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「君の名は。」大ヒットの東宝 収益の下支えは不動産事業?

阪急系の映画最大手、東宝株式会社(以下、東宝)。2016年10月20日の日本経済新聞朝刊では、映画「君の名は。」や「シン・ゴジラ」等の大ヒットによる業績の急上昇が取り上げられていました。確かに映画のイメージが強い東宝ですが、実は不動産事業が会社の下支えになっています。今日は、そんな話題も混ぜながら東宝の事業について解説していきます。

東宝の強み

映画がヒットすると「興行収入○○億円突破!」といったニュースが取り上げられます。最近の話題だと、2016年10月16日に「君の名は。」の興行収入が154億円を突破し、最終的には230億円規模まで上るとの見通しが立っています。

この「興行収入」とは何を示すかご存知でしょうか。

映画産業に関連する収入は「配給収入」と「興行収入」があります。観客が映画館に対して支払う入場料が「興行収入」、映画館が映画の配給会社に対して支払う料金が「配給収入」です。東宝においては、完全子会社のTOHOシネマズが映画を上映して興行収入を獲得し、東宝映画営業部がそこから配給収入を得ています。

東宝の強みは、TOHOシネマズという国内で最も数の多いシネコンと強力な関係を持っていることです。これにより映画制作会社からの配給依頼が自然と集まってくるのです。

東宝の事業と業績

東宝は、阪急阪神東宝グループの中核企業の1つで、1932年の東京宝塚劇場の設立に始まりました。2016年現在は、大きく分けて3つの事業を行っています。

①映画事業

(映画の製作・配給・興行、ビデオ・テレビ番組等の映像の製作販売)

②演劇事業
(演劇の製作・興行・販売、芸能プロダクションの経営)

③不動産事業
(不動産の賃貸・保守管理、道路事業)

次に直近4年分の業績を見てみましょう。

(連結業績、単位は百万円)

決算年月H24.2H25.2H26.2H27.2H28.2
売上高181,360202,274197,624206,900229,432
経常利益17,37730,69730,32134,14942,471
経常利益率9.6%15.2%15.3%16.5%18.5%
当期純利益9,85216,71317,69722,47925,847

直近の平成28年度2月期は、前年と比べて各指標が大幅に上昇しています。

売上高構成比は、映画事業が約65%、演劇事業が約7%、不動産事業が28%となっており、メインの映画事業を不動産事業が下支えする形になっています。
東宝にとって不動産事業が中核事業の1つであることはご理解いただけたでしょうか。賃貸不動産の含み益が大きい会社ランキングでも8位(不動産業者以外では4位)にランクインしており、他社と比べても大きなウエイトを占めています。

不動産事業の一本化へ

2016年9月27日、東宝は完全子会社の東宝不動産を2017年3月1日付で吸収合併することを発表しました。

東宝不動産は元々、東宝が58.81%の株式を保有する連結子会社で東宝ツインタワービル、帝劇ビル、渋谷ヒカリエなど約60の物件を持っていました。2013年6月に、東宝が完全子会社化してからは、東宝が所有する日比谷シャンテや有楽町マリオンなどの大型物件との一括管理による不動産事業の一本化が進んでいます。

今回の吸収合併は、別法人で運営していることによる手続きの煩雑さなどを解消し、業務効率化やシナジー効果を狙ったものです。今後、東宝の不動産事業はますます柱の幹を太くしていくことでしょう。

執筆者

久保 謙太郎 氏

 久保謙太郎 氏

中央大学法学部政治学科4年。ゼミでは環境保護と企業成長の両立について研究。学生時代は国内旅行と読書に明け暮れる傍ら、中小企業診断士を目指す。