M&Aを成功し続ける企業〜日本電産とは?〜

皆さん、日本電産株式会社(以下、日本電産)という会社を知っていますか?
普段の生活ではあまり聞く事のない会社だと思います。しかし、この会社、実は日本が誇るグローバル企業なのです。他にも沢山特徴のある会社ですが、なかでも目を引くのが永守流経営で有名な永守重信会長兼社長です。
2016年11月15日(火)の日本経済新聞朝刊の「肉食系経営者の時代」という記事でやはり永守会長の話が取り上げられていました。今回はこの「日本電産」を取り上げます。

総合モーターメーカー「日本電産株式会社」

創業1973(昭和48)年7月23日
本社京都府京都市南区久世殿城町338番地
連結従業員数96,602名(2016年3月現在)
グループ規模世界33ヶ国228社

さて、まずは日本電産の基本的な部分から見ていきましょう。1973年に守永会長(当時28歳)含め計4名で会社を設立し、当初は精密小型ACモーターの製造・販売から始めました。
当初は、国内企業には相手にしてもらえず創業翌年から海外に進出したそうです。

事業内容は以下のようになっています。

・精密小型モーター
・車載および家電・商業産業用
・機器装置
・電子・光学部品

モーターは機器の内部の部品ですので一般的にはあまりイメージが浮かばないかもしれません。
しかし、世界で使われている電気の半分がモーターを動かすために使われているといわれており、電気機器を動かす上でモーターは重要な役割を担っているといえるでしょう。

日本電産の強固な財務体質

では、今度は主要な財務情報を見ていきます。

まずは、売上高と営業利益率ですnihondensan1

売上高については、リーマンショック後に一時減益がみられますがその後は順調に推移しています。要因としては、日本電産自身の成長以外にも、後にも述べるM&Aによる企業規模の拡大によるものがあると考えられます。

営業利益率はというと、2012年以外は優秀な成績を残しています。2012年は前年比9割の減益を記録してしまいました。原因としてはスマートフォン台頭によるものと見られています。同社は当時パソコン用の製品が主力でであり、スマートフォンの急激な成長に追いついていけなくなったためとされています。しかし、その後は順調な回復を見せており、今では製造業でありながらも円高に屈さないとてもタフな経営体質になるまでに至っています。

16年度上期においては売上高こそ前年同期比4%減の5,640億円となりましたが、営業利益は同15.8%増の690億円であり円高による107億円の減益要因を跳ね返し、過去最高の利益を叩き出しました。

永守会長は経営体質の改善のため以下のような取り組みを行ったとおっしゃっています。

販売管理費の削減(上海では14の法人を大きなビルの1フロアに集約)

残業の削減、そして今までの残業代を社員に還元。

工場のIoT(生産効率の上昇)

 

次は、セグメント別の売上高推移です。

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グラフを見ると、2010年以降車載用モーターが急激に伸びていることが分かります。

今までは、パソコンの需要も多くハードディスクドライブ用モーターが主力でありましたが、近年のパソコン需要の減少もあり、これからは自動車など幅広い用途がある車載及び家電・商業・産業用モーターを伸ばしていこうとしているのではないのでしょうか。

 

最後に、地域別売上構成比を見ます。

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上の円グラフは日本電産の2006年と2015年の地域別売上構成比の比較です。

2006年は日本での売上が5割以上を占めトップでしたが、2015年には中国や米国の割合が増加しています。10年の間にこれだけ構成比が変わったのです。日本国内の市場の縮小をにらみ、M&Aをうまく使い活躍の場を海外へとシフトさせたのが分かります。

 

M&A成功の秘訣は永守マジック

日本電産の経営成績はいかがでしたでしょうか。とても優秀だと感じられたはずです。先ほども少し触れましたが、この好成績の影には数多くのM&Aが隠れています。

少し日本電産のM&Aの歴史を振り返ってみましょう。

1984年以降に初めて国内の企業を買収し、それ以降「回るもの、動くもの」に特化した買収で2016年3月現在までで48社もの企業(国内24、海外24を買収しています。2010年以降には特にM&Aの数は増加し、この5,6年間で計20社(国内3社、海外17社)の買収が行われました。

この多くのM&Aが大きな役割を果たし、営業利益率の早い立ち直りがあり、また業務の転換もスムーズに行われたことが分かります。

しかし、ここまでM&Aを上手く活用している会社はあまりありません。なぜなら、買収を行ったとしてもその後の統合や買収先の企業の立て直しが上手くいかないケースが多々あるためです。それでも、日本電産は数多くのM&Aで体質を改善し収益力を高めています。これが「永守マジック」と言われる所以です。日本電産は特に企業同士の統合が巧みであるといわれています。

さいごに

長くなってしまいましたが、日本電産という会社を見てきました。
CFOを目指す方にとっては、この企業を知ることはとても勉強に駆ることだと思います。

最後に同社のCFOを紹介したいと思います。

 

取締役副社長執行役員(CFO)佐藤

1977(昭和52)4月 日産自動車(株)入社

2002(平成14)4月 同社執行役員

2012(平成24)1月 当社入社、専務執行役員

6月 取締役専務執行役員

2013(平成25)4月 取締役副社長執行役員

2016(平成28)5月 取締役副社長執行役員

CFO(最高財務責任者)(現任)

 

M&A後の統合プロセス(PMI)においてCFOが果たすべき役割は多岐にわたります。
佐藤氏がCFOとして組織や経営管理体制を支えているからこそ積極的なM&Aが実行できているのかもしれませんね。

執筆者

沢田 勇平 氏

 沢田勇平 氏

神戸大学大学院経済学研究科所属。学部時代は会計を学び、現在は経済学を中心に学んでいます。一企業に頼らず自身の豊富な知識を武器に活躍するCFOを夢見て頑張ります。