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株価が大幅に続伸 ライオンってどんな会社?

2016年11月8日の日本経済新聞朝刊で、ライオン株式会社(以下、「ライオン」)の株価が大幅に続伸したという記事が掲載されました。今日は、そもそもライオンとはどのような会社なのか、そしてなぜ業績が好調なのかと、今後の見通しについて解説します。

ライオンの事業内容

私たち消費者にとっては、日用品(洗剤等)のイメージが強いですが、実際には以下のような事業を行っています。

一般消費財事業…オーラルケア分野、ビューティケア分野、ファブリックケア分野、リビングケア分野、薬品分野などからなり、生活者の健康で快適な生活を支えます。消費者の私たちが目にする洗剤等のライオン製品がこれにあたります。

産業用品事業…産業需要向け界面活性剤や導電性カーボンなどを取り扱う「化学品事業」とホテルやレストランの厨房に向けて各種洗浄剤やハンドソープなどを販売する「業務用洗浄剤事業」などで構成されています。

海外事業…タイ、マレーシア、韓国などアジアの8つの国と地域で事業展開し、グローバルに、くらしに役立つ製品(日用品など)を提供しています。

建設請負事業等…工場などのプラント建設、配管整備などを行っています。

ライオンの事業の特徴・強み

ライオンは自社の事業の強みとして以下の3つを挙げています。

1.技術開発

オーラルケアによる歯周病予防の進化。ファブリックケアによる衣類の汚れ残りゼロへの挑戦など技術開発に強みがあります。

2.海外展開

現地の有力なパートナーとのパートナーシップを確立。1950年代から海外に進出し、現在アジアの8つの国と地域で事業展開しています。進出形態は、現地の有力企業との合弁会社を設立して、事業展開を行うことを基本としています。技術とマーケティングノウハウを提供し、現地の強力な流通力とのコンビネーションで発展してきました。

3.環境対応

石油から植物資源への代替を推進など環境に配慮した取り組みを行っています。

11月7日にライオンの株価が上昇した背景

ライオンは2015年に値上がりした大型株(東証1部で時価総額3000億円以上)部門で、第6位になりました。この背景には、インバウンド需要とアジアの消費拡大の両方を取り込んだことが挙げられています。

2016年に入り、インバウンド需要に陰りが見られ業績の下降が噂されていた最中、2016年11月7日の東京株式市場でライオンの株価が一時、前週末比243円(15%)高の1901円と大幅に続伸し、上場来高値(1994年の株式分割の考慮後)を更新しました。

ライオン 連結財務諸表(一部)   単位:百万円
lion

また、上記の表は前年度から直近3年間の連結財務諸表の一部ですが、各指標とも上昇の一途をたどっています。さらに、16年12月期の連結営業利益は前期比44%増の235億円になる見通しで、今期の営業利益の予想を上方修正するのは3度目になります。歯磨きや大衆医薬品などの販売が想定以上に伸びていることに相まって、これらの好業績の具合が株価上昇の要因と考えられています。

今後の業績(株価)予想

ライオンの株価は8~9月にいったん調整しましたが、今回(16/11/7)再び上昇したことで今期の予想PER(株価収益率)は36倍台に切り上がりました。ただ、大和証券、野村證券、ゴールドマンサックスともに目標株価を引き上げたものの、成熟産業なだけに今後の躍進に対し懐疑的な意見も多く集まっているようです。

企業の決算発表や業績の見通しは、市場の企業に対する評価に多大な影響を与えます。日本では毎日のように企業の業績予想が上方修正された、下方修正されたとの報道が見られますが、実はアメリカでは短期の業績予想の発表を行わない企業が増えています。

CFOとして日本とアメリカの株価市場の違いを把握しておくことは非常に重要ですが、このあたりはまた別の機会で触れてみることにしましょう。

執筆者

牧野真也

 牧野真也 氏

立命館大学法学部法学科。在学中は地域活性化に注力。趣味は食べ歩き。「食」のためなら500kmでも足を運びます。現在は日本人としての作法を身に付けるため、茶道を修行中。