• ホーム
  • 解説
  • 貿易の拡大とさらなる可能性へ、相互承認協定(MRA)の存在意義

貿易の拡大とさらなる可能性へ、相互承認協定(MRA)の存在意義

貿易において輸出という行為は、様々な審査、手続きが必要です。それが食品や電気製品といった貿易の対象物だけではなく、貿易相手国によっても、安全性や技術基準、計量標準、知的財産権の保護など、適合性評価で問われるポイントは様々です。確かにそれらのポイントは抑えるべきなのですが、それらが貿易拡大において障壁となっている部分があるのもまた事実です。

今日はその障壁を壊すキーとなり得る「相互承認」を紹介します。この相互承認は10月5日(水)の日本経済新聞朝刊にも登場してきたワードなので、押さえておきたいところです。

相互承認協定とは

相互承認協定(MRA:Mutual Recognition Agreementの略称)とは、相互承認の参加機関が他の参加機関の適合性評価結果を自ら実施したものと同等であるとして相互に承認することです。つまり、協定関係にある国との貿易において、自国で製造された製品を輸出する際、自国のメーカーは相手国の認証機関から証明書(承認)を得なくても輸出できるということです。

日本ではEU及びシンガポール、フィリピン、タイ、米国との間の相互承認協定が発効しています。また、台湾とは政府間ではなく、民間での相互承認取り決めが実施されています。

これまでの貿易における問題点

例えば、日本の安全基準を満たしていても、貿易相手国で数か月かかる安全上の手続きを経ないと販売できないというのがあります。また、輸送費用、申請代行費用などのコストもかかります。つまり、輸出をする際の適合性評価手続に係る企業の負担が大きいのです。

そこで、そのような問題を解決し、貿易の円滑化を目指す目的で作られたのが相互承認という仕組みです。それが二国間、もしくは複数の国や機関で結ばれる取り決めが相互承認協定です。

期待されるメリット

①認証に要する期間短縮効果
新機種の開発及び市場投入の迅速化に。

②費用削減効果
輸送費用、申請代行費用等の削減に。

これらによる輸出入の円滑化が実現可能になれば、両国間の貿易促進につながることが期待されます。

貿易だけではない他分野での可能性

10月5日(水)の日本経済新聞朝刊でも紹介されたように、東南アジアでの熟練労働者不足が話題になっています。この問題の解消にも一役買うことになりそうな仕組みがこの相互承認なのです。ASEANは特定職種の熟練労働者の域内移動を容易にするために、MRAの拡大に取り組んでいるが未だ進まず。何かと注目される東南アジアですが、その動向のキーとなるのがMRAかもしれません。

執筆者

宮川 拓也 氏

 宮川拓也 氏

札幌学院大学経営学部会計ファイナンス学科に在籍。同大学で金融経済や証券投資、管理会計等を学んだことをきっかけに、会計や金融を扱う職業に就くことを志し今に至る。