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ソフトバンクグループ、通信事業だけだと思ったら大間違い!

感情認識ヒューマノイドロボット「Pepper」や、半導体設計大手ARM Holdings plc(以下、ARM)の買収、そして10月18日(火)の日経新朝刊でも登場したサウジアラビアPIFとのファンド設立など、急速な変革を遂げているソフトバンクグループ。現在、日本で最も注目されている企業といっても過言ではありません。

一般的には、携帯電話通信事業の会社として知られていますが、それだけを営んでいると思っては大間違いです。今日は、そのソフトバンクグループの事業について、詳しく見ていきましょう。

ソフトバンクグループの事業領域

①国内通信事業
・日本国内での通信サービスや携帯端末の販売など

②スプリント事業
・米国の通信事業子会社Sprint Communications, Inc.(以下、スプリント)による米国での通信サービスや携帯端末の販売、リース
・アクセサリーの販売など

③ヤフー事業
・ヤフージャパンのインターネット上の広告事業
・イーコマース(ヤフオク)など

④流通事業

・日本国内でのパソコン向けソフトウエア、周辺機器の販売
・携帯端末アクセサリーの販売など

⑤その他の事業

・福岡ソフトバンクホークス株式会社(以下、ソフトバンクホークス)の保有と運営
・太陽光や風力発電などのエネルギー事業
・オンラインゲームの製作、配信をするガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社(以下、ガンホー)への出資
・Pepperなどのロボット製品、サービス提供を行うソフトバンクロボティクスホールディングス株式会社(以下、ソフトバンクロボティクスHD)とソフトバンクロボティクス株式会社(以下、ソフトバンクロボティクス)
・電子商取引サイト「Alibaba.com」などを運営するAlibaba Group Holding Limited(以下、アリババHD)への出資
・半導体設計大手ARM
・中国の配車サービス会社、滴滴出行(以下、滴滴)への出資など

ソフトバンクグループは、ソフトバンクグループ株式会社を純粋持ち株会社とする企業グループで、上記のような事業領域を営んでいます。

通信事業を中心に、その周辺機器やアクセサリーの販売も手掛けています。

また上記からわかるように、ソフトバンクグループがその他の事業と位置付けているところに、今後の成長産業が溢れていることがわかります。ソフトバンクグループは、様々な新規事業に積極的に投資を行っているのです。

感情エンジンとクラウドAIを搭載した世界初の感情認識ロボット「Pepper」の製造、販売、レンタル、事後サービスの提供や、中国版Uberともいえる配車サービス運営会社、滴滴への出資。最近では、ガンホーやアリババHDなどへの出資を一部引き揚げて、英ARMを巨額買収(3.3兆円)したことが記憶に新しいと思います。

このように、ソフトバンクグループは、通信事業にのみに依存せず、事業ポートフォリオを戦略的に構築していることがわかります。

 ソフトバンクグループの財務状況

それでは、各事業領域の財務業績を見ていきましょう。

以下の図は、2016年3月期の有価証券報告書をもとに作成しました。(単位:百万)

hyousoftbank

業績を見ると、通信等の主力事業の売上高構成比率がいまだ高く、国内通信事業の利益率も非常に高いことがわかります。スプリントについては、再建中であるが業績は過去から見れば好調なようです。

売上高構成比率を見ると、その他の事業に分類されている事業はいまだ重要性が低く、通信等の事業が主力になっていることがわかります。しかし、国内の移動通信サービス契約数は1億5,859万件、人口普及率は125.1%になり、今後の国内市場の成長はあまり見込めないようです。東南アジアなどの新興国にも進出していますが、そこでもすでにスマホの普及率が高いのが現状です。

よって、今後の通信事業以外の新規事業への変革が求められており、その他の事業の重要性は今後高くなってくると考えられます。

まとめ

上記のように、現在のソフトバンクグループの主力事業が通信事業であることは間違いありませんでした。

しかし、今後の通信サービス市場の飽和を考えると、成長はあまり見込めなくなってきています。そこで、ソフトバンクグループは感情を持ったロボット「Pepper」や、ARMの買収、サウジアラビアPIFとのファンド設立など、新規領域での成長を模索しています。

日本の株式時価総額トップ10位を維持している、日本経済への貢献も計り知れないソフトバンクグループと、ソフトバンクグループを一代で築き上げた敏腕経営者、孫正義社長。

繰り返されるM&Aと新規投資で、ソフトバンクグループはどこ向かっているのか。

今後の展開を注視する必要がありそうです。

執筆者

牧野 成譲 氏

 牧野成譲 氏

2013年4月専修大学商学部会計学科入学、現在4年生。2015年11月公認会計士試験に現役合格。2016年8月にミャンマー、タイの会計事務所で1か月間のインターンシップを経験。