外食ビジネスの特長 概論1

外食産業の業務フローを「ヒト・モノ・カネ」の観点からビジネスフローを追っていくと、まず資金を調達し、その資金でお店を作ります。一般的には賃貸物件にて運営することが多いと考えられますので、次に集客が見込める物件を押さえ、設計をして、厨房の設置や内装・外装工事を行います。その後、フロアや厨房のスタッフを募集して集め、そしてメニューに合った食材を食材業者より仕入れます。これらの準備を行い、オープンの練習をして、いざオープンとなります。そして、お客様に来ていただいて、居心地の良い空間で美味しい料理を、気持ちの良いサービスを受けながら召し上がっていただくことになります。

ほとんどの収益源はお客様からの売り上げです。これが現金収入とカードの決済によって会社に入金されます。費用は材料費・人件費・水道光熱費といった変動費と、減価償却費・家賃・リース料といった固定費がかかることになります。これらの収益から費用を差し引いたものが利益であり、税引き後の利益に減価償却費等を戻したものがキャッシュ・フローとなります。このキャッシュ・フローから調達した資金(銀行借入など)の返済を行って、残った資金が「儲け」となります。

この比較的シンプルともいえる業務フローのあらゆる業務について、いかに他社より強い仕組みを持ち、お客様の支持を得て、利益を出せる仕組みにできるかが成功のカギを握っています。以下では、そんな外食ビジネスの特徴を解説していきます。

~ビジネスの特徴~

(ⅰ) 参入障壁が低い産業である。

皆さまが外食店舗を訪れる時の判断基準は何でしょうか? その時の利用動機(家族との食事、仕事関係の人との食事、個人的な仲間との飲み会)、メニューのイメージ(和食か中華か洋食かなど)と予算、場所や時間帯など、様々な要因で店舗を決めていると思います。また新しい店ができればちょっと行ってみたくなるのが人情だと思います。逆にその店に行かなくなる理由は何でしょうか? 味とサービスの水準がこちらの水準を下回る場合には、ちょっと行きたくなくなります。また特に都心の場合には一度入った店の場所をすっかり忘れてしまうこともあります。一般的に店に行かなくなる三大理由は(飽きる・忘れる・卒業する)という話を聞いたことがあります。何度も行っているうちに飽きてしまう、その店のことを忘れてしまう、そして、人生のステージの中でその食文化を卒業してしまう、ということだそうです。ここで申し上げたいのは、我々消費者とは、如何に嗜好の変化の激しい気まぐれな人種かということです。逆に外食企業の側からすれば、この気まぐれな消費者の嗜好を掴むために日々、不断の努力を強いられているのです。

もうひとつ言えることは参入障壁の低さです。ある業態が流行れば、一斉に同じような店が出てきます。ジンギスカン料理が流行ればジンギスカン料理屋が、ホルモン鍋が流行ればホルモン鍋屋があっという間に増えるのはよくある現象です。外食の業態には特に特許権のようなものが存在しないため、魅力的な業態を開発してもあっという間に、他社に真似されてしまう、という特徴があります。このことからも外食産業にとってみれば、常に顧客の嗜好に合った業態やメニューを常に開発し続けなければならないということが言えます。

(ⅱ) 投資が先行する事業である。

街を歩いていると、新店がオープンして花輪が飾られている光景を目にすることがあります。外食産業にとって重要なのは、この時点でほぼ全ての投資が行われていることです。出店に当たっては、物件確保のための不動産屋への手数料や物件オーナーへの礼金・保証金、内装や厨房設備の投資、備品の購入、開店準備のためのスタッフ確保から教育の費用、「広告費用など、オープン前に相当の金額が投資されています。これらの投資金額はオープン後の営業のなかで回収するしかありません。一定期間での投資回収に成功してはじめて、その後のキャッシュ・フローが儲けになります。投資金額の回収ができなかった場合には、その出店は失敗だったということになります。外食産業とは最初に投資して、あとから回収する事業なのです。

次回は、損益構造や業態の展開方法、ビジネスモデル上の特徴について解説していきたいと思います。

執筆者

NEXT CFO 編集部

 NEXT CFO編集部

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