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海外とインターネットに注力 大手広告代理店 電通とは

株式会社電通(以下は電通)は、日本において、長年にわたって広告業界ナンバーワンのシェアを持ち、2015年の収益は同業界世界第5位となるなど、知名度の高い大手広告代理店です。

2015年12月に新入社員の女性が過労で自殺し、ネガティブなイメージが広がっていますが、電通とはいったいどのような企業なのでしょうか。

電通の業務内容

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電通はいわゆる広告代理店です。広告代理店は主に、メディアが広告枠を売り出す際に広告主との仲介を請け負うことで得られる手数料によって収益を得ています。

中でも、電通は総合広告代理店と呼ばれ、以下のような特徴を持っています。

①メディア全制覇
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌を代表とする4大既存メディアをはじめ、インターネット広告も含めてメディアに全方位で対処。

②業務の内容の豊富さ
傘下に製作会社や分野を特化した広告代理店の子会社持っており、広告主のブランド・マネジメント、マーケティング戦略から、CMの企画まで、それらを連結してグループを形成。

③インターネット関連の堅調
4大既存メディア(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)の売上高が横ばいに推移している一方、インターネット広告の売上高が上昇。

 

売上高合計

(百万円)

インターネット広告売上高(百万円)2000年度比インターネット広告以外の売上高(百万円)2000年度比
2000年度1,497,8434,067100%1,493,776100%
2005年度1,577,13118,767461%1,558,364104%
2010年度1,396,79845,3921116%1,351,40690%
2014年度1,535,10578,0361919%1,457,06998%

電通のCFO

取締役副社長執行役員、グループCFOの中本祥一氏の略歴は以下の通りです。

1973年4月 電通入社

2001年12月 同社財経本部経理局長

2006年6月 同社執行役員財経本部長

2007年6月 同社常務執行役員財経本部長兼経理局長

2008年6月 同社常務執行役員兼経理局長

2009年4月 同社常務執行役員

2009年6月 同社取締役常務執行役員

2011年4月 同社取締役専務執行役員

2013年4月 同社取締役副社長執行役員(現任)

電通グループの近年のM&A動向

2004年から、電通は国内外において積極的なM&A活動を実施しています。以下は近年のM&A活動の抜粋となります。
2004年06月、シンガポールのスポーツマーケティング会社のワールド・スポーツ・グループ・ホールディングスの株式の30%を買収。

2006年03月、セールスプロモーションや交通広告を得意とする名鉄エージェンシーの株式の50%を買収。

2007年12月、公開買付によりeマーケティング事業に強みを持つオプトの株式を買収。

2009年10月、電通ラテンアメリカを完全子会社化。

2010年01月、中国最大の販促ネットワークを持つサントレンドグループと資本業務提携。

2012年01月、米国独立系広告代理店「MLロジャース社」を買収。

2012年01月、ブラジルの独立系デジタルエージェンシー「ラブ社」を買収。

2012年05月、カカクコムと資本業務提携。

2013年03月~2015年12月、英国のイージスを巡る一連の買収。

2014年05月、米国総合マーケティング会社を買収。

2014年09月、米社広告・オンラインマーケティング部門を買収。

2015年07月、医療用医薬品のマーケティングに特化したシナジーメディカルコミュニケーションズ(売上高8億2000万円)の株式100%を買収。
電通傘下の企業も含めて、電通グループは、積極的なM&A活動を実施することによって、①弱みのある分野の補強、②インターネット分野の業務拡大を図っていることがわかります。

特に、2015年通年の企業買収件数は同社過去最多となる36件とのことが注目されます。

電通の財務情報

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(電通 IR資料室 フィナンシャルファクトブック 2015/12 より)

この十数年にかける積極的な買収のかげで、2015年期の海外売上比率が46%に達したことが注目されています。少子高齢化が進み、縮小が見込まれている日本市場を基盤にしながら、海外の関連企業を矢継ぎ早に買収し、徹底的にグローバル化した広告会社に転換していることが見られています。

まとめ

女性社員の過労自殺前に既に長時間労働の是正勧告を受けていた電通。世間の目が向けられる中、海外やインターネットのみならず労働環境の改善にも注力していくべきでしょう。2020年の東京オリンピックに向けて広告需要が高まっていく中、日本を代表する広告代理店として、今後の日本経済を牽引していってほしいと強く願います。

執筆者

羅 譲 氏

 羅譲 氏

京都大学法学研究科に所属。修士論文の執筆の傍ら、細々と記事書きの真似事をしております。