ROE経営はCFOの必須科目

ROE経営への注目

三菱ケミカルホールディングスが、2017年3月期にROE12%という、二桁のROEを達成しようとしています。8日に発表した2016年4~9月期連結決算(国際会計基準)は、純利益が791億円と前年同期比17%増え、05年の同社設立以来の過去最高水準となっています。2017年3月期通期の純利益も前期比2.4倍と、伸び率が化学大手で最も大きくなる見通しです。今回のROE2桁達成の背景には、利益率の大幅な向上が原因にあるようです。さて、そもそも何故ROE経営が近年重要となってきているのでしょうか?そしてCFO(最高財務責任者)にとって、ROE経営はどんな関係性があるのでしょうか?

ROE経営とは

ROE(Return on Equity)とは、株主の持ち分である自己資本に対し、どれだけ効率よく利益を上げているかを示す総合的な指標で、財務的には自己資本利益率を指します。ROE はその特性から以下のように分解でき、企業の収益力を測る総合的な指標として活用されております。

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近年になってROE経営が注目を集めているのは、2012年12月に発足した自民党の長期政権により、日本経済の復活に向け企業の国際競争力を高めることを目的とした、コーポレートガバナンスを強化する構想がスタートし、2013年6月に「日本再興戦略」が公表されたのがきっかけです。

ROEの向上は、雇用の拡大と企業価値の向上による株主価値向上にもつながることから、企業のあるべき姿としてコーポレートガバナンスの命題として位置づけられ、2014年12月にコーポレートガバナンスコードとして公表されました。

三菱UFJ信託銀行の統計調査によると、日本企業のROEとPBR(株価純資産倍率)は8%を下回る時には相関関係がみられない(ROEが増加してもPBRは増加しない)が、8%以上になると正の相関関係がみられる(ROEが増加するとPBRも増加する)そうです。(※1)

上記の結果は日本の金融市場では、ROE8%を上回らないと株主たちは企業経営の業績を評価しないということを意味します。ROE8%以上の達成を全ての上場企業が目指すべきと提言した「伊藤レポート(2014年8月に公表された本レポートは、企業が投資家との対話を通じて持続的成長に向けた資金を獲得し、企業価値を高めていくための課題を分析し提言を行っています。一橋大学大学院商学研究科教授、伊藤邦雄氏がプロジェクトの座長を務めたことから、伊藤レポートといわれています)」の背景には、上記結果に類似した研究成果があると思われます。伊藤レポートはコーポレートガバナンスコードの参考資料にもなりました。

CFOにとってのROE経営

CFOの役割の1つに、事業戦略を実現するための資金を獲得してくる「資金調達」という役割があります。今回のテーマであるROE経営は、株式市場を通じて自己資本を調達してくるエクイティファイナンスのテーマです。エクイティファイナンスで資金調達を考えるCFOは、ROE8%以上の実現にコミットして、株式市場から十分に事業を推し進めていけるだけの自己資本調達の達成に努力する必要があります。

 

※1・・・以下URL参照。

http://www.tr.mufg.jp/houjin/jutaku/pdf/u201503_1.pdf

執筆者

本間 貴之 氏

 本間貴之 氏

2016年 法政大学 経営学部卒。学生時代に公認会計士を目指して勉強をしていたが、「会計や財務の専門家を切実に求める企業の為に働きたい」と考えて、会計監査ではなく、CFOの道を志している。投資ファンドの企画を競い合うビジネスコンテストで最優秀賞を獲得した経験も過去にはある。