キリンとコカ・コーラ提携 その狙いは?

様々な業界で企業再編や経営統合が起こっており、その波が飲料業界にも押し寄せています。9月にコカ・コーラウエスト(以下CCW)とコカ・コーライーストジャパン(以下CCEJ)が経営統合するニュースが発表されました。そしてそのコカ・コーラが次はキリンと資本業務提携することが10/26(水)に日本経済新聞などの多くのメディアで発表されました。

提携の詳細

CCWやCCEJなどのボトラーはアメリカの本社のコカコーラから原液の販売権を得て各地域に密着した製造・販売事業を行い、マーケティングや原料提供は本社が行っていることを当メディアで紹介しました(「コカ・コーラ東西ボトラー統合の背景にサントリーの影」)。そして今回の提携は2017年4月にCCWとCCEJが統合した企業と、キリングループの傘下のキリンビバレッジに対し、両グループが出資する予定です。すなわち日本で製造、販売を主に扱う事業で両者が提携する形となりました。両者のブランドや本社の機能に大きな変更なく、製造、販売面で提携する予定です。果たしてその狙いは一体何なのでしょうか?

低迷する利益率、上昇する物流コスト

スーパーやコンビニに行けばキリンやコカ・コーラの飲料を容易に見つけることができます。日々お世話になっている飲料メーカーであるためこの2社が利益創出のため四苦八苦していると言われてもピンとこないかもしれません。図表1をご覧ください。キリンの営業利益の対売上比率が年々減少し、CCEJの方も2%代の営業利益率で近年推移。収益性の向上が課題です。

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(注)決算短信より作成

では一体何にコストがかかっているのでしょうか?図表2はCCEJの売上高に占める販売手数料、運送費、人件費の推移を示したものです。販売手数料や人件費には大きな変動は無いものの輸送費、すなわち物流のコストがここ数年で増加していることがわかります。コンビニや小口のスーパーが以前より増えたことにより各メーカーが膨大な数の店舗に商品を輸送する必要がある上、eコマースの発展で飲料の各家庭への宅配の注文が増加したことが物流コストの上昇の原因ではないでしょうか。

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(注)決算短信より作成 2012年以前のデータは旧セントラル社と旧三国社の合計から算出

以上の現状を見るとコカ・コーラとキリンの提携の主な目的は物流コストの削減と考えられます。それぞれの販売先に2社が個別に配達する必要があったのが、物流を提携して行うことでまとめて行うことができます。

自動販売機チャネルの活用

物流の中でも鍵を握るのが自動販売機です。飲料事業の中で自動販売機は全国に設置されていて、かつ収益性の高いチャネルです。シェアでコカ・コーラに迫るサントリーは2015年にJTの自販機事業を買収しており、その重要性は明らかです。

キリンビバレッジは全国に約10社もの自動販売機関係会社を持っており、サントリーに追いつかれたくないコカ・コーラもこれを活用することで物流コストを大幅に削減する狙いがあるでしょう。

飲料業界のこれから

日本の人口が減少傾向にあり飲料の需要が低下する中で多くの飲料メーカー存在し、低価格競争を強いられています。そんな中で売上シェア1位のコカ・コーラと4位のキリンの提携が発表されました。これを機にライバル企業も提携などの動きが起きるかもしれません。今後も飲料メーカーの動きに注目です。

執筆者

嶋本 幸之助 氏

 嶋本幸之助 氏

東京大学技術経営戦略学専攻修士2年。大学では躰道という武道に打ち込み、四年の時に主将を務め部を全国優勝に導く。その成果もあり2014年に東大総長賞受賞。大学院ではファイナンスを専攻。