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今更聞けない「IFRS」 日本と世界の会計基準の違いとは

新聞を読んでいると時折、「○○年××月期連結決算(国際会計基準)」といった表記を見かけることはありませんか? 2016年11月14日の日本経済新聞朝刊でも、楽天とネクソンの決算発表記事に「国際会計基準」の文字がありました。また、医療機器メーカーのテルモは、18年3月期決算から国際会計基準を適用するようです。今日は、そんなIFRSともいわれる国際会計基準について解説していきたいと思います。

そもそもIFRS(国際会計基準)とは?

IFRSは、International Financial Reporting Standardsの略称で、日本では「イファース」「アイファース」等と呼ばれています。世界共通の会計基準であり、2005年にEU加盟国の上場企業が採用を義務付けられたこともあって、2016年現在140以上の国や地域に広がっています。

元々、会計基準は国によってバラバラで、統一的なものはありませんでした。自国の企業文化や法律、税制などを反映した独自の会計基準があれば十分だったのです。しかし、グローバリゼーションが進み資本の移動が国を越えて行われるようになると、会計基準が国ごとに異なることの弊害が生じるようになりました。

例えば、研究開発費。A国では資産計上が認められる一方、B国では全て費用として処理するという会計基準の違いが存在する場合、A国とB国の企業の財務諸表を見比べるときに、両国の会計基準を理解していなければ業績の判断に誤解が生じる可能性があります。

IFRSの採用が世界的に進んでいるのは、ひとつには投資家が財務諸表を簡単に比較できるようにするためという背景があります。

日本の会計基準とIFRSの違い

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①利益の捉え方

日本の会計基準は「収益・費用アプローチ」といわれ、収益と費用の差額から当期純利益を開示することを目的としています。一方でIFRSは「資産・負債アプローチ」といわれ、資産と負債の差額から企業価値を開示することを目的としています。

②のれん

以前、減損損失の解説記事(今更聞けない「減損損失」工場だけではない、M&Aとの関わり)でも触れましたが、M&Aによって発生する「のれん」の処理の仕方にも違いがあります。日本の会計基準ではのれんを20年以内に償却することになっていますが、IFRSではのれんは償却されません。

③開発費

企業が行う研究開発に要する費用は、基礎研究の段階で発生する「研究費」と製品化のための試作・設計の段階で発生する「開発費」に分けられます。日本の会計基準ではこれを両方とも発生時に費用として処理するよう規定されていますが、IFRSでは開発費のみ一定の要件を満たすと無形資産として計上することになります。

IFRSを採用している日本企業

日本では2010年3月期からIFRSの任意適用が容認されました。2016年11月現在でIFRS適用済の企業が102社、適用を決定している企業が20社存在します。上場企業数3,528社(2016年11月現在)と比べると3.5%程度とまだまだ数は少ないですが、IFRSの波は徐々に押し寄せてきています。

<IFRS適用・適用決定企業一覧>

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業種別の適用数をみると、電気機器・サービス業・輸送用機器・情報通信・医薬品・卸売業などが上位にあります。これらの企業は海外売上比率や外国人株主比率が多く、グローバル戦略の一環としてIFRSを適用していることが考えられます。

また、上記の表で赤字で示した企業は、のれんの対株主資本比率が20%を超えている企業であり、M&Aに積極的な企業がIFRSを適用する傾向もみられます。

CFOとIFRS

IFRSを適用する企業は今後も増えていくことでしょう。CFOには自社の財務状況や周辺環境をみながら、IFRSを導入することによる影響の分析や導入後の運用を構築していくことが求められます。また、これからCFOを目指す方は日本の企業の動向にも注目していきましょう。

執筆者

久保 謙太郎 氏

 久保謙太郎 氏

中央大学法学部政治学科4年。ゼミでは環境保護と企業成長の両立について研究。学生時代は国内旅行と読書に明け暮れる傍ら、中小企業診断士を目指す。