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酒類からバイオへの多角化~宝ホールディングス

2016年10月3日、ノーベル医学・生理学賞の受賞が決定した大隅良典・東京工業大学栄誉教授。その受賞理由である細胞内部の自食『オートファジー』の研究が医薬品に応用されれば、がんや認知症、パーキンソン病などの疾患の治療薬として利用される可能性があります。そのオートファジーの研究用試薬の製造、販売で注目されるタカラバイオ株式会社(以下、タカラバイオ)が10月4日(火)の日経新聞朝刊の企業面に登場しました。

今日はそのタカラバイオと、宝酒造株式会社(以下、宝酒造)、宝ホールディングス株式会社(以下、宝HD)について考察します。

宝グループ企業と沿革

①宝酒造株式会社 酒類・調味料の製造、販売事業
②タカラバイオ株式会社 バイオ事業
③宝ヘルスケア株式会社 機能性食品事業  他

1842年に創業し、みりん、清酒「松竹梅」、「純」、焼酎、チュウハイ等を手掛けます。
1957年には、タカラビールを発売し、ビール事業に参入しますが、同業他社に敗れ撤退。
1967年に、酒類事業で培った微生物を扱う発酵工業やキノコ類などの研究開発を開始し、バイオ事業に参入します。
2000年にはアジア最大規模のゲノム解析センターを設立します。
2002年には、持株会社制への移行により、バイオ事業を分社化しタカラバイオを設立しています。

事業内容

宝酒造は清酒「松竹梅」や「本みりん」、焼酎、チューハイなどを手掛けていて、宝グループの売上の85%を占めていますが、国内の市場は縮小しており、7月にはポルトガルの卸を買収するなど、海外展開を模索しています。

2002年バイオ事業が分社化し設立されたタカラバイオの売上はグループの13%を占め、中核事業として位置づけられています。

清酒や過去に撤退したビール事業で蓄積した酵母の技術などを利用し、バイオ事業に参入しました。

ノーベル医学・生理学賞の受賞が決定した大隅良典・東京工業大学栄誉教授の研究分野であるオートファジーの研究用試薬も手掛けています。2000年にアジア最大規模のゲノム解析センターを設立し、大型のゲノム解析を受託しており、日本では最大のバイオ研究支援企業と言われるなど、バイオ事業で日本をけん引しています。

財務情報

宝酒造グループの売上192,025百万円、営業利益8,410百万円、経常利益は8726百万円で売上高経常利益率は4.54%、タカラバイオグループの売上29,729百万円、営業利益2,667百万円、経常利益は3301百万円で売上高経常利益率は11.10%とバイオ事業の収益性は非常に高く成長事業であることがわかります。

まとめ

既存事業の技術を生かし、宝グループは他の事業であるバイオ事業に参入しました。
酒類からバイオへの多角化としては、協和発酵キリン株式会社(旧キリンファーマ)も同じであると考えられます。
多角化を成功させるには自社の強みを認識し、応用することがカギになるのかもしれません。
現在、ゲノム解析や遺伝子解析が進み、生理科学の分野は飛躍的に成長していると言われています。
海外のベンチャーは不老不死の研究にも力を入れているようです。
これからのバイオ産業の成長は、注視する必要がありそうです。

執筆者

牧野 成譲 氏

 牧野成譲 氏

2013年4月専修大学商学部会計学科入学、現在4年生。2015年11月公認会計士試験に現役合格。2016年8月にミャンマー、タイの会計事務所で1か月間のインターンシップを経験。