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サムスン、巨額買収でコネクテッドカー市場に参入か

韓国の巨大財閥サムスングループのサムスン電子が、2016年11月15日(火)の日経新聞朝刊で米大手自動車部品メーカーを買収することが報道されました。大画面スマートフォン「Galaxy Note7」の発火事故(「Galaxy Note7発火事故の背景」(2016/10/17)にて詳細が解説されております。)や、その後の米国での洗濯機リコール問題で先行きが不安視されているサムスン電子。今回報道された買収とその狙いについて解説します。

サムスングループとサムスン電子の概要(韓国最大の企業)

サムスンと聞いてまず思いつくのは、Galaxyシリーズ、つまりスマートフォンでしょう。ですが、このスマホ事業はサムスングループの氷山の一角でしかありません。
サムスングループは韓国の財閥で、事業はスマホや家電、重工業などと非常に幅広いです。またサムスングループは韓国の数ある財閥の中でも最大規模で、2015年の韓国のGDP5%分をサムスングループの中核企業であるサムスン電子が稼いでいるとも言われています。サムスングループはコングロマリットであり、かつ、韓国で一番の巨大企業集団です。

そのサムスングループの中でも、中核企業といえるサムスン電子。韓国国内最大の総合家電、電子部品、電子製品メーカーです。このサムスン電子の2015年の事業別売上高構成は以下のようになっています。(1ウォン=0.1円で換算)

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これより、現在の主力事業は、スマホなどを扱う事業であることがわかります。

しかし、現在のサムスン電子のスマホ事業は成長鈍化が懸念されており、その最中に「Galaxy Note7」発火事故が報道されました。そのため、サムスン電子は今後のスマホ事業の低迷を見据えて、新たな主力事業の育成に動いたのです。それが、今回の買収につながります。

買収の概要と狙い(IoT市場への参入、スマートカー)

今回の買収の詳細を見ていきましょう。

今回サムスン電子は米大手自動車部品メーカー、ハーマンインターナショナル(以下、ハーマン)を、約8,600億円という巨額で買収。今回の買収は、韓国企業の買収案件では過去最大だと言われています。

ハーマンはカーナビや、カーオーディオに強みを持っている大手メーカーで、トヨタ自動車や独フォルクスワーゲン、独BMWなどを取引先としています。今回の買収について、サムスン電子のクォン・オヒョン副会長は「ハーマンのノウハウとサムスンのITモバイル技術を結合し、車の革新を主導していく」と言っています。これは、IT技術を車に導入して車とインターネットをつなげるIoT戦略であると言え、いわゆるスマートカー、コネクテッドカー市場に参入するということが考えられます。

まとめ

サムスン電子は、コネクテッドカー市場が2020年までに1,000億ドル(10兆円~11兆円:1ドル=100円~110円)超の規模に成長すると見ているようです。現在、主力にしているスマホ事業の成長鈍化を見据え、新たな成長事業を早期に構築することが、今回の買収の狙いでもあります。企業を買収することで、過去に構築されている被買収企業の販路や、事業のノウハウを、新たに構築することなく使用することができます。これが、買収(M&A)は時間を金で買うことと言われる所以です。このような戦略の選択もCFOとしては押さえておくべき重要な事項になります。

執筆者

牧野 成譲 氏

 牧野成譲 氏

2013年4月専修大学商学部会計学科入学、現在4年生。2015年11月公認会計士試験に現役合格。2016年8月にミャンマー、タイの会計事務所で1か月間のインターンシップを経験。