどが自国の産業を持たない極めて小さな国々(地域)です。何もしないでいると、世界経済の波に飲まれて衰退していく可能性の高い経済的弱小国なので、タックスヘイブンを設けることで外国企業や富豪達の資産を集める事ができます。

タックスヘイブンと認定させる国々は、その集まった膨大な資金に少額(またはゼロ)の税金を掛けるだけでも、たくさんの外貨を獲得する事ができ、国を潤す事ができます。タックスヘイブンはそうした小国の経済政策として誕生したと考えられています。

タックスヘイブンの問題とは?

タックスヘイブンが広く利用されるようになることで生じる問題があります。それは高課税国の税収が悪くなるということです。大企業や富裕層などの資金が、自国からタックスヘイブンに流出すれば、当然ながら税収は悪くなりますよね。このため先進諸国では近年、所得税率や法人税率の引き下げを余儀なくされています。

また、日本では2016年11月21日の日本経済新聞朝刊でも報じられたように「現在は企業や個人が海外の会社の50%超の株式を保有していないと課税できない。実質的な所有者の企業や個人に課税できない仕組みのため、この『抜け穴』を塞ぐための検討を始める。」と、タックスヘイブンでの税収悪化対策に乗り出しました。

タックスヘイブンが問題となった日本企業例

「パナマ文書」により公になった、タックスヘイブンで租税を回避していた日本企業をいくつかご紹介します。

〈日本企業例〉
pic1346

これら35社のタックスヘイブン利用の情報はもはや広く知られるところであります。この他にもたくさんの日本企業がタックスヘイブンを利用しているとされています。

ケイマン諸島だけで日本の企業は世界2位の55兆円もの租税回避を行っており、この1つのタックスヘイブンだけで、日本の税収に匹敵する額が租税されています。

まとめ

高課税国で支払わなければいけない税金を、タックスヘイブンを利用することで回避してきた日本国内の企業もあります。この節税方法も長くは続かないかもしれません。

今後、財務省が2017年度税制改正大綱にタックスヘイブン対策を盛り込むかどうかに注目です。CFOを志す人には、テーマとして認識しておいたほうがいいでしょう。

執筆者

牧野真也

 牧野真也 氏

立命館大学法学部法学科。在学中は地域活性化に注力。趣味は食べ歩き。「食」のためなら500kmでも足を運びます。現在は日本人としての作法を身に付けるため、茶道を修行中。