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国内3位のスズキ、インド市場でシェアトップの理由

2016年11月7日(月)の日本経済新聞電子版のマーケット面で、スズキ株式会社(以下、スズキ)が発表した2017年3月期の業績見通しのうち、連結純利益が前期比24%増の1,450億円になることが取り上げられました。とくに目を奪われるのは、インドの自動車市場において、シェアが初めて4割を超えたことです。

今日は、スズキの事業について解説しながら、インド自動車市場で成功を収めた原因を分析いたします。

事業概要

スズキは、1909年に創業され、「四輪事業」、「二輪事業」「特機(電動車椅子、マリンなど)」の製造・販売を手掛けるメーカーです。そのうち、最も重要な事業は「四輪事業」であり、2017年3月期の業績見通しでは、売上の9割以上を「四輪事業」が占めています。

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更に四輪事業に焦点を当ててみると、アジア市場の売上構成率が44%に達して、日本国内よりも上回り、最も大きな市場になりました。一方、2012年に米国の自動車事業から完全撤退したことで、北米での売上は年間12億円と、他の地域に比べて非常に規模が小さくなっています。

インド市場での存在感

「インドの自動車といえばスズキ」というイメージがありますが、データを検証してみると、確かにインドでの存在感が非常に強いと見られます。

インドでの四輪車事業の売上高は4,615億円という日本国内並の数字で、スズキの業績を支えています。

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また、インドにおけるスズキの自動車市場占有率は、年々増え続けており、2016年は40.4%となり、インド市場第二位の自動車メーカー「タタ・モーターズ」の12.6%を大きく上回る数字を記録しています。

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では、なぜインド市場において、スズキが競合相手にそれほど圧倒的な差をつけたのでしょうか。

その理由は2つあると考えられます。

①現地の需要とフィットしているスズキの強み

インドにおける都市化にともない、都市部の過密化による駐車スペースの不足が深刻になりつつあります。スズキが、小型乗用車の生産とコスト削減という強みを生かして、他社よりも低価格で高質かつ耐用な小型乗用車を販売してきました。

②早期進出による優位性

スズキは1982年という他メーカーよりも圧倒的に早い時期にインド市場に進出して、それから綿密にインドの各地で販売店を設立し、先発優位性を築きました。

終わりに

注目を浴びているスズキの好業績、インドまたはアジア市場の堅調の要因は上記の2点が考えられます。最近ではまだ日本企業の影が薄いアフリカへの進出が注目されていますが、未開拓の市場に進出する際には、現地の需要と先発優位性は非常に重要なテーマになります。

執筆者

羅 譲 氏

 羅譲 氏

京都大学法学研究科に所属。修士論文の執筆の傍ら、細々と記事書きの真似事をしております。